温泉めぐり日本一周[189日目]
投稿日:2019年5月5日
「おしょっさまでねす」
東鳴子温泉「初音旅館」では、先に帰る「TAKAさん」を見送った。雨の降る中、スズキハスラー50は2サイクル特有のかん高いエンジン音を残して走り去っていった。そのあとで朝湯に入り、ご飯、味噌汁、目玉焼き、イカのリング、青菜のおひたし、ナス、サラダ、海苔、漬物の朝食をいただいた。
9時30分、東鳴子温泉「初音旅館」を出発。女将さんは「おしょっさまでねす」(ちょっと恥ずかしいものですが)と古川弁でいいながら、お弁当の「おにぎり」を手渡してくれる。「おしょっさまでねす」をきっかけに、玄関前でひとしきり古川の話で盛り上がった。1市7町が合併して大崎市になったが、もともと「大崎耕野」とか「大崎耕土」といった言葉があったという。肥沃な古川平野をいい表した言葉。「大崎市」というと、ぼくなどは「えー、何で大崎なの?」と思ってしまうが、地元のみなさんにはそれほどの違和感はないようだ。
東鳴子温泉「初音旅館」の女将さんは古川生まれの古川育ち。生粋の「古川人」だ。古川の女学校を出たあと東京の大学へ。先日は「初音旅館」で大学時代の同窓生が集まり、2夜連続の宴会になったという。女将さんはそのときのことをじつに楽しそうに話してくれた。女将さんのキラキラ輝く青春時代の一端にふれたような気がした。
そんな女将さんと若旦那に見送られて、今度はほんとうの出発だ。若旦那は道路上に仁王立ちになり、雨に濡れながら大きく手を振ってくれている。
「また、来ますよ〜!」
国道47号→国道457号→国道398号で花山峠に向かっていく。
第1湯目は花山温泉「温湯山荘」。ここまで雨に降られっぱなしだったので、大浴場の湯につかったときは生き返るような思いがした。つづいて半円形の露天風呂に入った。
第2湯目は温湯温泉「佐藤旅館」の湯。明治、大正の面影を今に伝える木造の温泉宿。大浴場の大岩風呂は混浴だ。脱衣所は男女別で中で一緒になる。それとは別に、女性専用の浴室もある。男性専用はない。次に男女別の露天風呂に入る。大浴場、露天風呂ともに源泉掛け流し。泉質自慢の温湯温泉だ。
第3湯目は湯ノ倉温泉。バイクを停め、橋を渡って山道を20分ほど歩いていくと、一軒宿の「湯栄館」に到着。「初音旅館」の女将さんがつくってくれた「おにぎり」を食べ、腹ごしらえをしてから、一迫川の渓流沿いの大露天風呂に入った。混浴の湯だが、入浴客はぼく一人。熱湯が流れ込んでいる方は熱くて入れない。その反対側のすこし温めの方に入った。ここの源泉は63.4度。高温湯だ。湯につかりながら眺める渓流美がすばらしい。
第4湯目は湯浜温泉。国道398号で湯浜峠を越えたところでバイクを駐車場に停め、山道を歩いて「三浦旅館」へ。そこで入浴料を払い、渓流沿いの露天風呂に入った。湯から上がると、宮城・秋田県境の花山峠へ。「峠返し」で折り返し、来た道を引き返した。
第5湯目は山武温泉の日帰り湯「さくら湯」。大浴場と露天風呂はともに濁り湯。温めの露天風呂に長湯した。
温泉めぐりの舞台を栗駒山の山中に移す。
第6湯目はくりこま高原温泉「ハイルザーム栗駒」。大浴場と小さめな湯船の露天風呂に入る。
第7湯目は新湯温泉「くりこま荘」の湯。ここは木の湯船に木の洗い場。露天風呂もある。若干、白濁した湯の色。ここを最後に宮城県から岩手県に入った。
