東北四端紀行[23]
投稿日:2017年3月10日
北端編 3 三途の河を渡って温泉へ
尻屋崎を後にするとスズキDR−Z400Sを走らせ、県道6号で下北半島の中心、むつ市の田名部へ。田名部からは恐山街道の県道4号で恐山に向かっていく。街道沿いには点々と石仏がまつられている。ヒバ林がつづき、ヒバの香りがそこはかとなく漂っている。外輪山の峠の手前には名水の「恐山冷水」。その名の通りのヒヤッと冷たい湧き水だ。
外輪山の峠を越え、宇曽利山湖の湖畔へと下っていく。まずは宇曽利山湖を目の前にする湯坂温泉「しゃくなげ荘」(入浴料200円)の湯に入った。白濁色の湯につかると、チクリと刺すような刺激がある。湯は甘い。それも砂糖をとかしたかのようなかなりの甘さだ。
湯坂温泉の湯から上がると三途の川を渡り、入山料の500円を払って恐山菩提寺の境内に入っていく。そして「日本三大地獄」のひとつ、恐山の地獄を歩いた。地獄の次は温泉。恐山温泉の湯に入る。境内には4湯あるが、4湯とも素朴感の漂う湯屋。「古滝の湯」→「冷抜の湯」→「薬師の湯」→「花染の湯」という順番で4湯をまわった。女性専用の「古滝の湯」以外の3湯に入ったが、「冷抜の湯」と「薬師の湯」は男性専用、「花染の湯」は混浴になっている。
恐山温泉の湯は入山料の500円を払えばどこも無料で入れる。木の湯屋、木の湯船、木の洗い場。木は下北半島特産のヒバ。総木造りの温泉なんて、今の時代では最高の贅沢といっていい。白濁色の湯には酸味があり、強い硫黄臭がある。駐車場には観光バスがズラズラズラッと並ぶような恐山なのだが、3湯とも入浴客はぼく一人だった。
恐山温泉の湯に満足し、田名部に戻った。その夜は田名部に近い斗南温泉の「むつグランドホテル」に泊まった。湯から上がると夕食。小魚やイカ、ホタテの海鮮焼きを食べながら生ビールをキューッと飲み干すのだった。