カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[44日目]

投稿日:2017年8月27日

信州リンゴをまるかじり

甲信編 20日目(2006年12月20日)

「秋和鉱泉旅館」の朝湯に入り、朝食を食べていると、「KYYさん」が佐久から来てくれた。出勤前だとのことで、「リポビタンD」と「カロリーメイト」を差し入れてもらった。朝食を食べ終わり、出発しようとすると、今度は宿のご夫妻に信州リンゴを何個もいただいた。

 第1湯目は上田市内のしなの木温泉。日帰り温泉の「ひな詩の湯」に入る。大浴場も大露天風呂も人影はまばらで、ほぼ「独占湯」状態で湯につかった。湯から上がると、大広間で「KYYさん」からの「リポビタンD」を飲み、「秋和鉱泉旅館」のご夫妻からの信州リンゴをまるかじりした。

 大広間にはけっこうな人たちがいた。ほぼ全員が中高年の女性たち。まるで婦人会の様相で、こっちのテーブル、あっちのテーブルからにぎやかな話声が聞こえてくる。「ダンナがいないから、これからは寂しい年末…」と、夫を亡くしたような婦人がいえば、「あ〜ら、ダンナなんていればいたで、うるさくって、わずらわしいだけよ」と、まだまだ夫が健在のような婦人が答える。そんな婦人会の会話を子守唄に「10分寝」をした。気持ちのいい眠りだった。

 上田から小諸へ。

 第2湯目は千曲川温泉「ゆうふる田中」の湯。ここは駅舎温泉のようなもの。田中駅に隣接した温泉施設。大浴場と露天風呂があるが、露天風呂の湯につかれば田中駅に入ってくる電車の音を聞く。田中駅からは北国街道の海野宿が近い。

 第3湯目は信州布引温泉の日帰り湯「御牧乃湯」。千曲川の河畔にある温泉で県道40号に面している。ここでは券売機で食事とのセット券を買った。「展望風呂」の湯につかりながら浅間山を眺め、湯から上がると昼食。「焼肉定食」を食べた。セット券は880円。ここの入浴料は400円なので、「焼肉定食」は440円になる。なんという安さ。このように温泉と食事のセット券というのは、きわめて安いところが多い。

「御牧乃湯」から出ると、栃木県の野門温泉「家康の湯」で会った女性温泉家の「ゆーゆーさん」が、にこやかな笑顔で立っているではないか。これから別所温泉に行くのだという。「300日3000湯」のサイトの速報で、ぼくが「御牧乃湯」にいることを知ると、急きょ、立ち寄ってくれたのだ。

「ゆーゆーさん」に会った瞬間、思わず左手で左の頬を隠してしまった。甲州&信州の強烈な寒風にやられ、頬は凍傷状態。「お岩さん」のようなひどい顔になっている。「(そんな顔を)見られたくない」という思いで、無意識のうちに頬を隠した。「また、お会いしましょうね!」といって別れたが、「ゆーゆーさん」はいつまでも、バックミラーの中で手を振ってくれている。

 千曲川沿いの県道40号を行き、正面に見える浅間山に向かってST250を走らせる。抜けるような青空。第4湯目は布引観音温泉。ここには「牛に引かれて善光寺参り」伝説の大岩、「布岩」がある。その下から47度の源泉が湧き出す布引観音温泉の石の湯船につかる。湯船からは湯がおしげもなくあふれ出ている。つづいて布引温泉「あぐりの湯こもろ」に行ったが、ここは休館日で入れなかった。

 千曲川沿いの県道40号を走っていると、赤いバイクとすれ違った。信州に入ってからはほとんどバイクを見ていなかったので、「えらいなあ、この季節にバイクだなんて」と感心していると、そのバイクはUターンして戻ってきた。ホンダXR400のモタードだ。

 ライダーは熊谷の「とりあたまさん」。会社を休んで「カソリ探し」にやってきたという。「カソリさんはきっとこの道を走る」と踏んで県道40号でやってきた。「とりあたまさん」はぼくに会えたことをすごく喜んでくれ、「リポビタンD」と「魚肉ソーセージ」の差し入れをしてくれた。

