登別温泉地獄谷
投稿日:2009年11月23日
地獄のあとに忘れられない天国が
登別駅前から道道2号で登別温泉へ。温泉街を走り抜けたところに北海道遺産の「登別温泉地獄谷」がある。ここは登別温泉の湯元で、笠山の噴火口跡。大地獄、竜巻地獄、虎地獄、大砲地獄、釜地獄、奥地獄、鉄砲地獄がある。ここは北海道でも有数の紅葉の名所。まさにその盛りで、「北海道新聞」の記者が取材で訪れていた。
地獄谷からさらに登ると、日和山の展望台に出る。そこからは大湯沼を見下ろす。周囲1キロほどの湯沼で表面の湯温は4、50度。深いところでは100度を超えるという。 この大湯沼からは白濁色した湯川が流れ出ている。
登別の地名はアイヌ語の「ヌプルベツ」から来ているとのことだが、「色の濃い川」、「濁れる川」の意味で、この湯川が登別の由来になっている。
日和山の展望台からひと山越えるとクッタラ湖。北海道ならではの秘湖だ。
北海道では「地獄」といえば、登別温泉の地獄谷だが、日本の「三大地獄」といえば、恐山(青森)、河原毛(秋田)、立山(富山)の地獄になる。これらの日本の「三大地獄」は「日本三大霊地」にもなっている。
恐山には無間地獄などの「八大地獄」がある。河原毛地獄には血ノ池地獄などの地獄がある。立山の地獄谷には、鍛冶屋地獄、紺屋地獄、大安地獄、百姓地獄がある。
登別の地獄谷が登別温泉の湯元になっているように、日本の「三大地獄」も、すべて温泉とからんでいる。
恐山の境内には恐山温泉の「古滝の湯」、「冷抜の湯」、「薬師の湯」、「花染の湯」と、4湯の湯屋がある。地獄めぐりをしたあと、これら4湯の湯屋をめぐったが、女湯の「古滝の湯」以外の3湯には入れた。「花染の湯」は混浴。この湯が一番いいといって、わざわざ入りにくる女性もいる。まさに地獄のあとの天国だ。
河原毛には河原毛地獄から湯川が流れ出ていて、それが高さ20メートルほどの河原毛大湯滝になっている。滝壷が絶好の露天風呂。それもジャスト適温の湯だ。湯滝に打たれ、湯につかり、湯三昧していると、「温泉天国」を心底、実感できる。
立山の地獄谷には地獄谷温泉がある。そのすぐ上のみくりが池温泉とともに、日本最高所の温泉になっている。
東北屈指の名湯、後生掛温泉の地獄めぐりは忘れられない。
わずか1キロほどの範囲に沸騰泉や吹上泉、湯沼、噴気孔、泥壷(マッドポット)、泥火山と様々な火山特有の自然が見られる。これだけ揃っているような場所は日本中を探してもほかにはない。遊歩道は全長が2キロほどで40分ほどで歩ける。高低差はほとんどないので楽に歩ける。歩き始めるとすぐに沸騰泉の「オナメ・モトメ」を見るが、ここが「後生掛伝説」の地。紺屋地獄、小坊主地獄と通っていくが、ともに吹き出る湯は94度の超高温湯。そして大湯沼に出るが、山裾の沼からはもうもうと湯気が立ち上っている。湯温は83度もある。中坊主地獄を過ぎたところには有名な後生掛の泥火山がある。もともとは湯沼だったところで、天然蒸気によって噴きとばされた湯沼の沈殿物が堆積し、その厚さは8メートル以上にもなっている。日本一の泥火山なのだ。最後に遊歩道沿いの茶屋で半熟の黒たまごを食べたが、噴気でゆでた黒たまごはまさに後生掛の味だった。
日本最大の温泉地、別府温泉の地獄めぐりはすごい。
血のように真っ赤な血ノ池地獄、噴気が竜のような金竜地獄、熱湯で白濁した白池地獄、コバルトブルーの海地獄、温泉でワニを飼育する鬼山地獄、間歇泉の龍巻地獄…と、ド迫力の地獄が連続する。
信州の地獄谷温泉は山間の一軒宿。ぼくが行ったときは露天風呂は熱くて入れず、内風呂の檜風呂もまるで熱湯。檜風呂に水をザーザー流し込んだが、なんと水圧で蛇口が湯の中に落ちてしまった。それを拾い上げようとして腕を火傷した。地獄谷温泉では熱湯地獄を体験した。
九州の地獄温泉では混浴露天風呂「すずめの湯」に、愛しのA子さんと一緒に入った。ここは灰色っぽい湯なので、女性の入浴客も多い。温めの湯なので長湯できるのをいいことに、露天風呂の消灯時間までA子さんと寄り添うようにして湯につかった。我が人生最高の天国気分を味わったのだ。
このように「地獄めぐり」というはいつまでも心に残るもの。
「きっと、それだから、登別温泉の地獄谷が北海道遺産に指定されたんだろうなあ」