カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[20]

投稿日:2012年3月3日

神々が宿る断崖の岬が日本海に突き出す

 国道229号から分れ、積丹半島北西端の岬、神威岬へ。広い駐車場にスズキDR-Z400Sを停め、岬の突端へと遊歩道を歩いていく。海に落ちる岬の断崖は一面、エゾカンゾウの黄色い花で染まっている。

神威岬の入口に到着
神威岬突端への遊歩道


岬の断崖にはエゾカンゾウの群落
エゾカンゾウの花


 神威岬は古くは御冠(おかむい)岬といわれ、アイヌ人にとっては神々の宿る神聖な場所になっていた。またこの岬は茂津多岬、雄冬岬とともに「蝦夷三険岬」に数えられ、船乗りたちにとってはきわめつけの難所として恐れられた。
 駐車場から岬の突端までは歩いて40分ほど。そこには白黒2色の灯台がある。集塊岩の台地は日本海の波の浸食で削られ、高さ100メートルほどの断崖になっている。下をのぞきこむと、目がくらみそう…。その先は岩礁地帯。そこにそそり立つ岩が「神威岩」だ。
 神威岬も「義経北行伝説」の地。日高・平取のアイヌの首長の娘チャレンカは源義経を慕ってここまで義経の一行の追ってきたが、すでに日本海の彼方へ去ったことを知ると断崖上から身を投げた。その身体が神威岩になったという。チャレンカの嫉妬心から女を乗せた船は転覆するということから、岬一帯は女人禁制の地になった。
 馬の背の台地の突端が神威岬。そこからの眺めは絶景だ。目の前の神威岩などの岩礁の向こうには日本海の水平線。左手を振り向くと積丹半島西岸の海岸線を望み、右手には積丹半島最北端の積丹岬が見えている。

神威岬の灯台
神威岬から見る積丹半島西岸の海岸線


神威岬沖の岩礁地帯と神威岩
神威岬から積丹岬を遠望


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