カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[77日目]

投稿日:2018年2月3日

「雲南」に来た!

本州西部編 28日目(2007年2月6日)

 松江温泉「ホテル白鳥」の朝湯に入る。5階の浴室からは真下に一畑電鉄のターミナル駅、松江しんじ湖温泉駅を見下ろす。湯から上がると朝食。さすが宍道湖畔の温泉宿だけあって、味噌汁はシジミ。宍道湖産のヤマトシジミで身までしっかり食べられる。湯豆腐、イカ刺、シラスおろし、干物、ちくわ、玉子焼き、サラダの朝食を食べ、部屋に戻ると朝寝。30分間の気持ちよい朝寝だ。

 9時30分、松江温泉を出発。松江周辺の温泉をめぐる。

 まずは北へ。島根半島に入っていく。スズキDJEBEL250XCで切る風はもうすっかり春の風。20分も走ると、第1湯目の鹿島温泉に到着。日帰り湯「多久の湯」にはすでに何人もの人たちが待っていた。そんな列に並び、オープンと同時に「一番湯」に入った。大浴場と露天風呂。とくに檜風呂の露天風呂の湯には気持ちよくつかれた。

 松江に戻ると、今度は南へ。気温はさらに上がる。

 第2湯目の八雲温泉に向かう。その途中ではジェベルに乗りながらくしゃみを連発。鼻水ジュルジュル、目はクシャクシャ。やってきました花粉症…。西に来ている分だけ、発症が早い。例年よりも10日以上早い。ぼくにとっては何とも辛い季節のはじまりだ。やっと冬を乗り越え、甲州路でやられた顔面の凍傷の傷跡も薄らいできたというのに…。

 八雲温泉では日帰り湯「熊野館」の湯に入ったが、湯につかっている間だけは花粉症の症状はやわらぎ、すごく楽な気分になれる。温泉で花粉症は治らないが、「湯につかっている間は花粉症のことを忘れよう」と、八雲温泉でそう心に決めるのだった。

 八雲温泉からは県道53号で海潮温泉に向かう。名無しの峠を越えると松江市から雲南市に入る。雲南市というのは大東町、加茂町、木次町、三刀屋町、掛合町、吉田村の出雲の5町1村が2004年11月に合併してできた市。峠上でジェベルを停めて写真を撮ったが、「雲南」の2文字を見ると、胸が熱くなる。

「雲南」はぼくにとってはまだ見ぬ憧れの地。1992年〜93年の「インドシナ一周」ではラオス、ベトナム側から中国国境まで行き、何度となく雲南の山々を眺めた。日本の雲南の山並みを見ながら、いつの日か、雲南の省都、昆明からベトナム国境へ、ラオス国境へ、ミャンマー国境へ、さらにはチベット境へと「バイクで走ってやる!」と夢をあらたにした。「いつかはやってやる」と思い込むことが実現への第一歩。必ずや実現させよう!

 第3湯目の海潮温泉では共同浴場「かじか荘」の湯に入った。入口の料金箱に200円を入れ、備え付けの用紙に「済」の印を押す。湯量豊富な温泉。湯はふんだんに湯船に流れ込み、そしてあふれ出ていく。ここは「出雲風土記」にものっているような古湯。湯から上がると「木次牛乳」を飲んだ。濃厚な味わいの牛乳だった。

 第4湯目は山陰の名湯、玉造温泉。玉湯川の両側の温泉街は以前に来たときよりも寂れているような印象を受けた。大国主命とともに国造りをした少彦名命が発見したといい伝えられている古湯。ここでは日帰り湯「ゆ〜ゆ」の湯に入った。船をかたどったかのような建物の5階が大浴場。底の浅い露天風呂には打たせ湯もある。

 湯から上がると2階のレストランで昼食。「バイキング」(1180円)だった。「よーし!」と、気合を入れて食べることにした。第1弾目は大皿に12種の料理をとり、五目ずしと一緒に食べた。第2弾目は6種のおでん。第3弾目は熱々のカレー&大皿のサラダ。食後のデザートは杏仁豆腐。大満足の「ゆ〜ゆ」での昼食だった。

 出雲の温泉めぐりがつづく。

 第5湯目は来待温泉。「大森の湯」は休館日で入れなかったが、温泉旅館「きまち温泉」の湯には入れた。ここには大浴場と中浴場があって、中浴場の方に入らせてもらった。入浴客はぼくひとり。ゆったり気分で湯につかった。

