カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[53]

投稿日:2012年4月24日

六郷宿が羽州街道の中間点、どまん中の碑を発見

 青森・秋田県境の矢立峠を越えて秋田県に入り、大館盆地の中心、大館へ。JR奥羽本線の大館駅前でビッグボーイを停めた。駅前の食事処「花善」で昼食。名物「鶏飯」の「鶏飯御膳」(1100円)を食べたが、これはよかった。

大館駅前に到着
「花善」の「鶏飯御膳」


 大館からは秋田県の大河、米代川に沿って川口宿、綴子、坊沢…と羽州街道の宿場がつづいていくが、それらの宿場を通る旧道がしっかりと残されている。綴子宿の綴子神社には日本一の大桂、「千年桂」がある。
 二ツ井の宿場、荷上場宿を過ぎると能代平野に入っていくが、広々とした水田地帯の向こうには秋田・青森県境の白神山地の山々が連なっている。
 能代からは豊岡宿、森岡宿と通り、鹿渡宿、一日市宿、大川宿、虻川宿、大久保宿と羽州街道の宿場がつづくのだが、残念ながら豊岡宿と森岡宿の2宿は確認できなかった。このように消え去ってしまった宿場もある。
 大久保宿からはいったん日本海の海岸に出、男鹿半島に落ちていく夕日を眺めた。目の底に残る夕日だ。

米代川流域の水田地帯の向こうに白神山地が見えている
日本海を赤々と染めて夕日が男鹿半島に落ちていく


 大久保宿に戻ると土崎湊宿を通って秋田市内に入っていく。秋田は佐竹氏20万石の城下町。ここはかつての久保田の町。秋田駅のすぐ近くに久保田城跡があるし、羽州街道の宿場も久保田宿だった。
 その夜は秋田駅前の「東横イン」に泊まったが、夕食は秋田の郷土料理の「きりたんぽ鍋」。翌朝は久保田城跡を歩いた。
 秋田から山形までの羽州街道はほぼ国道13号に沿っている。
 秋田を出ると羽州街道の豊島宿、和田宿、境宿、上淀川宿、刈和野宿とつづき大曲宿(大仙市)へ。ここで秋田県のもう1本の大河、雄物川は大曲の地名通り、北から西へと大きく流れを変える。
 大曲宿の次は六郷宿。ここが羽州街道の中間地点。「羽州街道どまん中」の碑が建っている。東海道でいえば袋井宿のようなものだ。
 六郷といえば日本有数の大湧水群で知られている。市街地には約30ヵ所もの湧水があるが、そのうち「御台所清水」と「鷹匠清水」を見た。

秋田の中心街
刈和野宿のJR奥羽本線の刈和野駅


六郷宿は羽州街道の「どまん中」


 六郷の追分で羽州街道は上(うわ)街道と下(しも)街道の2本に分かれる。上街道は秋田を経由し、下街道は角館を経由する。2本の街道は鷹巣の綴子宿で合流。上街道がメインの街道になっていた。
 六郷宿からは金沢宿、横手宿、湯沢宿とつづくが、金沢宿には「後三年の役(平安後期)」の史跡、金沢柵跡がある。横手宿は朝市で知られている。湯沢宿の町中にはケヤキの大木がそそり立つ一里塚があるが、これは羽州街道のものではなく、羽州街道と交差する本荘子安街道の一里塚だ。
 湯沢宿を過ぎると横堀宿、下院内宿と通り、秋田・山形県境の雄勝峠(院内峠)のトンネルを抜け、山形県に入った。

横手宿に入っていく
湯沢宿の一里塚


秋田・山形県境の雄勝峠のトンネル


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