カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第91回 米沢名湯めぐり

投稿日:2011年4月13日

2010年 林道日本一周・東日本編

ニホンカモシカに出会い、最上川の源流を眺める

 米沢の周辺には「米沢八湯」とか「米沢十湯」と呼ばれる名湯の数々がある。上杉謙信をまつる上杉神社の参拝を終えると、スズキDR-Z400Sを走らせ、それら米沢周辺の温泉をめぐった。
 米沢市内の米沢温泉「平安の湯」(入浴料300円)に入ったあと国道13号で福島県境へ。奥羽山脈の中央分水嶺の峠、栗子峠を「西栗子トンネル」(2675m)で抜けていく。
 第2湯目は五色温泉。「宋川旅館」(入浴料500円)の屋根つきの露天風呂に入る。木の湯船。塩分を含んだ無色透明の湯。ここでは壮絶なアブとの戦いをくり広げた。露天風呂の入浴客はぼく1人なのでアブの集中砲火を浴びてしまう。湯をかけて応戦し、動きが弱まって壁などに止まったアブをタオルでたたき落とした。
 これが夏の東北の露天風呂…。アブさえいなければ…。アブにやられたところは最初は痛痒いが、そのうちたまらないほどのかゆみがつづき、それが何日もつづく。
 五色温泉の近くではニホンカモシカに出会った。好奇心旺盛なニホンカモシカはキョトンとした格好で立ちつくしていたが、DRで近づくと崖の上に駆け登り、その上で立ちつくしてぼくを見下ろした。
 板谷の集落からJR奥羽本線の板谷駅前を通り、名無しの中央分水嶺の峠を越え、峠駅へと下っていく。駅前の「峠の茶屋」で名物の「峠の力餅」と「雑煮」を食べた。ともに搗きたての餅が超うまい。
 ここから中央分水嶺の萱峠を越えて第3湯目の滑川温泉へ。
「福島屋旅館」(入浴料500円)の湯に入る。混浴の白濁湯の内風呂のあと、同じく混浴の露天風呂に入る。大岩風呂の若干、白濁した湯につかりながら目の前を流れる渓流を眺めた。
 第5湯目は姥湯温泉。滑川温泉からさらに4キロほど山中に入ったところに「桝形屋」(入浴料500円)がある。すごいところにある温泉宿だ。ここでは混浴の大露天風呂に入った。白濁の酸性湯。吾妻連峰の断崖絶壁を見上げながら湯につかった。
 五色温泉、滑川温泉、姥湯温泉の3湯に入り、中央分水嶺の板谷峠を越えた。
 栗子峠を皮切りに名無し峠、萱峠、そして板谷峠とたてつづけに中央分水嶺の4峠を越えたが、五色温泉、滑川温泉、姥湯温泉の3湯はすべて太平洋側になる。
 山形県はほぼ全域が奥羽山脈の西側、つまり日本海側になるが、唯一、この一帯だけは太平洋側のエリアになる。
 鉄道の駅でいえば板谷駅は太平洋側で、峠駅は日本海側になる。
 板谷峠を越え、第6湯目の笠松温泉「笠松旅館」(入浴料300円)の湯に入り、湯ノ沢温泉へ。残念ながらここは今、入浴のみは不可だった。
 最後は大平温泉。大平の集落から林道の終点まで行き、そこにDRを停め、歩いて最上川源流の谷底まで下っていく。膝がガクガクしてくる。最後につり橋を渡り、一軒宿の「滝見屋」(入浴料500円)に到着。最上川の源流を目の前にする露天風呂に入る。無色透明の湯。最上川のせせらぎがたまらない。気分よく湯から上がったものの、そのあとの登りがきつい。もうヒーヒーハーハー状態。バイクを停めた地点まで戻ると、汗が滝のように流れ落ちた。
 こうして7湯の温泉に入って米沢に戻った。
 なおこれら7湯のほかにも米沢には小野川温泉、白布温泉、新高湯温泉などがある。

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今回のエリア:昭文社ツーリングマップル東北 23、24あたり

米沢温泉→五色温泉→滑川温泉
→姥湯温泉→笠松温泉→湯ノ沢温泉→大平温泉

五色温泉「宋川旅館」
「宋川旅館」の露天風呂


JR奥羽本線の峠駅
峠駅前の「峠の茶屋」


峠の力餅
雑煮


滑川温泉「福島屋旅館」
「福島屋旅館」の内風呂


滑川温泉の露天風呂
姥湯温泉に到着


姥湯温泉「桝形屋」
「桝形屋」の露天風呂


板谷峠を越える
笠松温泉の湯


大平温泉「滝見屋」
「滝見屋」の露天風呂


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