 第6湯目は木次温泉「おろち湯ったり館」の湯。大浴場と露天風呂。露天風呂は1階と2階にあるが、両方の湯に入った。

 第7湯目は「日本三大美人湯」で知られている湯ノ川温泉。ここでは温泉旅館「湯元湯の川」の湯に入った。源泉掛け流し。石造りの湯船からは湯があふれ出ている。やわらかな肌ざわりの湯なのだが、湯の中でよりも、湯から上がったあと肌に残る感触がよかった。そのあたりが「日本三大美人湯」のゆえんなのか。

 第8湯目は平田の大規模ショッピングセンター内にある割烹温泉の日帰り湯「ゆらり」。木枠の長方形の内風呂も大きいが、それ以上に大きいのは露天風呂。目を見張るような大きさだ。

 第9湯目は出雲駅前温泉「ランプの湯」。JR出雲市駅前にある日帰り湯で、その名の通り、大浴場と露天風呂にはランプの明かりが灯っている。幻想的な気分で黄土色の湯につかった。ここを最後に出雲の温泉めぐりを終えた。

 国道9号を西へ。出雲から石見に入っていく。今晩の宿は石見銀山に近い湯迫温泉。21時30分、「湯迫温泉旅館」に到着。ここは部屋に鍵もないような温泉宿。それがまた何ともいいではないか。そんな鄙びた系の温泉宿の湯にじっくりとつかるのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 松江温泉「ホテル白鳥」
朝食 松江温泉「ホテル白鳥」 ご飯、シジミの味噌汁、イカ刺し、湯豆腐、干物、チクワ、玉子焼き、シラスおろし、サラダ、漬物
9時30分 松江温泉「ホテル白鳥」を出発
693湯目 鹿島温泉「多久の湯」(400円)
花粉症、発症…。長い長い花粉症との戦いがはじまる
694湯目 八雲温泉「熊野館」(300円)
県道53号の峠 峠越え
695湯目 海潮温泉「かじか荘」(200円)
696湯目 玉造温泉「ゆ〜ゆ」(600円)
昼食 玉造温泉「ゆ〜ゆ」のレストラン「神在」 「バイキング」(1180円)
697湯目 来待温泉「きまち温泉」(400円)
698湯目 木次温泉「おろち湯ったり館」(500円)
699湯目 湯ノ川温泉「湯元湯の川」(500円)
700湯目 割烹温泉「ゆらり」(500円)
701湯目 出雲市駅前温泉「ランプの湯」(600円)
夕食 大田の「天霧」 「さぬきうどん&カツ丼」(850円)
21時30分 湯迫温泉「湯迫温泉旅館」(1泊朝食5925円)
702湯目 湯迫温泉「湯迫温泉旅館」
本日の走行距離数 189キロ
本日の温泉入浴数 10湯

松江温泉「ホテル白鳥」の朝食「ホテル白鳥」を出発鹿島温泉「多久の湯」

松江温泉「ホテル白鳥」の朝食 「ホテル白鳥」を出発 鹿島温泉「多久の湯」

「多久の湯」の露天風呂「多久の湯」の露天風呂に入る八雲温泉「ホットランドやくも」には入れず

「多久の湯」の露天風呂 「多久の湯」の露天風呂に入る 八雲温泉「ホットランドやくも」には入れず

八雲温泉「熊野館」「熊野館」の露天風呂県道53号の峠を越えて雲南市に入る

八雲温泉「熊野館」 「熊野館」の露天風呂 県道53号の峠を越えて雲南市に入る

海潮温泉「かじか荘」玉造温泉の温泉街玉造温泉「ゆ〜ゆ」

海潮温泉「かじか荘」 玉造温泉の温泉街 玉造温泉「ゆ〜ゆ」

「ゆ〜ゆ」の昼食来待温泉「きまち温泉」木次温泉「おろち湯ったり館」

「ゆ〜ゆ」の昼食 来待温泉「きまち温泉」 木次温泉「おろち湯ったり館」

ここは雲南市役所湯ノ川温泉「湯元湯の川」の湯割烹温泉「ゆらり」

ここは雲南市役所 湯ノ川温泉「湯元湯の川」の湯 割烹温泉「ゆらり」

大田の「天霧」の「さぬきうどん&カツ丼」湯迫温泉「湯迫温泉旅館」に到着

大田の「天霧」の「さぬきうどん&カツ丼」 湯迫温泉「湯迫温泉旅館」に到着  

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