カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[179日目]

投稿日:2019年3月27日

やっぱりカソリさんだ!

本州東部編 5日目(2007年6月24日)

 吉野谷温泉「吉野谷鉱泉」の朝湯に入る。効き目の良さで知られる「吉野谷鉱泉」だけあって、湯から上がっても、肌には湯の感触がいつまでも残っている。さすが江戸時代からの名湯だけのことはある。湯から上がると、ご飯、味噌汁、串焼肉、サラダ菜、生卵、漬物、ミルクつきの朝食を食べ、8時30分に出発。

 今日はまず、前日にひきつづいていわき市内の温泉をめぐる。

 第1湯目はいわき市最大の温泉地のいわき湯本温泉。福島県のみならず、東北の太平洋岸では最大の温泉地になっている。ここには50軒ほどの温泉宿があるが、温泉街の中央にある共同浴場「さはこの湯」に入った。人気の湯だけあって混みあっていた。大浴場には八角形の湯船と小さい湯船。小さい方はかなり熱い。足だけつけて入らない人もいる。そんな熱めの湯につかると、体は真っ赤になる。熱い湯というのはいいもので、湯につかった瞬間に目覚めるというか、体がしゃきっとする。

 第2湯目は成沢温泉「成沢の湯」。国道49号から北に2キロほど入ったところにある。見た目にはごく普通の農家。ふたをとって小さめな湯船の湯につかる。無色透明の湯。この湯の効能には定評があって、吹き出物には抜群に効くという。湯が毒を吸い出してくれるというのだ。傷口が膿んだとき、この湯に傷口をつけると、膿みが吸い出され抜け出ていくのが見えるほどだという。昔はマムシにかまれると、この湯で毒を吸い出した。温泉の持つ不思議な力というしかない。最近ではアトピーに効くといって、遠方からも入浴客がやってくる。

「成沢の湯」から上がり、宿前のベンチに座って自販機のカンコーヒーを飲んでいた。するとトライアルバイクの一団が通り過ぎ、Uターンして戻ってきた。

「あー、やっぱりカソリさんだ!」

「こんなところで何してるんですか?」

「トライアル軍団」のみなさんと一人づつ握手をかわしたが、全員が地元の人たちで、「ツーリングトライアル」のルート探しでまわっているという。いわき市は大変な「温泉の宝庫」だが、ここは同様に大変な「林道の宝庫」でもある。何本もの林道がいわき市の山中を網の目のようにめぐっている。短い時間だったが、「トライアル軍団」のみなさんとの語り合いは楽しい時間だった。

 第3湯目は入の元湯温泉「神泉亭」の湯。露天風呂風の大きな湯船につかる。

 第4湯目の白鳥温泉では「喜楽荘」、「春木屋」とまわったが入れず。「ホテル パームスプリング」の湯に入れた。2階の露天風呂は風情がある。木の湯船。白鳥温泉は「馬の温泉」で知られている。ここには日本中央競馬会の競走馬専用の温泉施設がある。

 第5湯目は中根の湯温泉「中根の湯」。石造りの湯船の無色透明の湯につかる。浴室からは入遠野川の清流を見下ろす。すぐ近くにはアユの簗場がある。湯から上がるとここで昼食。「天ざるそば」を食べた。手打ちのうまいそばだった。

 東北の玄関口、勿来に戻ると、県道71号で阿武隈山地の山中に入っていく。

 第6湯目は入道温泉「入道の湯」。ここは痔によく効く温泉だといわれている。無色透明のやわらかな感触の湯。肌にまとわりつくようだ。

 第7湯目は湯ノ田温泉「さぎり荘」の湯。ここは内風呂のみで、小さめな湯船。無色透明の湯につかる。

 第8湯目は常世温泉「乙女姫の湯」。石造りで木枠の湯船。やわらかな美人の湯。浴室からは緑したたる庭園がよく見える。

 第9湯目は志保ノ湯温泉「志保ノ湯温泉」の湯。ここは内風呂のみで、2つの湯船がある。ひとつは湯、もうひとつは源泉(29度)。打たせ湯もある。

 第10湯目の湯岐温泉には3軒の老舗旅館がある。古風な温泉地の伝統をそっくりそのまま残して今に伝えている湯岐温泉。「山形屋旅館」に入浴料を払って、共同浴場の「岩風呂」に入る。ここは混浴(21時〜22時は女性タイム)。先客がいた。地元のおばあちゃんと湯治に来ている4人組。温めの湯で気持ちよく長湯できる。湯船のすみで湯につかりながらおばあちゃんと4人組の会話を聞いていたが、そのうち4人組の1人が民謡を歌いだした。いい声だ。思わず聞きほれてしまった。

 第11湯目は新湯岐温泉「湯岐山荘」の湯。大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯。ここを最後に国道349号で矢祭へ。

