カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[182日目]

投稿日:2019年4月9日

タクシー運転手は知っている

本州東部編 8日目(2007年6月27日)

 真弓温泉「太田旅館」の朝湯に入り、ご飯、味噌汁、目玉焼き、納豆、塩ジャケ、海苔、漬物の朝食を食べ、8時15分に出発。真弓温泉から阿武隈山地の山中に入っていく。

 第1湯目の四辻温泉へ。四辻の集落の外れに一軒宿の「諏訪屋」がある。ここはごく普通の農家のようなたたずまい。宿の女将さんは庭先で梅の実をとっていた。ハシゴから降りてきた女将さんに入浴料の500円を手渡し、勝手に農家(諏訪屋)に入り込み、湯に入らせてもらった。内風呂のみで、3、4人が入れば満杯になるような小さな湯船。浴室の外には鯉の養殖池が見える。今は日帰り湯のみで宿泊はやっていないという「諏訪屋」だが、日帰り宴会のときはこの鯉を使って鯉料理を出すのだろう。

 四辻温泉からは県道42号経由で有料のあぶくま高原道路に入る。東北道と福島空港を結ぶ片側1車線の自動車道。交通量は極少で、DRをエンジン全開で走らせたが、ついに前方に車を見ることはなかった。

 国道4号に出ると北へ、JR鏡石駅前まで行き、そこでDRを停めた。昨日、会ったタクシーの運転手さんに「また、戻ってきましたよ」と言葉をかわした。バイクの好きな人なのだ。昨日の運転手さんの話はおもしろかった。鏡石は人口1万人ほどだとのことだが、ほとんどの人の顔がわかるという。それだけではなく、「誰と誰が浮気しているかもわかるよ」といっていた。さすがタクシーの運転手。道だけでなく、何でも知っている。

 鏡石駅前を出発。

 第2湯目はいわせ温泉「いわせ悠久の里」の湯。大浴場と露天風呂。露天風呂は庭園風呂。木曽檜の舟形の檜風呂もある。

 第3湯目は藤沼温泉「やまゆり荘」の湯。大浴場と露天風呂。浴室の前は赤松林。樹林越しに藤沼を眺める。湯から上がると、昼食の「カレーライス」を食べた。

 第4湯目は滝の湯温泉「滝の湯」。ここは内風呂のみ。小さな湯船。2人で一杯になるような湯船。湯は熱め。水をガンガン入れてやっと入れた。鉄泉の濁り湯だ。

 第5湯目は明治温泉の「明治湯」。ガラガラッと玄関を開け、入浴を頼むと、宿の主人は「15分、待ってもらえますか」という。15分後に「どうぞ、どうぞ」と案内されて浴室に行くと、湯船に湯を溜めている最中。湯船の3分の1くらいに湯が溜まっていた。そんな湯につかりながら思わず笑いがこぼれ、うれしくなってしまう。これが他の地方だったら「まだ、湯を入れてませんので」のひと言で入浴を断られたことだろう。ところが「明治湯」の主人は、「せっかく遠いところから来てくれたのだから」と、すぐに湯船に湯を流し込んでくれたのだ。東北人のやさしさを見る思いがした。「明治湯」の無色透明の湯は上がってからがよかった。スッキリ感がいつまでも体に残った。

 第6湯目は天栄湯温泉「天栄湯」。ここの源泉は硫酸塩泉で、8・5度の超低温湯。浴室には石鹸の類が一切、おいてない。これがいい。浴室内の貼り紙には「石鹸で身体をゆっくりと洗われたい方は他所の施設をご利用することをおすすめします」と書かれている。これは硫酸塩泉の性質上、石鹸の効果が発揮できないという但書きこそついていないが、それは別にして、温泉は体を洗うところではありませんよ、温泉はあくまでも湯につかるところなのですよと、いっているかのようだった。内風呂のあと、屋根つきの露天風呂に入った。周囲はしたたるような緑だ。

