第36回 十方山林道
投稿日:2011年2月1日
2010年 林道日本一周・西日本編
開通昭和28年、中国地方一の林道は、走りごたえあり
湯来(ゆき)温泉「湯来ロッジ」の朝湯に入る。ぼくは目覚めてすぐに入る朝湯が大好きだ。朝湯の気持ちよさといったらない。
朝湯のよさはそれだけではない。湯につかった瞬間、ひと晩の眠りで体内に溜まった毒素がすべて抜け出ていくような気がする(科学的な根拠はないが)。朝湯の効能にはきわめて大きいものがあるとぼくは思っている。いや、信じている。「温泉教・信者」のカソリなのだ。
朝食はバイキング。時間をかけてたっぷり食べ、湯来温泉を出発だ。
国道488号を東方向に行き、まずは石ヶ谷林道に入っていく。だがダートに突入する手前で通行止め。残念無念…。
1999年の「林道日本一周」では、5・8キロのダート区間があった。けっこうハードな林道で大粒の石ころがゴロゴロしていた。岩盤が露出した区間もあった。今ではどうなっているのか…。その途中の石ヶ谷峡は見事な渓谷美。何度となくバイクを停めて見入り、写真を撮ったりしたものだ。
国道488号に戻ると、さらに東方向に走る。国道433号との重複区間に入り、湯の山温泉の共同浴場「湯の山温泉館」(入浴料350円)へ。ここは内風呂のみ。体がほんわかと温まる放射能泉の湯。露天風呂はないが、外には3本の源泉滝。ほかの人たちがするように頭から源泉滝に打たれると、体が縮こまるほどの冷たさ。それが不思議なことにじっと我慢して打たれつづけると、体がスッキリしてくる。ここの源泉の湯温は25度。
湯の山温泉は開湯1200年の古湯。江戸時代は広島藩主浅野家の湯治場として栄えた歴史を持っている。
湯の山温泉を出ると、さらに国道433号を東方向に走る。そして国道を右折し、恵下谷橋を渡り、恵下谷林道に入っていく。湯来温泉から恵下谷橋までは距離にすれば2、3キロほどでしかない。恵下谷橋を渡ると、すぐにダートに突入するのがうれしい。
恵下谷林道を走る。スズキDR-Z400Sのエンジン音が新緑の山々に響き渡る。峠に向かって高度を上げていくのだが、峠の手前の分岐を左へ。
『ツーリングマップル』(中国・四国)には、その峠名は大峠とある。しかし大峠まで林道がつづいているかどうかはわからない。
恵下谷林道の7・5キロのダートを走りきると、県道71号の不明峠の峠道に出る。
不明峠まで登り、「峠返し」で折り返し、国道433号へと下った。
湯来温泉まで戻ると、今度は国道488号を西に向かって走る。中国山地を縫っていく狭路の国道。いったん国道186号に合流。合流地点には中国道の吉和ICがある。吉和SAもある。
2本の国道の重複区間を西方向に走り、2キロほど先で右折。渓谷沿いの狭路、国道488号で島根県境の峠に向かっていく。その途中の分岐を右に入っていくダートが、中国地方ナンバーワン林道の十方山林道だ。
両側にクマザサのおい茂る十方山林道を行く。まずは最初の峠に到達。名無しの峠。そこには林道の開通碑が建っているが、それを見ると十方山林道の開通は昭和28年。歴史のある林道だ。その間、ほとんど舗装化されていないのがうれしい。
つづいて2番目の峠を越える。十方山(1319m)北側の水越峠だ。峠の周辺はかなりガレている区間もある。こうして15・4キロのロングダートを走りきり、恐羅漢(おそらかん)スキー場に出た。この十方山林道が「中国・山陽編」最後の林道。それがロングダートなので思わずニコニコ顔になるカソリ。
本州最西端の町、下関で海の幸
恐羅漢スキー場からは内黒峠を越え、前日にひきつづいて戸河内に出た。
戸河内ICで中国道に入り、下関に向かう。途中、吉和SAで「岩魚茶漬丼」(800円)を食べ、下関ICで中国道を降りた。
本州最西端の町、下関。
さー、「下関探訪」の開始だ。
まずは下関の駅前に行く。さすが「フグの町・下関」だけあって、駅前のフグのモニュメントが目を引く。下関では「フグ」のことを「フク」といっている。福を呼ぶので「フク」なのだという。
次に韓国・釜山へのフェリーが出る「関釜フェリー」のターミナルビル前へ。そこでDRを停め、しばし大陸への想いを馳せた。
最後は唐戸だ。
「唐戸市場」は大人気で大勢の人たちが来ていた。そこでは待望の握りずしを食べる。安くて旨くて超新鮮。アナゴ、赤イカ、タイ、ヒラマサ、サバ、アジ、ヒラメ、貝柱と8種で1050円。それらを下関名物「フク汁」(500円)を味わいながら食べた。
「唐戸市場」の「握りずし」に大満足したあとは「唐戸桟橋」に行く。そこからは門司港行の連絡船が出ている。
関門海峡の対岸に帯状に延びる門司港から門司へとつづく町並み、その背後に連なる山並みに向かって叫んでやった。
「九州よ、待ってろよ!」