カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第41回 岩屋二股林道

投稿日:2011年2月6日

2010年 林道日本一周・西日本編

内之浦を起点に、肝属三山周辺を駆けめぐる

 大隅半島東海岸の中心地、内之浦を再度、出発。津房の集落からさきほどの峰越連絡林道に入っていく。林道入口から5・6キロ地点で津房林道との分岐点。そこを直進し、ダートに突入。4・8キロのダートを走り切ると、一面の霧に覆われた峠に着いた。
 峠には国見山(886m)と黒尊岳(908m)への案内標が立っている。この2山と南の甫与志岳(967m)を合わせた3山は「肝属(きもつき)三山」と呼ばれる大隅半島の名山だ。まずは舗装路で国見山の山頂まで登ったが、残念ながら視界ゼロ。何も見えない。次に黒尊岳への道に入ったが、すぐに通行止めになった。
 峰越連絡林道の峠からは舗装路を下り、県道561号に出た。
「林道後」の温泉で高山温泉に向かうことにしたが、その前に県道561号で反対方向の内之浦へと走り、峰越連絡林道の峠の直下を貫く国見トンネルを往復した。全長3300メートルという長大なトンネル。九州の県道のトンネルとしては最長だ。国道のトンネルを見ても、それよりも長いのは国道267号の九七トンネル(熊本・鹿児島 3945m)と国道2号の関門トンネル(福岡・山口 3461m)しかない。
 国見トンネルの完成は2002年。旧内之浦町と旧高山町を結ぶトンネルで、2つの町は国見トンネルの完成で劇的に近くなった。おそらくその結果なのだろう、2005年に2町は合併し、肝付町になった。
 県道561号→県道542号で旧高山町の中心街に入り、町中をひとまわりしたあと、高山川を渡ったところにある高山温泉へ。「高山温泉ドーム」(入浴料300円)の湯に入った。林道を走った後の温泉はいい。ダートランの疲れがスーッと抜けていく。
「高山温泉ドーム」の大浴場内にはいくつもの湯船があるが、それらをひとつづつ入り、露天風呂に入る。すべて無色透明無味無臭の湯。湯から上がるとレストランで昼食。「とんかつ定食」(630円)を食べた。安くてボリュームもあって味も良かった。

桜島、開聞岳を望むロングダート、岩屋二股林道を抜ける

 高山温泉を出発。県道542号を南下し、岩屋二股林道に入っていく。県道から2・0キロ地点でダートに突入。甫与志岳に向かって高度を上げていく。見晴らしの良いポイントに出ると、はるか遠くには噴煙を上げる桜島と薩摩富士の開聞岳が見えた。甫与志岳は全山が緑濃い照葉樹で覆われている。岩屋二股林道のダート、11・3キロを走り抜いて県道542号に出た。岩屋二股林道は大隅半島の2本目のロングダートだ。
 つづいて南甫与志林道(この林道は途中で行止まり)の入口を過ぎたところで、県道を左折し、姫門林道に入っていく。1999年の「林道日本一周」のときはダート区間があったが、今は全線舗装。残念…。県道から5・3キロ地点で峠に着いた。
 そこは「肝属三山」のひとつ、甫与志岳の登山口になっている。
 標高967メートルの甫与志岳は「肝属三山」のみならず、この一帯の肝属山系の最高峰。全山がヤブツバキやサカキ、アセビなどの照葉樹林で覆われている。まさに自然の宝庫といったような山だ。そこからは黒尊岳、国見山へと歩いていける。
 峠から甫与志岳の山頂までは約1時間、甫与志岳から黒尊岳までは約3時間、黒尊岳から国見山までは約2時間で、合計すると約6時間のコースになっている。
 これら「肝属三山」の山頂には、それぞれ神社がまつられている。江戸時代の頃から、地元の旧内之浦町や旧高山町の人たちをはじめ、大隅半島の人たちは「三岳参り」をしているという。4月3日がその例祭日で、夜中に登りはじめ、三山の神々に大漁と豊作を祈願するという。
 甫与志岳への登山口がある姫門林道の峠からは、そのまま大谷添林道のダートに入っていく。5・2キロのダートを走ると、いったん舗装路になるが、ふたたびダートに突入。1・5キロのダート区間を走り抜けると舗装路に出る。大谷添林道のダート区間は合計すると6・7キロになる。
 こうして内之浦湾の海岸に出、内之浦の町中に戻ってきたが、第2弾目の「内之浦→内之浦」は78キロになった。

フォトアルバム

峰越連絡林道のダートに突入!
霧の峠に到達


峠に立つ案内標
県道561号の国見トンネル


高山温泉の入口
高山温泉の露天風呂


高山温泉で昼食
岩屋二股林道のダートに突入!


姫門林道の峠
大谷添林道の表示板


大谷添林道のダートに突入!
大谷添林道を下っていく


大谷添林道の崖崩れ現場を通過
内之浦湾の海岸に出る


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