カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第19回 張川林道

投稿日:2011年1月10日

2010年 林道日本一周・西日本編

西日本屈指の林道天国、高知県に突入

 国道195号の四ツ足峠からは来た道を引き返し、徳島県側を下っていく。
「峠越え」ではなく「峠返し」。峠を折り返し地点にしての「峠返し」もおもしろいものだ。ひとつのエリアを丹念に見るときには絶好のやり方といえる。
 たとえば関東などは関東平野をとりまく山並みの「峠越え」ではなく「峠返し」をすると、その広さ、大きさというものをより実感できる。
 剣山スーパー林道の入口を過ぎたところで国道を右折。東川千本林道に入り、徳島・高知県境の駒瀬越に向かっていく。
 ダートに突入!
「それ、行け!」
 とばかりにスズキDR-Z400Sを走らせ、渓流沿いのダートを行く。
 舗装化の進む東川千本林道だが、まだ徳島県側には4・3キロのダートが残っている。それがうれしい。
 ダート区間を走りきり、舗装路を登り、県境の駒瀬越トンネルに到達。トンネルを抜け、徳島県から高知県に入った。
 高知県は四国では一番の「林道天国」。というよりも西日本では屈指の「林道天国」といっていい。徳島県には剣山スーパー林道があるが、そのほかにはこれといった林道はない。愛媛県、香川県も同様で、四国の林道といえば高知県に集中している。
 そんな「林道天国」の高知県に入ったので、
「いよいよだな」
 という気分になる。
 限られた時間内で目いっぱい走り、1本でも多くの林道を走りたい「林道の狼カソリ」にとっては、もうエンジン全開モードだ。
 東川千本林道の高知県側の舗装路を下り、峠下のT字の分岐点に出る。
 直進する道は舗装林道の伊尾木林道で土佐湾岸の伊尾木(安芸市)に通じている。
 その分岐を右へ、ロングダートの張川林道に入っていく。
 すぐにダート。峠に向かって登り、宝蔵峠を越える。
 峠を越えると、短い舗装区間はあるものの林道出口までダートがつづく。路面はけっこう整備されているので走りやすい。
 畑山温泉入口まで、ダート23・1キロの張川林道。20キロ超のロングダートは走りごたえがあるというもの。
「やったぜぃ!」
 という気分にひたる。
 山間の一軒宿、畑山温泉「憩いの家」(入浴料400円)の湯に入る。無色透明のやわらかな感触の湯。林道のあとの温泉はたまらない。とくにロングダートを走ったあとの温泉はことさら体にしみた。
 浴室から眺める周囲の山々の新緑、田植えが終ったばかりの山間の水田も、しみじみと日本の初夏を感じさせる風景で目にしみた。

フォトアルバム

四ツ足峠を越える国道195号
那賀川の流れに沿って走る


東川千本林道のダートに突入!
徳島・高知県境の駒背越のトンネル


駒背越の高知県側の眺め
張川林道入口


張川林道のダートに突入!
張川林道の宝蔵峠


張川林道のロングダートを走り切る
畑山温泉


畑山温泉の浴室
畑山温泉から見る山間の水田


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