カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[61日目]

投稿日:2017年11月9日

新婚旅行の宿へ

本州西部編 12日目(2007年1月21日)

「シティーイン富山」を8時30分に出発。富山から国道41号を南下し、国道沿いの「すき家」で朝食を食べ、岐阜県に入る。富山とは比べものにならない強烈な寒さ。高山を通り、中央分水嶺の宮峠まで行き、宮峠の「峠返し」で折り返した。

 さ〜、飛騨の温泉めぐりの開始だ。

 第1湯目は国道41号のすぐ脇にある臥龍温泉「ひまわり」の湯。大浴場と露天風呂。飛騨の寒さに徹底的に痛めつけられたので、何ともありがたい湯。湯上りには寝られるようになっているのがありがたい。「15分寝」をして出発だ。

 第2湯目はひだまりの湯温泉「ひだまりの湯」。2湯連続で入浴料が1000円なのが痛い。大浴場と露天風呂。この日は日曜日ということもあって子供連れの姿が目立った。

 第3湯目は四十八滝温泉「遊湯館」の「しぶきの湯」。ここの奥には宇津江田四十八滝がある。

 第4湯目は桃源郷温泉「すぱーふる」の湯。大浴場も露天風呂も大変な混み方。湯の中談義をした常連さんは、「こんなことはめったにないのだけど」といってるので、今日は特別のようだ。大広間の舞台では、地元歌手の歌と踊りで満員の観客。ここのレストラン「西霧」で昼食。「にしきりうどん」を食べたが、トロロやキノコの入った鉄鍋の細麺のうどんだ。

 第5湯目は割石温泉。ここは内風呂のみで、やはり混んでいた。冬の飛騨路の温泉はどこも大盛況だ。

 割石温泉からは神岡へ、そして奥飛騨温泉郷に向かっていく。

 第6湯目は栃尾温泉の共同湯「荒神の湯」。寸志の200円を料金箱に入れて蒲田川河畔の大露天風呂に入る。夕暮れの露天風呂には誰もいない。湯の中では存分に体を伸ばし、ゆったり気分で湯につかった。

 第7湯目は新穂高温泉。蒲田川河畔の「新穂高の湯」は冬期閉鎖。「アルペン浴場」は15時30分までの入場で、ともに入れなかった。吊り橋を渡っていく「深山荘」には入れた。ここには3つの露天風呂。男用と女用のほかに混浴の露天風呂がある。大岩風呂だ。ここでは何人かの関西弁で会話する若い女性と一緒になったが、残念無念…、すでにあたりは薄暗く、彼女らの裸身がうすぼんやりと見えるだけだった。

 第8湯目は福地温泉「旅館山水」の湯。ここでは貸し切り湯状態の露天風呂に入った。

 安房峠の峠返しで、トンネルの入口で折り返すと、第9湯目の平湯温泉「平湯館」の湯に入った。大浴場は木の湯船、大露天風呂は大岩風呂だ。

 今晩の宿、新平湯温泉の「静山荘」に到着したのは20時15分。遅い時間の到着にもかかわらず、宿の女将さんは夕食を用意してぼくを待ってくれていた。

 第10湯目の宿湯に入り、湯から上がると、ご飯、味噌汁、飛騨牛の肉鍋、刺身、塩ジャケ、メンチカツ、赤カブの漬物といった夕食をいただいた。

 ここは何ともなつかしい温泉宿。新平湯温泉には今から30年以上も前になるが、新婚旅行でやってきた。富山から高山線で岐阜県に入り、その支線の神岡線で終点の神岡駅まで行った。妻と2人のいきあたりばったり旅。駅前に停まっていたのが新平湯行きのバス。それに飛び乗って新平湯温泉にやってきた。当時は新平湯温泉よりも一重ヶ根温泉で知られていたが、数軒の宿があるだけの小さな温泉地。3月の中旬のことで、あたりにはまだかなりの雪が積もっていた。

