カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

第105回 ピヤシリ越・奥幌内本流林道

投稿日:2011年4月29日

2010年 林道日本一周・東日本編

林道直結、なよろ温泉サンピラーの湯

 旭川の近文駅前を出発。道北の幹線、国道40号に出ると、スズキDR-Z400Sを走らせ、塩狩峠を越える。旭川市と和寒町の境の峠。「塩狩」の名前の通り、天塩と石狩の旧国を分けている。

 道東、道北にはこのような2国の造成語の峠名が多い。
 国道38号の狩勝峠(石狩・十勝)、国道39号の石北峠(石狩・北見)、国道274号の日勝峠(日高・十勝)、国道239号と国道275号の2つの天北峠(天塩・北見)、国道244号の根北峠(根室・北見)、国道240号の釧北峠(釧路・北見)、国道274号の釧勝峠(釧路・十勝)などの峠だ。
 明治2年(1869年)、蝦夷は北海道と改められ、そのときに石狩(いしかり)、後志(しりべし)、渡島(おしま)、胆振(いぶり)、日高(ひだか)、十勝(とかち)、釧路(くしろ)、根室(ねむろ)、北見(きたみ)、天塩(てしお)、千島(ちしま)の11国に分けられた。そのときの国名がこうして峠名に残っている。

 標高230メートルの塩狩峠には、JR宗谷本線の塩狩駅がある。ここは三浦綾子の名作『塩狩峠』の舞台。それを記念する「塩狩峠記念館」が駅の近くにある。以前ここには峠上の温泉、「塩狩温泉観光ホテル」があったが、現在は廃業湯。それが何とも残念だ。

 塩狩峠を下り、和寒から士幌を通り名寄へ。
 名寄盆地の中心、名寄は道北をまわるときの絶好の拠点だ。
 国道40号を北上すれば稚内から日本本土最北端の宗谷岬まで行けるし、国道239号で天北峠を越えればオホーツク海側の興部に出られるし、国道239号で霧立峠を越えれば日本海側の羽幌に出られる。

 そんな名寄の町から10キロほど北東に行ったところにある名寄温泉の一軒宿「なよろ温泉サンピラー」(入浴料400円)の湯に入る。4階建の建物。正面には雪質の良さで知られる名寄ピヤシリスキー場。泉質はカルシウム?ナトリウム?硫酸塩・炭酸水素塩泉。旧名でいえば含芒硝?石膏泉だ。美肌の湯で知られ、神経痛や筋肉痛にもよく効くという。
 宿名の「サンピラー」は氷点下20度以下のときに見られる太陽光線の柱「サンピラー」にちなんだもので、いかにも「名寄」といった冬の寒さが容易に想像できる。「なよろ温泉サンピラー」の明るい大浴場の湯にどっぷりつかり、湯から上がると、ピヤシリ越林道に入っていった。

 ピヤシリ越林道のダートは「なよろ温泉サンピラー」の前からはじまる。林道の入口を探しまわらなくてもいい林道直結の温泉、それが名寄温泉。我ら「オフロードライダー」にとっては何ともありがたい温泉ということになる。
 ピヤシリ越林道はピヤシリ山の山頂へと登っていく。道幅の広い走りやすい林道。7・3キロのダートを走るとピヤシリ山頂への道との分岐点。ピヤシリ山(987m)への道は通行止めになっていたが、山頂までは2キロほど。天気がよければピヤシリ山頂からは大展望が楽しめる。
 その先は道幅が狭くなり、若干荒れた路面に変る。ピヤシリ山頂への分岐点から9・9キロ走ったところには名瀑「神門の滝」。熊が出そうなところでちょっと怖かったが滝を見ていった。そこから0・7キロ先の分岐を右へ。奥幌内本流林道を走り、道道60号の幌内越峠に出た。ピヤシリ越・奥幌内本流林道はダート26・9キロのロングダートだ。

 幌内越峠から10キロほど南に向かって下ったところで、道道60号を左折し、ダート30キロ超の奥珊瑠林道に入っていく。だが、残念ながら道道60号から2・3キロ地点にゲート。奥珊瑠林道は通行止めだった。
 国道239号の下川に出ると、桜ヶ丘公園にある全長2キロの「万里の長城」を見る。これは一見の価値あり。「シルクロード横断」(2006年)で見た本物がまぶたに浮かんでくるのだった。
 下川から国道239号で名寄駅前に戻った。


より大きな地図で 林道日本一周東日本編 を表示
今回のエリア:昭文社ツーリングマップル北海道 52あたり

なよろ温泉サンピラー→ピヤシリ越林道
→奥幌内本流林道→奥珊瑠林道→下川

近文駅前を出発
国道40号の塩狩峠


塩狩峠の塩狩駅
名寄駅前に到着


名寄の案内図
「なよろ温泉サンピラー」


「なよろ温泉サンピラー」の湯
ピヤシリ越林道のダートに突入


ピヤシリ越林道を行く
霧のピヤシリ越林道


奥幌内本流林道に入っていく
奥幌内本流林道の出口


道道60号の奥幌内越峠
奥珊瑠林道のダートに突入!


残念…。奥珊瑠林道は通行止め
下川近郊のソバ畑




下川の「万里の長城」

Comments

Comments are closed.