 小諸に到着。小諸では小諸温泉と中棚温泉の2湯に入った。

 第5湯目の小諸温泉では「小諸グランドキャッスルホテル」の湯に入った。4階の「ブルースカイ」の展望風呂に入る。浅間山と蓼科山がよく見えた。

 第6湯目は中棚温泉の一軒宿「中棚荘」の湯。内風呂と露天風呂はともに趣のある湯。内風呂の一角はリンゴ風呂になっていた。

 小諸から佐久へ。

 第7湯目はさんぴあ佐久温泉「ウエルサンピア佐久」の湯。5階の展望大浴場からは佐久の夜景を一望。佐久の中心のひとつ、岩村田あたりが光の海になっている。遠くには小諸の町明かり。国道142号は光の帯となって佐久平から山間部へと延びている。

 第8湯目は浅科温泉「穂乃香の湯」。大浴場と大露天風呂。大露天風呂の底に敷きつめられた石はザラザラしていて痛い。温泉の成分によって腐食しているのが原因のようだ。湯から上がると、近くのコンビニで「コンビニ弁当」を買い、今晩の宿、春日温泉の国民宿舎「もちづき荘」へ。到着は20時。第9湯目の宿湯から上がると、部屋で「コンビニ弁当」(海老天重と納豆巻)を食べるのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 秋和温泉「秋和鉱泉旅館」
朝食 秋和温泉「秋和鉱泉旅館」 玉子焼き、焼き魚、煮物、サラダ、漬物、ご飯、味噌汁
「KYYさん」との出会い
9時30分 秋和温泉「秋和鉱泉旅館」を出発
376湯目 しなの木温泉「ひな詩の湯」(650円)
377湯目 千曲川温泉「ゆうふる田中」(500円)
378湯目 信州布引温泉「御牧乃湯」(400円)
昼食 信州布引温泉「御牧乃湯」 「焼肉定食」(温泉とのセット券880円)
「ゆーゆーさん」との出会い
379湯目 布引観音温泉「布引観音温泉」(360円)
布引温泉(入れず)
「とりあたまさん」との出会い
380湯目 小諸温泉「小諸グランドキャッスルホテル」(500円)
381湯目 中棚温泉「中棚荘」(1000円)
382湯目 さんぴあ佐久温泉「ウエルサンピア佐久」(500円)
383湯目 浅科温泉「穂の香乃湯」(350円)
20時 春日温泉「国民宿舎もちづき荘」(1泊朝食5190円)
384湯目 春日温泉「国民宿舎もちづき荘」
夕食 コンビニ弁当
本日の走行距離数 72キロ
本日の温泉入浴数 9湯

宿のご夫妻に見送られて秋和温泉「秋和鉱泉旅館」を出発国道18号のバイパスから上田の市街地を見下すしなの木温泉「ひな詩の湯」

宿のご夫妻に見送られて秋和温泉「秋和鉱泉旅館」を出発 国道18号のバイパスから上田の市街地を見下す しなの木温泉「ひな詩の湯」

千曲川温泉「ゆうふる田中」浅間山へとつづく山並みを見る信州布引温泉「御牧乃湯」

千曲川温泉「ゆうふる田中」 浅間山へとつづく山並みを見る 信州布引温泉「御牧乃湯」

信州布引温泉「御牧乃湯」の「焼肉定食」浅間山に向かって県道40号を走る布引観音温泉

信州布引温泉「御牧乃湯」の「焼肉定食」 浅間山に向かって県道40号を走る 布引観音温泉

布引温泉「あぐりの湯こもろ」は休館日で入れず「とりあたまさん」との出会い小諸温泉「小諸グランドキャッスルホテル」

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「小諸グランドキャッスルホテル」から見下ろす小諸の町並み小諸城址中棚温泉「中棚荘」の湯に入る

「小諸グランドキャッスルホテル」から見下ろす小諸の町並み 小諸城址 中棚温泉「中棚荘」の湯に入る

布施温泉は休館日で入れずさんぴあ佐久温泉「ウエルサンピア佐久」浅科温泉「穂の香乃湯」

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