 矢祭からは国道349号で福島・茨城県境の明神峠まで行ってみる。峠上は2車線の幅広の道で、そこにDRを停めた。明神峠は東北の最南端の峠。「峠返し」で矢祭に戻り、今晩の宿、東舘温泉「ユーパル矢祭」に到着したのは19時20分。第12湯目の「宿湯」に入ったあと、レストランで夕食にする。まずは生ビールで乾杯。そのあと「ロースカツ定食」を食べた。こうしてひと晩泊まる宿で夕食を食べられるのは何ともありがたいことだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 吉野谷温泉「吉野谷鉱泉」
朝食 吉野谷温泉「吉野谷鉱泉」 ご飯、味噌汁、串焼肉、サラダ菜、生卵、漬物、ミルクつき
8時30分 吉野谷温泉「吉野谷鉱泉」を出発
1798湯目 いわき湯本温泉「さはこの湯」(220円)
さわの湯温泉「さわの湯鉱泉」(入れず)
1799湯目 成沢温泉「成沢の湯」(750円)
出会い トライアル軍団
1800湯目 入の元湯温泉「神泉亭」(525円)
中の湯温泉「ホテル中の湯」(入れず)
1801湯目 白鳥温泉「ホテル パームスプリング」(500円)
1802湯目 中根の湯温泉「中根の湯」(500円)
昼食 中根の湯温泉「中根の湯」天ざるそば(1000円)
銅谷温泉「銅谷乃湯」(休業中)
1803湯目 入道温泉「入道の湯」(400円)
1804湯目 湯ノ田温泉「さぎり荘」(200円)
1805湯目 常世温泉「乙女姫の湯」(500円)
1806湯目 志保ノ湯温泉「志保ノ湯温泉」(700円)
1807湯目 湯岐温泉の共同浴場「岩風呂」(300円)
1808湯目 新湯岐温泉「湯岐山荘」(500円)
19時20分 東舘温泉「ユーパル矢祭」(1泊朝食7680円)
1809湯目 東舘温泉「ユーパル矢祭」
夕食 東舘温泉「ユーパル矢祭」 ロースカツ定食(1050円)
本日の走行距離数 203キロ
本日の温泉入浴数 12湯

吉野谷温泉「吉野谷鉱泉」の朝食いわき湯本温泉「さはこの湯」さわの湯温泉「さわの湯鉱泉」には入れず

吉野谷温泉「吉野谷鉱泉」の朝食 いわき湯本温泉「さはこの湯」 さわの湯温泉「さわの湯鉱泉」には入れず

成沢温泉「成沢の湯」これが成沢温泉「成沢の湯」「トライアル軍団」のみなさん

成沢温泉「成沢の湯」 これが成沢温泉「成沢の湯」 「トライアル軍団」のみなさん

入の元湯温泉「神泉亭」「神泉亭」の湯中の湯温泉「ホテル中の湯」には入れず

入の元湯温泉「神泉亭」 「神泉亭」の湯 中の湯温泉「ホテル中の湯」には入れず

白鳥温泉「喜楽荘」には入れず「春木屋」には入れず白鳥温泉「ホテル パームスプリング」

白鳥温泉「喜楽荘」には入れず 「春木屋」には入れず 白鳥温泉「ホテル パームスプリング」

「ホテル パームスプリング」の湯「ホテル パームスプリング」の湯に入る中根の湯温泉「中根の湯」

「ホテル パームスプリング」の湯 「ホテル パームスプリング」の湯に入る 中根の湯温泉「中根の湯」

これが「中根の湯」「中根の湯」の「天ざるそば」ゆるやかな峠を越える

これが「中根の湯」 「中根の湯」の「天ざるそば」 ゆるやかな峠を越える

入道温泉「入道の湯」これが入道温泉「入道の湯」湯ノ田温泉「さぎり荘」

入道温泉「入道の湯」 これが入道温泉「入道の湯」 湯ノ田温泉「さぎり荘」

常世温泉「乙女姫の湯」これが常世温泉「乙女姫の湯」志保ノ湯温泉「志保ノ湯温泉」の湯

常世温泉「乙女姫の湯」 これが常世温泉「乙女姫の湯」 志保ノ湯温泉「志保ノ湯温泉」の湯

湯岐温泉の「井桁屋旅館」湯岐温泉の共同浴場「岩風呂」新湯岐温泉「湯岐山荘」

湯岐温泉の「井桁屋旅館」 湯岐温泉の共同浴場「岩風呂」 新湯岐温泉「湯岐山荘」

「湯岐山荘」の湯東舘温泉「ユーパル矢祭」の「ロースカツ定食」

「湯岐山荘」の湯 東舘温泉「ユーパル矢祭」の「ロースカツ定食」  

Comments

Comments are closed.