カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

5月19日(7)広田崎(陸前高田市)

投稿日:2011年6月25日

頑張ってるぞ!東北!! ツーリング[鵜ノ子岬→尻屋崎 42]2011年5月19日

 県道38号で広田半島を南下し、最南端の広田崎に立った。
 目の前には黒潮の影響で暖地性の植物がおい茂る青松島と、10万羽のウミネコの繁殖地で知られる椿島が見える。
 広田湾の対岸には長々と延びる唐桑半島が見える。
 絶景岬の広田崎からの眺めは、いつもと変らない。

広田崎からの眺め。手前に青松島、その向こうに椿島が見える
広田湾の対岸に唐桑半島が見える


 広田崎近くの漁港、根岬漁港では、1隻だけ残った漁船が大震災後、初の漁に出てカニ、タコなどをゴッソリ獲って帰港したシーンに遭遇した。しかし出荷する市場もなく、製氷工場も壊滅状態で氷もなく、ご近所のみなさんに配るのだといっていた。
 それでも漁師さんの顔には笑顔が浮かんでいた。
 根岬漁港の漁師さんの話は壮絶なものだ。
 大地震のあと、大津波が来そうだとわかったとき、家族の反対を押し切って港に急行。船をつないだロープを鉈でぶち切り、エンジン全開で沖に逃げた。ほんとうに間一髪で、もし、もたもたしてロープをはずしていたら、港内に押し寄せた大津波に飲み込まれてしまった。ほかの漁船はすべてやられたという。
 ここで聞いた話では、今回の大津波は繰り返し、繰り返し何波にも渡って押し寄せてきたという。

広田崎の根岬漁港で唯一、残った漁船
大震災後、初めて漁に出、カニ、タコをゴッソリ獲ってきた


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