カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

環日本海ツーリング[131]番外編

投稿日:2012年7月25日

ソウル→北朝鮮2001(4)

金剛山で「南男北女」を実感!

 翌日は金剛山登山。登山口まではバスで行き、チョンソンデー(天仙台)とマンヤンデー(望洋台)の2つの岩峰に登った。
 山道の途中には、北朝鮮側の監視をも兼ねているのだろう、男女がペアになって立っている。韓国人たちは北朝鮮の人たちにすごく興味があるようで、何度となく座り込んで話しているシーンを見かけた。
 北朝鮮の女性たちは美人ぞろい。「南男北女」を金剛山のいたるところで実感した。
 一緒に歩いた韓国人女性は、
「北朝鮮に来たという気があまりしない。みんな無表情で、北朝鮮人に会ったという気がしないのよ。自由がないのね。ここへ来る途中の家々には電気が通っていなかったし…。食料も配給だとのことで、それが十分ではないって聞いたわ」
 と、そんなことをいっていた。
 また年配の人は、
「金剛山に来ることができたので、もう私には思い残すことは何もありません」
 といっていた。
 韓国人にとって金剛山は、それほどの山なのだ。
 韓国KBS放送のチョイさんは、
「(同じ民族として)今の北朝鮮の貧しさを見ていると、悲しくなります。やせた人間、やせた牛…」
 といって目を伏せた。

板門店での南北会談?

 金剛山登山を終えて長箭港に戻り、昼食を食べたあとは世界でも最高レベルの北朝鮮サーカスを見た。
 このあとのシーンは忘れられない。
 KMFのシン会長、副会長のチョーさん、それと現代(ヒュンダイ)のチョーさんの3人と、北朝鮮側高官3人の会談に同席させてもらったのだ。それはまるで板門店での南北会談を見るようだった。
 北朝鮮側はKMFの「北朝鮮ツーリング」に対して、ずいぶんと好感を持っているように見受けられた。
 近いうちに、
「必ずや、陸路、北朝鮮に入れるようにする」
 ともいっていた。
 ぼくは3人の北朝鮮の高官に「お会いできてうれしいです」と日本語でお礼をいって握手して別れたが、そのうちの一人の高官は「ようこそ!」と日本語でいってくれた。
 名残惜しい北朝鮮。2日間の北朝鮮での全日程が終了すると、その夜、「現代金剛(ヒュンダイ・クンガム)号」は長箭(チャンジュン)港を離れた。
 2001年6月6日9時、「現代金剛号」は韓国の東海港に到着。岸壁に降り立ったときの我々の第一声は「おー、フリーダム(自由よ)!」だった。
 13名のメンバー全員でバイクを岸壁に降ろし、東海港を出発したのは11時。
 帰路はBMWのR1200Cに乗った。アメリカン風のスポーティーなタイプ。
 国道7号で北の江稜まで行き、そこから朝鮮半島を横断。韓国では一番有名な峠といっていい大関嶺を越え、296キロ走り、19時ソウルに到着した。
 全行程749キロの「ソウル→北朝鮮2001」だった。

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