カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第34回 赤柴林道

投稿日:2011年1月26日

2010年 林道日本一周・西日本編

本格派ダートを走り抜け、分水嶺の峠、上根峠に至る

 広島近郊のダート県道80号を走り抜け、県道37号に出、旧向原町の中心、向原の町に入っていく。ここにはJR芸備線の向原駅がある。
 2004年3月、高田郡の吉田町を中心として向原町、八千代町、美土里町、甲田町の5町が合併し、安芸高田市が誕生した。それにしても平成の大合併で誕生した市町村名を覚えるのは大変だ…。
 向原を過ぎたところで左折し、県道29号経由で赤柴林道に向かっていく。
 県道29号から1・7キロ地点でダートに突入。峠に向かって登っていくにつれてラフな路面に変る。林道には滅法強いスズキDR-Z400Sも、大粒の石がゴロゴロしている急勾配の峠道にはけっこうてこずった。
 4・5キロ地点で安芸高田・広島の市境の峠を越え、5・1キロ地点で舗装路になり、9・1キロ地点で県道68号に出た。
 ダート5・1キロの赤柴林道はおもしろく走れた。それとともに、広島のすぐ近くにこのような本格派ダート林道があることに驚かされた。
 県道68号を行き、ふたたび安芸高田市に入り、国道54号に出る。
 国道54号を北に向かうと、じきに峠に到達。旧八千代町の上根の峠で、峠周辺が平坦な地形だからであろう、峠名はついていない。広島市側は急勾配だが、安芸高田市側はなだらかな峠の構造。名無しの峠なのだが、この上根の峠は重要なのでぼくは「上根峠」と呼んでいる。
 国道54号の峠上には、瀬戸内海に流れ出る太田川の水系と日本海に流れ出る江の川(ごうのかわ)の水系を分ける「分水嶺」の表示板が立っている。この上根峠は中央分水嶺の峠なのだ。

1泊2食2625円、20年以上変わらぬ超低価格の温泉宿

 太田川はおいて、江の川はじつに興味深い。
 中国地方最大の川、江の川は瀬戸内海側の広島県を源としている。何本もの流れが三次盆地に集まり、大河になって中国山地をブチ破り、日本海側の島根県に流れ出ていく。本来ならば江の川は瀬戸内海に流れ出ていくのが自然の姿。それを無理矢理、強引にという感じで中国地方の脊梁山脈、中国山地をブチ破っているのだ。
 このような例はきわめて稀で、日本ではほかに四国の吉野川の例があるぐらいだ。
 吉野川も同じような流れ方をしている。四国山脈の南側を源とし、四国山脈をブチ破っその北側を流れていく。吉野川が四国山脈をブチ破っている所が名勝の大歩危、小歩危になる。
 旧八千代町の中心、八千代を過ぎたところで左折し、県道5号で土師ダムのわきを通り、中国自動車道の千代田ICのある千代田へ。コンビニでパンを食べ、千代田ICからわけない距離の千代田温泉(入浴料300円)に入る。赤茶けた湯と無色透明の2つの湯船。ここは田園の中の一軒宿の温泉だ。
 千代田温泉は中国道の千代田ICに近い温泉なので、今までに何度か泊っている。
「300日3000湯」(2006年~2007年)のときにも泊ったが、1泊2食の宿泊費は何と2625円。
 そのときの食事はといえば、夕食にはカレイの煮魚とサラダ、漬物が出た。シンプルなものだが、おいしくいただいた。カレイの身をすこしづつほぐしながら、丼飯で3杯、食べた。ご飯のおかわりは自由なのだ。
 朝食は丼飯に味噌汁、のり、梅干、漬物というものだったが、いい米を使っているので、丼飯をおかわりした。
 驚いてしまうのは10年前に泊ったときも、20年前に泊ったときも1泊2食の宿泊料金は2625円。今回も入浴料を払うときに、
「宿泊費はおいくらですか?」
 と聞くと、
「2625円ですよ」
 との答えが返ってきた。
 広い日本にはこういう温泉宿もある。

フォトアルバム

赤柴林道のダートに突入!
峠を目指して登っていく


峠の登りはラフな路面
峠からの眺め


国道54号に出る
国道54号の分水嶺


千代田のコンビニで
千代田温泉への道


千代田温泉
千代田温泉の前の水田


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