第16回 熊野三湯
投稿日:2011年1月6日
2010年 林道日本一周・西日本編
歴史の湯、広大な露天、野趣あふれる温泉を楽しむ
「熊野三山めぐり」を終えて本宮に戻ると、今度は「熊野三湯めぐり」を開始。「熊野三湯」というのは熊野本宮大社周辺の湯ノ峰温泉、渡瀬温泉、川湯温泉の3湯だ。
第1湯目は湯ノ峰温泉。昔からの熊野詣の湯垢離場として知られているが、この湯ノ峰温泉は日本最古の温泉といわれるほど歴史が古い。開湯は神話の時代、成務天皇の時代にまでさかのぼるという。
「湯筒」と呼ばれる源泉は100度近い高温の湯。観光客は卵を、地元の奥さんたちは野菜をゆでていた。
ここではまず共同浴場の湯に入る。さすがに「木の国」紀州だけのことはあって、槇の大木をつかった木の湯船には気持ちよく入れる。次に壺湯。湯ノ峰温泉の名物湯で、一人で入ってちょうどいいくらいの小さな岩風呂。底の玉砂利の中から湯が湧き出している。1日に7回、湯の色が変わるというのだが、ぼくが入ったときは白濁色をしていた。壷湯と共同浴場の2湯の入浴料は750円。
第2湯目は渡瀬(わたぜ)温泉。「わたらせ温泉大露天風呂」(入浴料700円)に入る。「関西最大の露天風呂」を謳い文句にしているだけあって、「看板に偽りなし」の広さ。一の湯の内風呂以外はすべて露天風呂。二の湯、三の湯…と、それらの露天風呂をひとつづつ入っていった。
3湯目は川湯温泉。その名の通り、大塔川の川原からは熱い湯が湧き出ている。自分で掘れば即席の自家用風呂になるのだが、その時間もないので、「富士屋ホテル」前にある露天風呂に入らせてもらった。自然度満点の露天風呂。いやー、気持ちいい。湯から上がり、「富士屋ホテル」のフロントで入浴料を払おうとしたら、「いいですよ」といって受け取らない。よし、今度はぜひとも「富士屋ホテル」で泊まろう!
つづいて共同浴場(入浴料250円)の湯に入った。川原の露天風呂と同じ無色透明無味無臭の湯。湯口からは勢いよく湯が流れ込み、そして湯船からあふれて流れ出ていく。川湯温泉は湯量豊富な温泉だ。
冬期間には川原に無料湯の「仙人風呂」ができる。千人風呂をもじっての仙人風呂とのことだが、1000人以上は入れるような広さ。
西日本のロングダート大塔川林道を走る
川湯温泉から紀伊半島最後の林道、第6本目の大塔川林道に向かっていく。大塔川沿いの県道241号がそのまま大塔川林道になる。ホイホイ坂林道(舗装林道)との分岐点を過ぎるとダートに突入。次第に高度を上げ、大塔川の峡谷を見下ろすようになる。
峠近くの三叉路では一番右側を行くのだが、ちょっと寄り道をし、真ん中の支線を登り、「弘法杉」まで行ってみる。弘法大師伝説の大杉だ。
その昔、弘法大師は熊野詣の途中この山道を通り、大塔山麓のこの場所で昼食にしたという。その時、杉の枝を折って箸がわりにした。食べ終わると杉の枝を地面に刺した。するとその2本の小枝はみるみるうちに成長し、現在のような2本杉になったという。向かって右側が45メートル、左側が43メートルという空を突くような大木だ。
大塔川林道は峠の手前で舗装路になる。ダート距離は10・0キロ。かろうじて10キロ台にのせたが、紀伊半島最後の林道でダート10キロというのが何ともうれしかった。
日本の林道は東高西低。東日本には何本ものロングダートがあるが、西日本になるとぐっと少なくなる。そこでぼくは西日本のロングダートの目安をダート10キロにしている。大塔川林道はかろうじてそのダート10キロをクリアした。
ちなみに東日本のロングダートはダート20キロ以上ということにしている。
大塔川林道の峠は大杉トンネルで貫かれている。峠を越え、舗装林道を一気に下っていくと国道371号に出る。その分岐近くにある富里温泉「乙女の湯」(入浴料500円)に入り、県道219号→国道311号→国道42号で田辺へ。
田辺からは高速(阪和道)で御坊、湯浅、海南と通り和歌山へ。
和歌山ICで高速を降り、和歌山港へ。
その途中では道路沿いの紀州の一の宮、日前(ひのくま)神宮と国縣(くにかかす)神宮を参拝。2社は同じ敷地内にまつられている。
和歌山港のフェリーターミナルに到着すると、レストランで「エビフライ定食」を食べ、徳島港行き南海フェリーの最終便、21時35分発の「フェリーつるぎ」(2604トン)に乗船。すぐさま甲板に登り、離れていく和歌山港を見送った。
徳島港到着は23時35分。徳島駅前の「東横イン」に泊った。
さー、「林道日本一周・四国編」の開始だ!