カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

番外編 能登半島一周

投稿日:2011年3月22日

2010年 林道日本一周・西日本編

 今回の「林道日本一周」に出発したのは2010年5月12日。その2ヵ月ほど前にも金沢にやってきた。金沢を出発点にスズキDR-Z400Sを走らせ、能登半島を一周したのだ。そのときのことを番外編でお伝えしよう。

 3月27日、東京を出発。中央道→長野道→上信越道→北陸道と高速道を走りつないで金沢に向かったのだが、上信越道では雪に降られ、北陸道でが雨に降られてメロメロ状態で金沢に到着した。
 金沢の国道8号沿いの温泉施設「金沢ゆめのゆ」に到着したのは20時30分。
 そこでは北陸でも最大規模のバイクショップ「バイク市場きゃぷてん」の中村社長らがぼくを待ち構えてくれていた。スズキのK野さんも来てくれている。じつは中村社長が金沢に呼んでくださり、今回はそれに合わせての「能登半島一周」なのだ。
 温泉に入って生き返ると、そのあとは大宴会の開始。さんざんご馳走になり、みなさんとおおいに語り合い、宴会がお開きになったのは午前2時過ぎだ。
 次の日は3日間の「金沢バイクフェア」の最終日。地元のテレビ局共催のイベントだ。金沢市内の会場に「きゃぷてん」は300台近いバイクをズラリと並べ、展示即売会をやっている。日本のバイク業界から活気が消えて久しいが、中村社長のパワフルさには目を奪われた。ぼくはテレビ局のインタビューを受けたり、トークショーに出たりしたが、北陸のライダーのみなさんと出会えたことが一番、うれしいことだった。
「金沢バイクフェアー」が終了すると、金沢から国道8号→国道159号で宝達志水町の「きゃぷてん」へ。国道沿いの広い店舗には多数のバイクが展示されている。ここには遠方からもお客さんがやってくると中村社長は自慢していた。そうか、それが北陸一!?のバイクショップの理由なのか。
「きゃぷてん」を後にし、国道159号で七尾へ。七尾から能登島大橋で能登島に渡り、向田の民宿「せがわ」に泊まった。
 さっそく夕食をいただいたが、大変なご馳走だ。
 ブリ、スズキ、サヨリ、甘エビの刺身は超新鮮。カレーの煮魚、イイダコの煮付け、ナマコ料理が出る。さらにアジ、イワシ、キスのつみれ、ホタルイカ、ブリの煮魚とつづいて出てくる。能登の地酒を飲みながら、能登の海の幸を存分に味わった。
 翌朝、BMWのF650GSダカールに乗った澤野雅司さんとヤマハのセロー225に乗った上島辰之さんが民宿「せがわ」に来てくれた。澤野さんはこのBMWで「日本一周」をなしとげたばかり。その間では相当な本数の林道も走破している。旅は道連れで、3台のバイクを走らせての、何とも楽しい「能登半島一周」になった。
 七尾からは国道249号で珠洲へ。「軍艦島」で知られる見附島を見、能登半島突端の禄剛崎に行く。駐車場からは岬の突端まで遊歩道を歩いたが、3月下旬だというのに寒い…。3人で震えながら歩いた。岬の園地には「日本列島ここが中心」の碑が建っている。なるほど禄剛崎を中心にして円を描くと、日本本土最北端の宗谷岬と最南端の佐多岬が同心円上にくるのである。
 東京 302キロ
 ウラジオストック 772キロ
 釜山 783キロ
 上海 1598キロ
 と書かれた距離標もある。ここからだとロシアのウラジオストックが近い。
 岬の先端には灯台。フランス人の設計による灯台で、明治16年に完成した。明治の文明開花を感じさせるような灯台だ。
 禄剛崎は新第三紀層の泥岩から成る海岸段丘で標高46メートル。切り立った岬先端の断崖上に立つと、目の前には日本海の大海原が広がっている。水平線上に佐渡が見える日もあるという。断崖下の千畳敷と呼ばれる岩礁地帯には荒波が打ちつけ、白い波が砕け散っていた。
 ここは古くから日本海航路の重要な地点で、この辺りの地名が「狼煙(のろし)」であることからもわかるように、海岸防備の拠点とされてきた。奈良時代にはすでに狼煙台が置かれていたという。
 禄剛崎からは日本海の海岸線を行く。曽々木海岸では断崖絶壁の小道を歩いたあと、「食堂曽々木」で海鮮漬け丼の「能登丼」を食べた。輪島では鴨ヶ浦の岩場を歩いた。門前では曹洞宗の総持寺を参拝。能登金剛の海岸美を眺め、羽咋では能登の一の宮、気多大社を参拝。境内林の「いらずの森」は能登では一番の原生林。神々に守られてきた一の宮の森は、どこも自然の宝庫なのである。ここを最後に「能登半島一周」を終えた。
 日が暮れたところで、宝達志水町の「きゃぷてん」へ。シーズ犬の「バラキ」のお出迎え。近くのレストランで、中村社長夫妻、社長のお母様、社長の息子の光さん、それと一緒に走った澤野さん、上島さんと夕食をともにした。
 いやー、中村社長、お世話になりました。
 金沢からは北陸道→関越道で東京へ。全行程1600キロの「能登半島一周」だった。


より大きな地図で 林道日本一周 を表示

フォトアルバム

国道159号沿いの「きゃぷてん」
能登島の民宿「せがわ」の夕食


ホタルイカ
ブリの煮魚


民宿「せがわ」を出発
「軍艦島」の見附島


禄剛崎の園地
「日本列島ここが中心」の碑


禄剛崎の距離標
禄剛崎の灯台


曽々木海岸の断崖を貫く小道を歩く
「食堂曽々木」の「能登丼」


輪島の鴨ノ浦
外浦海岸


総持寺祖院を参拝
能登金剛を行く


気多大社の鳥居
気多大社の本殿




気多大社の原生林

Comments

Comments are closed.