カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第10回 古都奈良

投稿日:2010年12月26日

2010年 林道日本一周・西日本編

国宝の宝庫、奈良の東大寺と斑鳩の法隆寺

 京都タワーが空を突く京都駅前から国道24号に入り、スズキDR-Z400Sを走らせ南へ。木津を通り、奈良県に入っていく。旧道だと山城・大和国境の奈良坂を越えるが、新道のバイパスだと峠がよくわからないまま京都・奈良の府県境を越えて奈良盆地に入っていく。
 古都・奈良では東大寺を拝観。
 鹿の遊ぶ参道を歩き、巨大な山門の南大門をくぐる。南大門には「大華厳寺」と書かれた額が掲げられている。
 中門をくぐり抜けると、正面には大仏をまつる金堂の大仏殿が見えてくる。さすが「奈良の大仏さん」をおさめる大仏殿だけあって、建物全体にものすごい迫力が漂っている。高さ49メートル、間口57メートル、奥行き50メートルという世界最大の木造建築には圧倒されてしまう。本尊の大仏は高さ16メートル、顔の幅は5メートルという大きさ。東大寺はすべてが大きい。
 南大門と大仏殿、それと大仏は国宝。そのほかの建物では鐘楼、開山堂、法華堂(三月堂)、本坊経庫、転害門が国宝に指定されている。国宝のゴロゴロしている東大寺には奈良のすごさ、奈良時代のすごさを見せつけらる。
 奈良からさらに国道24号を南下。国道25号との分岐では斑鳩の里に寄り道。
 法隆寺を拝観。
 西院の入口には「日本最初の世界文化遺産 法隆寺」と彫り刻まれた石碑が立っている。法隆寺は世界最古の木造建造物だ。
 南大門をくぐり、金剛力士像をまつる中門をくぐり、広い境内に入っていく。中門からは両翼に回廊が延びている。境内中央の金堂と五重塔が並び建つ姿は圧巻。五重塔の均整のとれた美しさには目を奪われ、思わず立ち尽くしてしまう。
 南大門、中門、回廊、金堂、五重塔とすべて国宝。そのほか大講堂や経蔵、鐘楼、聖霊院(しょうりょういん)などが国宝。今回は西院を拝観しただけだが、東院にはさらに夢殿や鐘楼、伝法堂(でんぽうどう)、綱封蔵(こうふうぞう)の国宝がある。
 法隆寺には東大寺と同じように、いやそれ以上に国宝建造物がゴロゴロしている。奈良の東大寺と斑鳩の法隆寺、このわずか2寺で、日本の国宝建造物を独占しているかのような壮観さだ。
「国宝」はまさに字のごとくで、我々、日本人の宝。「国宝めぐり」というのは、じつにおもしろいツーリングのテーマになる。

大和川から吉野川へ、林道走破開始前夜

 法隆寺の拝観を終えると、さらに国道24号を南下。
 県道152号との分岐では左折して三輪へ。素麺で有名な三輪では、大和国の一の宮、大神(おおみわ)神社を参拝。御神体は神社の背後にそびえる三輪山(467m)。日本古来の自然崇拝の信仰をここ、大神神社で見ることができる。大神神社が日本最古の神社といわれるゆえんだ。
 国道24号に戻り、高田、御所と通り、ゆるやかな峠を越える。右手には葛城山から金剛山へとつづく金剛山地の山並み。この峠は奈良盆地と吉野川の谷を分けるきわめて重要な峠なのだが、昔から名前はついていない。峠上に家々があるくらいのゆるやかな峠だからであろう。
 それはともかく、名無峠を越えて奈良盆地から吉野川の谷間へと下っていく。
 奈良盆地はまさに大和川の世界。盆地内の流れはすべて大和川になり、生駒山地と金剛山地の間の谷間を流れ、最後は大阪と堺の市境を流れて大阪湾に注いでいる。そんな大和川から吉野川の世界に入ったのだ。
 国道24号の名無峠近くの温泉「かもきみの湯」(入浴料500円)に入っていく。
 大浴場と露天風呂。温めの湯には若干のぬめりがある。さっぱりしたところで夕食。「彩御膳」(1260円)を食べた。入浴料と合わせると1760円になるが、温泉とのセット券だと1380円。ちょっぴり得した気分になった。
「かもきみの湯」から五條へと下り、JR和歌山線の五条駅前でDRを停める。
 市名は「五條」で駅名は「五条」になる。
 五条駅に近い国道24号沿いの「リバーサイドホテル」に泊まる。さっそく隣接している「金剛の湯」(宿泊者は無料)に入る。湯から上がり、部屋に戻ると、金剛山地の山々が夕暮れの中に沈んでいくところだった。
 さー、明日は紀伊半島だ。
 いよいよ林道走破の開始。夕暮れの金剛山地を眺めながら武者震いするカソリだった。「頼むぞ、DRよ!」

フォトアルバム

京都を出発
奈良の東大寺


斑鳩の法隆寺
大和国の一の宮、大神神社




国道24号の峠

峠周辺の家並み
金剛山地の山並み


「かもきみの湯」
夕食の「彩御膳」


JR和歌山線の五条駅前
五條の古い家並み


五條の「リバーサイドホテル」
「金剛の湯」




夕暮れの金剛山地

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