 ふらりと新平湯温泉にやってきたものの、宿は冬期休業中だったりして泊れない。あやうく新婚旅行で宿なしになるところだった。そんなとき、「静山荘」の女将さんが「いいわよ、ウチに泊っていきなさい」といってくれたのだ。助かった。そのおかげでふんだんにあふれ出る湯にどっぷりつかることができた。我々はここがすっかり気に入り連泊した。

 新婚旅行の宿ということで、その後、何度か「静山荘」には泊った。

 上宝村(現高山市)の村長が来たときのことは忘れられない。女将さんは部屋に呼びに来て、村長らとの席に同席させてもらったのだ。次々に村議たちもやってきて、「静山荘」は村議会に早変わり。飲みながら村長や村議のみなさんとおおいに話すことができた。

 また別のときには、温泉の掘削現場を案内してもらったこともある。若くしてボーリングの技術を身につけたご主人の曽祢辰三さんは奥飛騨温泉郷の温泉開発の立役者だ。

 夕食を食べながらの女将さんとの話が盛り上がっているときに、「健治旅館」の女将の淳子さんが飛騨の銘酒を持ってやってきた。淳子さんはぼくのことを知っていて、開口一番、「カソリさん、なんでウチには泊ってくれないんですか」といわれてしまった。「静山荘」での、そんな淳子さんをまじえての会話はいやがうえにも盛り上がり、あっというまに夜は更けていった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
8時30分 富山「シティーイン富山」を出発
朝食 大沢野の「すき家」 「朝食セット」(280円)
岐阜県に入る
宮峠 峠返し
530湯目 臥龍温泉「ひまわり」(1000円)
531湯目 ひだまりの湯温泉「ひだまりの湯」(1000円)
532湯目 四十八滝温泉「遊湯館」(600円)
533湯目 桃源郷温泉「すぱーふる」(600円)
昼食 桃源郷温泉「すぱーふる」 「にしきりうどん」(500円)
534湯目 割石温泉「割石温泉」(400円)
535湯目 栃尾温泉「荒神の湯」(200円)
536湯目 新穂高温泉「深山荘」(500円)
537湯目 福地温泉「旅館山水」(500円)
安房峠 峠返し
538湯目 平湯温泉「平湯館」(1000円)
20時15分 新平湯温泉「静山荘」(1泊2食8500円)
539湯目 新平湯温泉「静山荘」
夕食 ご飯、味噌汁、飛騨牛の肉鍋、刺身、塩ジャケ、メンチカツ、赤カブの漬物
本日の走行距離数 243キロ
本日の温泉入浴数 10湯

国道41号沿いの「すき家」の「朝食セット」国道41号の富山・岐阜県境国道41号の数河峠

国道41号沿いの「すき家」の「朝食セット」 国道41号の富山・岐阜県境 国道41号の数河峠

国道41号の宮峠臥龍温泉「ひまわり」ひだまりの湯温泉「ひだまりの湯」

国道41号の宮峠 臥龍温泉「ひまわり」 ひだまりの湯温泉「ひだまりの湯」

四十八滝温泉「遊湯館」に到着四十八滝温泉「遊湯館」桃源郷温泉「すぱーふる」への道から見る雪景色

四十八滝温泉「遊湯館」に到着 四十八滝温泉「遊湯館」 桃源郷温泉「すぱーふる」への道から見る雪景色

「すぱーふる」の大広間では地元歌手の歌と踊り「すぱーふる」の「にしきりうどん」割石温泉「割石温泉」

「すぱーふる」の大広間では地元歌手の歌と踊り 「すぱーふる」の「にしきりうどん」 割石温泉「割石温泉」

栃尾温泉「荒神の湯」奥飛騨の夕景吊り橋を渡って新穂高温泉の「深山荘」へ

栃尾温泉「荒神の湯」 奥飛騨の夕景 吊り橋を渡って新穂高温泉の「深山荘」へ

福地温泉「旅館山水」の露天風呂安房トンネルの入口で折り返す平湯温泉「平湯館」の大露天風呂

福地温泉「旅館山水」の露天風呂 安房トンネルの入口で折り返す 平湯温泉「平湯館」の大露天風呂

新平湯温泉「静山荘」の夕食

新平湯温泉「静山荘」の夕食    

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