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生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

姥神大神宮渡御祭と江差追分3

投稿日:2010年12月2日

古い建物が並ぶ「いにしえ街道」

 姥神大神宮の参拝を終えると、目の前の横山家を見学。ここは江差の旧家で、初代から現在まで200年以上の歴史があるという。代々つづいた網元、商家であり、廻船問屋を営んでいた。母屋と蔵にはニシン漁全盛の頃に使われていた漁具や陶磁器、漆器などの生活用具が展示されている。見学を終えると、これぞ江差の味といった「にしんそば」を食べた。ニシン漁とともに発展をとげてきた江差なだけに、ここで食べるニシンの味には格別なものがある。

横山家


横山家を見学
横山家の展示品


横山家の展示品
横山家の「にしんそば」


 横山家からは「いにしえ街道」と名づけられた歴史街道を行く。整備された道の両側にはニシン漁や北海の産物の交易で栄えた当時の商家や問屋の蔵など歴史を感じさせる古い建物が建ち並ぶ。
 横山家につづいて旧中村家を見学。ここは江戸時代から海産物の商いをしていた近江商人が建てた家だという。思わず金沢の近江町市場を目に浮かべてしまったが、日本海を行き来した北前船で手広く商売をした近江商人の商圏の広さを思い知らされた。

旧中村家


旧中村家の内部
旧中村家の展示品


旧中村家の展示品


 最後に「江差追分会館」を見学。北海道遺産にもなっている「江差追分」は元々は信州・追分宿の馬子唄。浅間山麓の追分宿は中山道と北国街道の追分(分岐)で、宿場の飯盛り女たちの歌う馬子唄の「馬方節」が「追分節」となり、日本各地に伝わった。そのうち日本海航路の北前船とともにこの地に伝わったのが「江差追分」。江差は「追分節」の終着点で、その途中の秋田・本荘追分なども有名だ。

「江差追分会館」では「江差追分」の実演が楽しめる。

 大島小島の間通る船はヤンサノエー
 江差がよいかなつかしや
 北山おろしで行先ゃくもるネ
 おもかじ頼むよ船頭さん

 かもめのなく音にふと目をさまし
 あれが蝦夷地の山かいな

 なにを夢みてなくかよ千鳥ネ
 ここは江差の仮の宿 ………

 百畳敷の大ホールで、三味線と尺八の演奏とともに聞く「江差追分」にはもの悲しさが漂い、ギューッと心をつかまれ、心の奥底まで響いてくる。
「江差に来てよかった、江差追分を聞いてよかった!」
 と思わされる中身の濃い30分。
「江差追分」の踊りにも目を奪われた。

「江差追分」の実演


江差追分会館
「江差追分」の踊り


「江差追分」の伝播ルート


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