カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

アドレス日本巡礼[339]

投稿日:2016年4月16日

お礼参りで善光寺

西国三十三ヵ所めぐり 2009年6月3日

旧碓氷峠を出発

旧碓氷峠を出発

信濃追分から北国街道(右)を行く

信濃追分から北国街道(右)を行く

小諸城址の「懐古園」

小諸城址の「懐古園」

北国街道の海野宿入口の白鳥神社

北国街道の海野宿入口の白鳥神社

北国街道の海野宿を行く

北国街道の海野宿を行く

上田城址を歩く

上田城址を歩く

上田城本丸跡の真田神社

上田城本丸跡の真田神社

真田氏の「六文銭」

真田氏の「六文銭」

上田宿内の北国街道を行く

上田宿内の北国街道を行く

坂城から見る千曲川の流れ

坂城から見る千曲川の流れ

坂城の水田の風景

坂城の水田の風景

戸倉の造り酒屋

戸倉の造り酒屋

 旧碓氷峠では「碓氷峠」をあらためて考えてみた。

 旧碓氷峠は明治になると南に移動し、国道18号(旧道)の越える現碓氷峠になった。昭和46年に完成した碓氷バイパスの国道18号(新道)は、さらに南の入山峠を越えている。新碓氷峠といってもいい入山峠は、じつは中山道以前の東山道の越えた峠で、じつは古碓氷峠なのである。その古碓氷峠が新碓氷峠になった。このあたりがじつに面白いではないか。不動の山と違って峠は移動する。碓氷峠はその典型だ。山はいつの時代も山だが、峠は人が越えて初めて峠になるので、時代とともに越えやすい場所へと移っていく。峠には栄枯盛衰があるのだ。

 旧碓氷峠からは来た道を引き返し、軽井沢宿、沓掛宿、追分宿と通り、信濃追分まで戻った。ここからは北国街道で善光寺まで行き、「西国三十三ヵ所巡り」の御礼参拝をする。「四国八十八ヵ所巡り」の御礼参拝は高野山だが「西国三十三ヵ所」は善光寺なのだ。

 信濃追分から北国街道を走り出したものの、すぐに国道18号に合流する。国道18号旧道の国道141号で第1番目の宿場、小諸宿の町並みに入っていく。ここでは小諸城址の「懐古園」(入園料500円)を歩いた。千曲川を望む展望台の近くには島崎藤村の「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なすはこべは萌えず 若草もしくによしなし」の詩碑が立っている。園内には「島崎藤村記念館」もある。展望台から千曲川も流れを見下ろすと、この川が小諸城を守る絶好の堀になっているのがよくわかる。

 小諸宿から田中宿を通り、海野宿に入っていく。北国街道の昔ながらの宿場町がそっくりそのまま残った、というたたずまいをしている。街道沿いには格子の家々が建ち並び、うだつのある家も見られる。街道の脇をさらさらと音をたてて用水路が流れている。ここには電柱が1本もない。中山道の奈良井宿や妻籠宿、馬籠宿のような観光地とは違って、観光客を相手にするような店は少ないし、アドレスで海野宿を走り抜けても観光客の姿はほとんど見られなかった。海野宿のような宿場町が残ったのは驚きだし、現代の奇跡といってもいい。

 海野宿をあとにすると、大屋の駅前を通り、上田宿に入っていく。信州東部「東信」の佐久と並ぶ中心地、上田は天正11年(1583年)に真田昌幸が築城して以来、松平氏5万3000石に至るまでの城下町。城主は真田氏のあと仙石氏、松平氏とつづいたが、上田では仙石氏、松平氏の影は薄い。この地では何が何でも「真田」でなくてはならないようで、上田城といえば真田氏なのだ。上田駅に近い上田城址を歩いたが、城跡には真田神社がまつられ、真田氏の「六文銭」の旗がたなびいていた。

 上田から信州北部の「北信」に入り、鼠宿、坂城宿、戸倉宿と通り、篠ノ井宿へ。ここで善光寺街道が分岐。北国西街道ともいわれる善光寺街道は洗馬宿で中山道に合流する。JR篠ノ井駅前には「布施の郷戦いの地」碑。天文22年(1533年)の秋、この地で上杉謙信、武田信玄、両軍の合戦の火ぶたが切られたのだ。篠ノ井宿から丹波島宿を通り、犀川を渡って長野市内に入り、善光寺のある善光寺宿へ。長野県の県都、長野は善光寺の門前町として発達した。善光寺では大本堂を参拝したあと、門前を歩き、創業元禄年間の看板のかかる「つち茂」で信州名物の「おやき」を食べた。野沢菜と餡子(各160円)だ。善光寺から上田に戻ると、別所温泉の北向観音を参拝する。善光寺だけでは「片参り」で、北向観音を参ることによって「両参り」になるという。北向観音を参拝したことによって、「西国三十三ヵ所巡りは終わった〜!」という気分になった。

 その夜は上田の「秋和鉱泉旅館」に泊まった。湯上がりのビールのうまさといったらなかった。そのあとは「鯉の洗い」や「鯉のうま煮」などの鯉料理を食べながら、信州の地酒を飲んだ。

善光寺を参拝上田電鉄の終点、別所温泉駅別所温泉の北向観音を参拝

善光寺を参拝 上田電鉄の終点、別所温泉駅 別所温泉の北向観音を参拝

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