カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[183日目]

投稿日:2019年4月13日

「一回入浴」と「日帰り入浴」

本州東部編 9日目(2007年6月28日)

 三穂田温泉「三穂田温泉」の朝湯に入る。朝日を浴びた庭園を眺めながら湯につかった。湯船からはおしげもなく湯があふれ出ている。ここの湯は加水なし、加温なし、消毒なし、循環なしの「ナシナシ湯」。もちろん入浴剤も入れていない。館内には2組の団体が泊まっていたが、朝食直前になると浴室には誰もいない。自分一人で大浴場の湯につかった。湯から上がると、ご飯、味噌汁、サケ、シラスおろし、納豆、海苔、漬物といった朝食を食べ、8時30分に出発。郡山の温泉めぐりを開始する。

 第1湯目は大森温泉。到着はジャスト9時。日帰り湯「大森屋」の入口には次のように書かれている。
  日帰り  午前9時より午後4時まで
  一回入浴 午前9時より午後9時まで

 ここでいうところの「日帰り」というのは、大広間や貸切の部屋でゆっくり1日過ごし、何度か温泉に入ることをいう。それに対して「一回入浴」というのは文字通り、1回、温泉に入って出ていくことで、「時間は1時間以内にしてください」との貼紙がしてある。この地方では「一回入浴」のことを「一回入り」とよくいっている。「大森屋」の「一回入浴」は400円、「日帰り入浴」は1200円になっている。

 大森温泉の一番湯に入る。ほかにも何人かの入浴客がいたが、みなさん常連さんで、全員が「日帰り」。「日帰り入浴」というよりも、「日帰り湯治」といった方がいい。無色透明のぬるぬる湯。飲泉可。常連さんたちとしばしの「湯の中談義」をして、湯から上がった。

 第2湯目は長寿温泉「長寿の湯」。大浴場には各種の浴槽。露天風呂もある。

 第3湯目はのんびり温泉「のんびり温泉」の湯。大浴場と露天風呂。「のんびり温泉」の名前通り、のんびりゆったり湯につかれる。ここは田園地帯の中にある温泉施設だ。

 第4湯目は東北原温泉「東北原温泉」の湯。ここは内風呂のみ。湯が湯船からあふれ出ている。湯から上がると大広間での昼食。「たんめん」を頼んだのだが、出てくるまで速攻で寝る。ど熟睡の「5分寝」だ。

 第5湯目は郡山温泉「郡山温泉」の湯。大浴場と小さな露天風呂。ここは東北道のすぐ脇にある。

 郡山からは県道6号で三森峠へ。峠下の温泉3湯に入った。

 第6湯目は源田温泉「熊田屋旅館」の湯。石造りの湯船。無色透明の湯に気持ちよくつかる。ここの旧館は渓流上の宿。それがまだ残っていた。今から10年以上も前になるが、昭文社の桑原さんとやってきて渓流上の部屋に泊まった。そこはまさに『ツーリングマップル』発祥の地といってもいいようなところなのだ。そのときカソリ&クワハラはカンビールをガンガン飲みながら、『ツーリングマップル』への熱い思いを語り合った。その熱い思いが後の『ツーリングマップル』を生んだ。『ツーリングマップル』の書名もここで生まれた。

 そんな思い出にひたりながら湯につかっていると、当の桑原さんから電話。
「まだ、残ってたんですね」
「ちゃんと残ってましたよ」
「う〜ん」
「ねえ、桑原さん、ここの宿の前には今度、ツーリングマップル発祥の地碑を建てなくってはいけませんねえ」

 第7湯目は休石温泉「太田屋旅館」の湯。ここは内風呂のみ。渓流の音が這い上がって聞こえてくる。浴室の外は緑一色。いい気分で湯につかっていると、「ここは女風呂? といっておばあちゃんが入ってくる。「男風呂ですよ」といっても平然とした顔で男風呂に入りつづける。おばあちゃんにとっては男風呂も女風呂も関係ないようだった。

 第8湯目は井戸川温泉「井戸川温泉旅館」の湯。ここは内風呂と露天風呂。湯上りにはコカコーラを飲みながら揚げ饅頭を食べた。

 三森峠の「峠返し」をすると、県道29号→国道49号で、郡山市内最大の温泉地の磐梯熱海温泉へ。JR磐梯熱海駅前の共同浴場「元湯浴場」に行くと臨時休業。そこで駅前温泉旅館「小松屋」の湯に入った。大浴場の内風呂のみ。裸婦の大きなタイル画を見ながら、ゆったり湯につかる。湯から上がると、ふくよか系美人の女将さんが冷たい水を持ってきてくれた。しばしの談笑。「ウチにはバイクのお客さんも来ますよ」というので、「今度は泊まりで来ま〜す」といったが、ほんとうに「泊まりで来たい!」と思わせるような東北系、あったか系の美人女将だった。

