カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[27日目]

投稿日:2017年7月22日

富士山、信玄、甲府の湯とヤキソバン

甲信編 3日目(2006年12月3日)

 一之橋温泉「一之橋館」の朝湯に入り、納豆、生卵、のり、ヤマメの甘露煮、ナメコ、サラダ、酢の物、漬物の朝食を食べ、8時30分に出発。気温は氷点下2度。厳しい寒さ。ギューッと首を縮めて相棒のスズキST250にまたがる。シートは霜で真っ白。牧丘に向かっていくと富士山がよく見える。

 牧丘から甲府へ。

 第1湯目ははやぶさ温泉。源泉掛け流し。湯船のみならず、洗い場のシャワーも蛇口の湯もすべて温泉。それも飲泉可。湯量の豊富な温泉だ。円形風呂の石造りの鯉の湯口からは勢いよく湯が流れ出ている。湯船からはおしげもなく湯があふれ出ている。露天の東屋風呂は温めの湯。朝日がさんさんと降り注いでいる。

 第2湯目は笛吹川温泉。ここは天然自噴の湯。大浴場も大露天風呂も源泉掛け流し。大露天風呂の奥は洞窟風呂になっている。大露天風呂の湯は温めの湯なので、もう一度、大浴場の内風呂に入り、湯上りにはバニラアイスを食べた。

 第3湯目は正徳寺温泉「初花」の湯。大浴場には熱めの湯と温めの湯の2つの湯船。湯の色は薄茶色。露天風呂は温めの湯。ここには飲泉所がある。湯上りにはアスパラドリンクを飲んだ。

 第4湯目は岩下温泉。ここは場所がわかりにくく、けっこう探しまわった。「温泉めぐり」というのは「温泉探し」のようなもの。岩下温泉には1700年もの歴史があるとのことで、「山梨県最古の温泉」と、一軒宿の新館には大きく書かれていた。

「入浴のみ」は旧館で。浴室には2つの湯船。ひとつは源泉で、入るのにはちょっと勇気が必要なくらいの冷泉。男湯と女湯の浴室とは廊下をはさんだ階下に別な2つの湯船がある。この湯は混浴のようだ。岩下温泉の旧館は不思議な空気を漂わせている。これが1700年の歴史というものなのか…。

 岩下温泉から春日居温泉へ。「加茂川」、「白鳥」、「笛声」、「大棟苑」…と温泉旅館を聞いてまわり、最後に高層温泉ホテルの「春日居」に行ったが、残念ながら入れず。仕方なく、ひとつづきの温泉街のような石和温泉の温泉街に入っていく。

 第5湯目の石和温泉では笛吹川を渡ったところにある日帰り湯の「なごみの湯」に入った。大浴場の湯につかり、「さて、速報を送るか」と思った瞬間、ぼくは青ざめた。auの防水用携帯でパシャリと自分の写真をとり、それを湯につかりながらコメントを添え、「300日3000湯」のウェブサイトに「速報」として送信しているが、その携帯がないのに気がついたのだ。

「しまった…」

 岩下温泉の脱衣所の脱衣籠に置き忘れた。あわてて大浴場を飛び出し、大急ぎで着替え、ST250にムチを入れて走る。岩下温泉に着くやいなや、「すいません。忘れ物をしてしまって…」といって上がり、脱衣所に突進。脱衣籠に置き忘れたオレンジ色の携帯はそのままあった。

 1時間のタイムロスのあと、石和温泉の「なごみの湯」に戻った。

 受付では「さきほどんの入浴券でかまいませんよ」とのありがたいお言葉。もう一度、大浴場の湯に入り、携帯のセルフタイマーで写真をとり、寝湯につかりながら送信した。湯から上がると、大広間で「すしセット」の昼食。そのあと「10分寝」をしようと横になりかかったときに「カソリさん!」の声。なんとぼくの目の前にはキャンプ仲間の「ヤキソバン」がいるではないか。スズキDR−Z400Sを走らせ、清里高原まで行き、その帰りだという。ネットカフェで「300日3000湯」の速報を見て、ここで「カソリの捕獲」をできるのではないかということでやってきた。ヤキソバンが湯に入っている間、ぼくは「10分寝」でぐっすりと眠った。

 目覚めたところでヤキソバンと一緒に第6湯目の御坂温泉へ。ここでは日帰り湯「みさかの湯」の内風呂と大露天風呂の湯に入った。湯から上がるとカンコーヒー&牛乳でヤキソバンと乾杯。「みさかの湯」をあとにすると、カソリは国道20号を左へ、甲府方向へ、ヤキソバンは右へ、東京方向へと向かった。