 国道118号で鳳坂峠へ。

 鳳坂峠は奥羽山脈の中央分水嶺の峠。標高822メートルの峠上でDR−Z400Sを停め、記念撮影。そのとき、日本海側(会津側)から太平洋側(中通り側)へと、峠を越えていった車がUターンして戻ってきた。車から降りてきたのは山内一哉さん。手には『ツーリングマップル東北』を持っている。「DRを見たとき、すぐにカソリさんだって、わかりましたよ。こんなところで会えるだなんて…、うれしいです」といって喜んでくれた。山内さんの車に乗っていたのはお母さん。奥会津の木賊温泉に連れていっての帰りだという。エライな。その途中で立ち寄ったという湯野上温泉の「温泉饅頭」をもらった。

 鳳坂峠の「峠返し」で国道118号を戻り、須賀川へと下っていく。須賀川の中心街にある須賀川市民温泉が第7湯目。大浴場の内風呂のみ。ゆったり楽々の気分で湯につかれた。湯から上がると、さきほどの「温泉饅頭」を食べた。

 須賀川からは県道54号で郡山へ。

 第8湯目は守山温泉「白水館」の湯。ここには以前、泊まったことがある。内風呂のみ。小さめの湯船。スッキリ感のある湯の感触だ。

 第9湯目は月光温泉「クアハイム」の湯。大浴場と露天風呂。ここには大広間の休憩所もある。

 19時、今晩の宿、三穂田温泉「三穂田温泉」に到着。さっそく宿湯に入る。ここは加水、加温、循環、ろ過は一切ない。入浴剤も消毒剤も入れていない。今時、珍しいくらいのいい湯なのだ。湯から上がると食堂でカンビールを飲み、夕食の冷やし中華とグリーンサラダを食べた。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 真弓温泉「太田旅館」
朝食 真弓温泉「太田旅館」 ご飯、味噌汁、目玉焼き、納豆、塩ジャケ、海苔、漬物
8時15分 真弓温泉「太田旅館」
1829湯目 四辻温泉「諏訪屋」(500円)
1830湯目 いわせ温泉「いわせ悠久の里」(350円)
1831湯目 藤沼温泉「やまゆり荘」(350円)
昼食 藤沼温泉「やまゆり荘」 カレーライス(500円)
1832湯目 滝の湯温泉「滝の湯」(500円)
1833湯目 明治湯温泉「明治湯」(500円)
1834湯目 天栄湯温泉「天栄湯」(500円)
鳳坂峠(峠返し)
出会い 山内さん
1835湯目 須賀川市民温泉「須賀川市民温泉」(250円)
1836湯目 守山温泉「白水館」(300円)
1837湯目 月光温泉「クアハイム」(500円)
19時 三穂田温泉「三穂田温泉」(1泊朝食6450円)
1838湯目 三穂田温泉「三穂田温泉」
夕食 冷やし中華(700円)&グリーンサラダ(350円)
本日の走行距離数 191キロ
本日の温泉入浴数 10湯

真弓温泉「太田旅館」の朝湯に入る「太田旅館」の朝食「太田旅館」を出発

真弓温泉「太田旅館」の朝湯に入る 「太田旅館」の朝食 「太田旅館」を出発

四辻温泉「諏訪屋」いわせ温泉「いわせ悠久の里」「いわせ悠久の里」の檜風呂

四辻温泉「諏訪屋」 いわせ温泉「いわせ悠久の里」 「いわせ悠久の里」の檜風呂

藤沼温泉「やまゆり荘」の赤松林「やまゆり荘」のカレーライス藤沼を一周

藤沼温泉「やまゆり荘」の赤松林 「やまゆり荘」のカレーライス 藤沼を一周

滝の湯温泉「滝の湯」天栄湯温泉「天栄湯」「天栄湯」の湯

滝の湯温泉「滝の湯」 天栄湯温泉「天栄湯」 「天栄湯」の湯

国道118号の鳳坂峠鳳坂峠で出会った山内さん須賀川市民温泉「須賀川市民温泉」

国道118号の鳳坂峠 鳳坂峠で出会った山内さん 須賀川市民温泉「須賀川市民温泉」

山内さんの差し入れの「温泉饅頭」守山温泉「白水館」「白水館」の湯

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月光温泉「クアハイム」奥羽山脈に落ちる夕日夕日に向かって走る

月光温泉「クアハイム」 奥羽山脈に落ちる夕日 夕日に向かって走る

三穂田温泉「三穂田温泉」に到着「三穂田温泉」の夕食

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