カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[31]

投稿日:2012年3月27日

島影をかすかに望むサハリンまで、わずか43km

 稚内を出発。宗谷湾岸の国道238号を走り、日本最北端の宗谷岬へ。稚内から33キロ走って宗谷岬に到着。ここが「環日本海ツーリング・北海道編」のゴールになる。

稚内駅前を出発
稚内漁港の岸壁


宗谷岬に到着
宗谷岬を見下ろす


宗谷岬の灯台


 駐車場にスズキDR-Z400Sを停め、北緯45度31分41秒の「日本最北端の碑」に立つと、目の前の宗谷海峡を隔てた水平線上にサハリンがかすかに見えている。
「おー、サハリンよ!」
 そんな言葉が思わず口をついて出る。
 宗谷海峡をはさんだ対岸はサハリン最南端のクリリオン岬。日本時代は西能登呂岬と呼ばれていた。宗谷海峡の幅はわずか43キロでしかない。稚内までの距離とそれほど変らない。
 宗谷岬には間宮林蔵の像が立っている。岬に近い珊内(さんない)は古くから樺太(サハリン)への渡海地として知られ、間宮林蔵もそこから文化5年(1808年)に渡った。
 こうして日本に居ながら国境の向こうの異国を見ると、無性に海の向こうの世界へと夢を駆りたてられる。
「待ってろよー、サハリン!」
 と、心の中で叫んでやった。
 白亜紀の砂岩、頁岩からなる岬の高台に上がると、霧信号所や無線方位信号所もある赤白2色の灯台が立っている。北の海峡を押さえる要衝の地らしく、明治35年に建設された海軍の望楼が今でも残っている。そんな宗谷岬の高台上の食堂「間宮堂」で昼食。「帆立ラーメン」(750円)を食べた。

宗谷岬の「間宮堂」
「帆立ラーメン」を食べる


 宗谷岬から稚内に戻ると天気は崩れ、雨が降り出した。
 稚内漁港前にある稚内温泉「港の湯」(入浴料700円)に入る。薄茶色をしたツルツル湯。大浴場の熱湯、温湯につかり、港を見下ろす露天風呂に入った。
 この「港の湯」入口に掲げられた写真には目を奪われた。かつての賑わっていた頃の稚内漁港の写真。稚内にもう一度、この賑わいが戻りますようにと願わずにはいられない。

稚内に戻ってきた
雨の稚内漁港


稚内温泉「港の湯」
かつての稚内漁港の賑わい


 さっぱりした気分で稚内港前の国民宿舎「氷雪荘」へ。ここがひと晩の宿になる。
 夕刻、稚内市役所の渡辺さんが「氷雪荘」に来てくれる。渡辺さんの車についてDRを走らせ、南稚内の渡辺さん宅へ。ガレージにDRを入れる。DRとはしばしの別れ。サハリンに向けて出発する日まで渡辺さん宅でDRをあずかってもらうのだ。
 渡辺さんと南稚内駅近くの居酒屋「雑魚や」に行く。ここは稚内でも知られた魚のうまい店。島エビやウニ、八角、ヤリイカ…を食べながら、渡辺さんとおおいに飲み、おおいに語った。
 渡辺さんは「バイク大好き人間」。
 2011年にはサハリンを縦断した。そのときの様子をじっくりと聞かせてもらったが、渡辺さんのバイクに対する熱い想いには胸を打たれた。

「雑魚や」の島エビ
生ウニ&焼きウニ


八角の焼き魚
ヤリイカの刺身


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