カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本巡礼[288]

投稿日:2015年6月12日

近江八幡の水郷をめぐる

西国三十三ヵ所めぐり 2009年5月26日

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八幡堀から出る川舟

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ヨシのおい茂る狭い水路を行く

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舟上ではニコニコ顔のカソリ

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すべるようにして水路を行く川舟

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鮮やかな手さばきで舟をあやつる船頭さん

 八幡山を下りると、次に八幡堀から出る舟に乗って近江八幡の水郷をめぐる。70分間で料金は2100円。6人乗りの舟で船頭さんは櫓でこぐ。東京からやってきたカップルと大阪からやってきた若い女性3人組と一緒だ。旅は道連れ、袖ふれ合うも他生の縁で、みなさんとは和気藹藹の雰囲気。お互いの旅の話で盛り上がった。

 近江八幡の水郷は関東の潮来、九州の柳川と並ぶ日本の「三大水郷」のひとつに数えられている。琵琶湖の東側にはいくつもの内湖がある。海にたとえれば琵琶湖は外海で、内湖は内海といったところ。ヨシのおい茂る狭い水路がそれらの内湖をつないでいる。まるで迷路のようだ。「水郷めぐり」には大満足。まるで時間が止まったかのようなゆったりとした70分だった。舟乗り場は何ヵ所かにあり、近江八幡の町中をめぐる「八幡堀めぐり」のコースもある。

 こうして近江八幡の水郷をめぐると、柳川で乗った川舟がなつかしく思い出されてくるのだった。柳川では底が平な「どんこ舟」に乗った。12、3人乗りで、船頭さんは棹1本でたくみに舟をあやつる。堀の両側の柳並木が水面に影を映していた。堀に落ち込む家々の石垣は苔むし、長い歴史を感じさせた。どの家にも水辺まで降りる石段があり、洗いものをしている姿が見られた。舟に乗って嫁入りする習慣は今でもすたれずに残っているという。堀と柳川の人たちの生活は切っても切り離せない。船頭さんは「アーエー 月もでごろも 20日の闇も 舟で通ったがよん 水の泡よ…」と渋い声で「柳川舟唄」を歌ってくれた。舟は赤レンガ造りの味噌蔵や白と黒の対比も色鮮やかななまこ壁の蔵の脇を通り抜けていった。

 近江八幡の水郷めぐりの舟を降りた時は、「次は関東の水郷、潮来の川舟に乗ろう!」と思うのだった。

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琵琶湖の内湖に入っていく ヨシ原の向こうに湖岸の山並みを見る 川舟とすれ違う

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