 甲府駅前に到着したのは16時。駅前に建つ武田信玄の銅像を見たあと、甲府周辺の温泉をめぐる。

 第7湯目は古湯坊温泉「坐坊庵」の湯。入浴料が1000円以上だがヨシとした。浴室からは甲府盆地を見下ろす。浴室内には飲泉所がある。

 第8湯目は要害温泉「要害」の湯。大浴場と露天風呂。ともに石の湯船。露天風呂からは甲府の夜景を見下ろした。

 第9湯目は神明温泉「志麻の湯」。ここはさんざん探してしまった。その間の30分以上の時間のロスが痛い。内風呂の3つの湯船につかった。

 第10湯目は山口温泉。ここは「美肌の湯」で知られている。何人も人たちがペットボトルに源泉を入れて持ち帰っていた。

 第11湯目はフカサワ温泉。内風呂も露天風呂も薄茶色の湯。

 これら甲府周辺の温泉に入り、甲府駅前に戻ったのは22時。22時の宿探しだ。だが甲府には湯村温泉がある。「(この時間でも)湯村温泉ならばきっと泊まれる!」といった確信めいたものがあった。

「甲府富士屋ホテル」に電話すると、1発目の電話で宿をゲット。「これからすぐに行きますから」と声をはずませて湯村温泉へ。到着は22時15分。6階の部屋まで案内されると、間髪を入れずに、大浴場へ。こうして第12湯目の「宿湯」につかることができた。湯から上がると、部屋で夕食。コンビニ弁当の「ハンバーグ弁当」を食べるのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 一之橋温泉「一之橋館」
朝食 一之橋温泉「一之橋館」 納豆、生卵、のり、ヤマメの甘露煮、ナメコ、サラダ、酢の物、漬物、ご飯、味噌汁
8時30分 一之橋温泉「一之橋館」を出発
220湯目 はやぶさ温泉「はやぶさ温泉」(500円)
221湯目 笛吹川温泉「笛吹川温泉」(700円)
222湯目 正徳寺温泉「初花」(600円)
223湯目 岩下温泉「岩下温泉旧館」(300円)
春日居温泉(入れず)
224湯目 石和温泉「なごみの湯」(700円)
昼食 「なごみの湯」 「すしセット」(350円)
「ヤキソバン」との出会い
225湯目 御坂温泉「みさかの湯」(700円)
「ヤキソバン」との別れ
226湯目 古湯坊温泉「坐坊庵」(1300円)
227湯目 要害温泉「要害」(700円)
228湯目 神明温泉「志麻の湯」(600円)
229湯目 山口温泉「山口温泉」(500円)
230湯目 フカサワ温泉「フカサワ温泉」(420円)
22時15分 湯村温泉「甲府富士屋ホテル」(1泊朝食15000円)
231湯目 湯村温泉「甲府富士屋ホテル」
夕食 コンビニ弁当の「ハンバーグ弁当」
本日の走行距離数 105キロ
本日の温泉入浴数 12湯

一之橋温泉「一之橋館」の浴室から見下ろす笛吹川の流れ一之橋温泉「一之橋館」の朝食一之橋温泉「一之橋館」を出発

一之橋温泉「一之橋館」の浴室から見下ろす笛吹川の流れ 一之橋温泉「一之橋館」の朝食 一之橋温泉「一之橋館」を出発

富士山がきれいに見えているはやぶさ温泉笛吹川温泉

富士山がきれいに見えている はやぶさ温泉 笛吹川温泉

笛吹川温泉の近くを流れる笛吹川笛吹川温泉の近くで見る干し柿正徳寺温泉「初花」

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正徳寺温泉「初花」の飲泉所岩下温泉の新館岩下温泉の旧館

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石和温泉「なごみの湯」石和温泉「なごみの湯」の「すしセット」御坂温泉「みさかの湯」

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甲府駅前の武田信玄像古湯坊温泉「坐坊庵」古湯坊温泉「坐坊庵」から見る甲府の夜景

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要害温泉「要害」から見る甲府の夜景やっとみつけた神明温泉「志麻の湯」山口温泉

要害温泉「要害」から見る甲府の夜景 やっとみつけた神明温泉「志麻の湯」 山口温泉

フカサワ温泉湯村温泉「甲府富士屋ホテル」の部屋夕食のコンビニ弁当

フカサワ温泉 湯村温泉「甲府富士屋ホテル」の部屋 夕食のコンビニ弁当

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