第8湯目は、はぎのしょう温泉「はぎのしょう温泉」の湯。国道457号を左折し、最後は林道に入っていく。「ほんとうにこの先に温泉があるのだろうか…」と不安にかられたようなところに温泉がある。森林を抜け出ると、パッと明かりが目に飛び込み、「助かった!」と、思わず声が出た。日帰り湯「はぎのしょう温泉」の大浴場の湯につかった。
一関に到着すると、一関ICから東北道に入る。すさまじい雨をついてDRのエンジン全開で突っ走る。
一気に紫波ICへ。そこから山裾の道を北上する。
第9湯目は不動温泉の日帰り湯「百万石」の湯。ここは22時で営業終了。ぼくが着いたのは21時50分。こういう場合、普通だったら「もう、終わりましたよ」といわれるものだが、受付の女性は「10時10分までに出てくればいいですよ」とじつに鷹揚。これが東北だ。東北はほんとうにいい。いたるところで人のやさしさ、あたたかさに触れられる。受付の女性にいわれた通り、ギリギリの時間まで、円形の湯船につかった。肌があっというまにすべすべになるツルツル湯だ。
受付の女性によ〜くお礼をいって、ふたたび雨の中を走る。「百万石」から10分ほど走ると今晩の宿、矢巾温泉の「矢巾温泉ヘルスセンター」に到着だ。最後の最後まで雨に降られた一日。というよりも最後は一段と激しい雨になっていた。それだけに第10湯目の「宿湯」は身にしみてありがたかった。
朝湯 | 東鳴子温泉「初音旅館」 |
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朝食 | 東鳴子温泉「初音旅館」 ご飯、味噌汁、目玉焼き、イカのリング、青菜のおひたし、ナス、サラダ、海苔、漬物 |
9時30分 | 東鳴子温泉「初音旅館」 出発 |
1902湯目 | 花山温泉「温湯山荘」(500円) |
1903湯目 | 温湯温泉「佐藤旅館」(500円) |
1904湯目 | 湯ノ倉温泉「湯栄館」(500円) |
昼食 | 湯ノ倉温泉「湯栄館」 おにぎり(初音旅館の女将さんがつくってくれた) |
湯浜峠(峠越え) | |
1905湯目 | 湯浜温泉「三浦旅館」(500円) |
花山峠(峠返し) | |
1906湯目 | 山武温泉「さくらの湯」 |
文字温泉(入浴のみ不可) | |
1907湯目 | くりこま高原温泉「ハイルザーム栗駒」(800円) |
駒の湯温泉(休業中) | |
1908湯目 | 新湯温泉「くりこま荘」(500円) |
田代温泉(廃業湯) | |
岩手県に入る | |
1909湯目 | はぎのしょう温泉「はぎのしょう温泉」(400円) |
1910湯目 | 不動温泉「百万石」(500円) |
22時20分 | 矢巾温泉「矢巾温泉ヘルスセンター」(1泊朝食4665円) |
1911湯目 | 矢巾温泉「矢巾温泉ヘルスセンター」 |
本日の走行距離数 302キロ | |
本日の温泉入浴数 10湯 |
東鳴子温泉「初音旅館」の朝湯に入る | 「初音旅館」の朝食 | 「初音旅館」を出発 |
花山温泉「温湯山荘」の湯 | 温湯温泉「佐藤旅館」の湯 | 「佐藤旅館」の露天風呂 |
一迫川の渓流 | 湯ノ倉温泉「湯栄館」 | 初音旅館の女将さんがつくってくれたおにぎり |
湯ノ倉温泉「湯栄館」の露天風呂 | 湯浜温泉「三浦旅館」の露天風呂 | 花山峠での折り返し(峠返し) |
くりこま高原温泉「ハイルザーム栗駒」の湯 | 新湯温泉「くりこま荘」の湯 | はぎのしょう温泉「はぎのしょう温泉」の湯 |
不動温泉「百万石」の湯 | 矢巾温泉「矢巾温泉ヘルスセンター」で湯上りに食べた魚肉ソーセージ |