 磐梯熱海温泉で郡山の温泉めぐりを終え、磐梯熱海ICで磐越道に入る。郡山東ICで降り、舞台を三春に移す。

 第10湯目は馬場ノ湯温泉「三ツ美屋旅館」の湯。浴室には「三春桜」の壁画。

 第11湯目は要田温泉「あぶくま保養センター」の湯。小さな湯船。若干の色つき湯。単純炭酸鉄泉でタオルは赤く染まる。

 第12湯は神田の湯温泉「神田の湯」。ここは内風呂のみ。これらの3湯に入り、三春に戻った。三春到着は20時だ。

 20時の「宿探し」。だがラッキーなことに、一発目の電話で宿をゲット。斉藤の湯温泉「上の湯旅館」に泊まれた。「宿湯」から上がると、何ともうれしいことに、夕食を部屋に持ってきてくれた。鶏の照り焼き、塩ジャケ、ナス、辛子レンコン、オクラ、ワラビ、ヒジキの煮物。斉藤の湯温泉「上の湯旅館」には泊まれただけでなく、こうして夕食にもありつけたのだ。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 三穂田温泉「三穂田温泉」
朝食 三穂田温泉「三穂田温泉」 ご飯、味噌汁、サケ、シラスおろし、納豆、海苔、漬物

8時30分 三穂田温泉「三穂田温泉」を出発
1839湯目 大森温泉「大森屋」(400円)
1840湯目 長寿温泉「長寿の湯」(390円)
1841湯目 のんびり温泉「のんびり温泉」(500円・割引)
1842湯目 東北原温泉「東北原温泉」(400円)
昼食 東北原温泉「東北原温泉」たんめん(700円)
1843湯目 郡山温泉「郡山温泉」(300円)
1844湯目 源田温泉「熊田屋旅館」(500円)
1845湯目 休石温泉「太田屋旅館」(300円)
三森峠(峠返し)
1846湯目 井戸川温泉「井戸川温泉旅館」(500円)
1847湯目 磐梯熱海温泉「小松屋」(600円)
1848湯目 馬場ノ湯温泉「三ッ美屋旅館」(450円)
1849湯目 要田温泉「あぶくま保養センター」(500円)
和泉の湯温泉(廃業湯)
飛所の湯温泉(廃業湯)
1850湯目 神田の湯温泉「神田の湯」(400円)
20時30分 斉藤の湯温泉「上の湯旅館」(1泊2食7500円)
1851湯目 斉藤の湯温泉「上の湯旅館」
夕食 宿食
本日の走行距離数 163キロ
本日の温泉入浴数 13湯

三穂田温泉「三穂田温泉」の朝湯に入る「三穂田温泉」の朝食「三穂田温泉」を出発

三穂田温泉「三穂田温泉」の朝湯に入る 「三穂田温泉」の朝食 「三穂田温泉」を出発

大森温泉「大森屋」郡山の周辺には溜池が多い。そのうちの一つの荒池長寿温泉「長寿の湯」

大森温泉「大森屋」 郡山の周辺には溜池が多い。そのうちの一つの荒池 長寿温泉「長寿の湯」

のんびり温泉「のんびり温泉」「のんびり温泉」の露天風呂東北原温泉「東北原温泉」

のんびり温泉「のんびり温泉」 「のんびり温泉」の露天風呂 東北原温泉「東北原温泉」

「東北原温泉」の湯「東北原温泉」の「たんめん」郡山温泉「郡山温泉」

「東北原温泉」の湯 「東北原温泉」の「たんめん」 郡山温泉「郡山温泉」

「郡山温泉」の湯源田温泉「熊田屋旅館」「熊田屋旅館」の湯

「郡山温泉」の湯 源田温泉「熊田屋旅館」 「熊田屋旅館」の湯

休石温泉「太田屋旅館」の湯三森峠(峠返し)井戸川温泉「井戸川温泉旅館」の湯

休石温泉「太田屋旅館」の湯 三森峠(峠返し) 井戸川温泉「井戸川温泉旅館」の湯

揚げ饅頭を食べる奥羽山脈の山並みが霞んで見える磐梯熱海温泉

揚げ饅頭を食べる 奥羽山脈の山並みが霞んで見える 磐梯熱海温泉

磐梯熱海温泉「小松屋」の湯馬場ノ湯温泉「三ッ美屋旅館」「三ッ美屋旅館」の湯

磐梯熱海温泉「小松屋」の湯 馬場ノ湯温泉「三ッ美屋旅館」 「三ッ美屋旅館」の湯

要田温泉「あぶくま保養センター」の湯神田の湯温泉「神田の湯」斉藤の湯温泉「上の湯旅館」の夕食

要田温泉「あぶくま保養センター」の湯 神田の湯温泉「神田の湯」 斉藤の湯温泉「上の湯旅館」の夕食

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