カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[193日目]

投稿日:2019年5月13日

湯当りで朦朧

本州東部編 19日目(2007年7月8日)

 夏油温泉「元湯夏油」の朝湯に入る。ここには2つの内風呂と5つの露天風呂があるが、7時に「七湯めぐり」を開始する。なんで7時かというと、この時間から大広間でバイキングの朝食が始まるからだ。「宿湯」でゆったり湯につかる一番いい方法は、朝食が始まる時間に入浴することだ。ねらいは的中。人気の「元湯夏油」なのでほぼ満室状態だったが、どの湯も「貸切湯」状態だった。

 まずは内風呂の「小天狗の湯」、「白猿の湯」に入る。この2湯は男女別。次に混浴の露天風呂へ。「大湯」→「滝の湯」→「せん気の湯」→「真湯」→「女(目)の湯」という順番でまわった。そのうち「滝の湯」だけが女性タイムで入れなかったが、これらの5湯はそれぞれ別な源泉。「大湯」が一番熱めの湯、「女(目)の湯」が一番温めの湯。1時間かけて「七湯めぐり」をした。

 8時にバイキングの朝食を食べ、9時に出発だ。

 第1湯目は前日、入れなかった入畑温泉。入畑ダムのすぐ下にある一軒宿「入畑温泉」の湯に入る。大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯。浴室からは夏油川の渓流を見下ろした。

 国道107号に出ると、岩手・秋田県境の巣郷峠まで行く。

 第2湯目は須郷峠の峠上の温泉、巣郷温泉の日帰り湯「峠の湯」。内風呂のみで熱めの湯。ガラス張りの浴室からは奥羽山脈のゆるやかな山並みを眺めた。

 巣郷峠は「峠返し」。峠で折り返し、湯田温泉峡の温泉をめぐる。

 第3湯目は川尻温泉「ほっとゆだ」の湯。JR北上線ほっとゆだ駅の駅舎温泉だ。浴室内には鉄道用の信号がある。列車到着の45分前になると信号は青になる。30分前になると黄色、15分前になると赤信号に変わる。それ以外の時間帯は無灯火だ。

 第4湯目は湯川温泉。出途の湯、中の湯、奥の湯の3湯を合わせて湯川温泉といってるが、ここでは奥の湯の「高繁旅館」の湯に入った。フロントは3階。まずは2階の「黄金風呂」に入る。黄金のタイルを敷詰めた湯船。黄金の肌ざわりが何ともいえない。次に1階の混浴大浴場へ。ここは脱衣所も男女一緒。大露天風呂には巨大な陰陽石がある。大きく口をあけた陰石からは熱湯が溢れ出ている。湯量豊富な温泉。源泉は79.6度。露天風呂のわきには木箱の蒸し風呂がある。

 湯川温泉からほっとゆだ駅に戻ると、駅前の「湯夢プラザ」で昼食。「すっぽんラーメン」を食べた。すっぽんパワーで湯田温泉峡めぐりの後半戦を開始する。

 第5湯目は湯田薬師温泉。ここでは「中山荘」の湯に入った。あらら…。以前来たときは、大浴場は混浴だった。それが半分に仕切られ、男女別の湯になっている。何か味けない。混浴だったころの方が「中山荘」には活気があったような気がする。

 第6湯目は大沓温泉。「ホットハーブ錦秋」の湯に入る。ここも熱めの湯。湯田温泉峡の湯はどこも熱めなので、けっこう体にきている。

 第7湯目は湯本温泉。共同浴場「丑の湯」に入る。ここもかなり熱い湯で、湯から上がっても汗ダク状態。まいった…。おまけに猛暑。かなりふらつく足でDR−Z400Sに乗るのだった。

 第8湯目は槻沢温泉。「砂ゆっこ」に入る。ここには東北でも数少ない砂湯(別料金)がある。ここの湯もかなり熱め。フラフラ状態はピークに達していた。何がなんだかわからないような朦朧とした状態。湯から上がると、受付の人に「オートバイのライトがつきっぱなしだったので、消しておきましたよ」といわれた。DRのキーをつけっぱなしで、さらにライトをオンにしたままだなんて…。

 槻沢温泉からは県道1号で旧沢内村へ。その間の走行で体はかなり回復した。風を切ったのがよかったのだ。

 第9湯目は沢内温泉「沢内バーデン」の「およねの湯」。大浴場には2つの湯船。熱めの湯と温めの湯。

 第10湯目は真昼温泉「真昼温泉」の湯。共同浴場風の温泉で、内風呂のみ。入浴客はぼく一人だったので、小さめな湯船にまったりゆったりつかった。

 第11湯目は錦秋湖温泉「穴ゆっこ」。内風呂と露天風呂のほかに洞窟風呂風の穴風呂がある。その中に入り込んで湯につかっていると、不思議なやすらぎを感じた。「穴ゆっこ」から上がったときはガッツポーズ。ここが湯田温泉峡最後の温泉だからだ。湯当りにも負けずに、よくここまで来たものだ。

 国道107号→県道37号で花巻南温泉峡へ。豊沢川の渓流沿いには松倉温泉から新鉛温泉まで8湯の温泉が連なっている。

 第12湯目は松倉温泉の温泉旅館「水松園」の湯。大浴場の内風呂のみ。浴室内は泊まり客と日帰り客とで混みあっていた。浴室からは豊沢川の渓流を眺めた。

 第13湯目は志戸平温泉。ここでは「ホテル志戸平」の湯に入った。フロントは5階で1階の大浴場へ。「あっ!」と驚くほどの大浴場の広さ、湯船の大きさ。その奥には大露天風呂がある。湯につかりながら豊沢川の渓流を見下ろした。目の前の岩壁はライトアップされ、幻想的な美しさを漂わせていた。

 第14湯目は渡り温泉「さつき」の湯。高級温泉宿の大浴場と大露天風呂の湯につかった。

 第15湯目は大沢温泉。「山水閣」の混浴露天風呂「大沢の湯」に入った。ここではグループのおばちゃんたちと一緒になった。グループだとみなさん、怖いものなし。

「混浴って、いいわよね」
「混浴の湯に入ると、若返るのよねえ」
 と言っている。

 露天風呂を占領するかのように、隠すこともなく堂々と入っているおばちゃんたち。ぼくはといえば、露天風呂の隅っこで小さくなって湯につかった。湯につかりながら、そんなおばちゃんたちの会話を聞くのだった。

 今晩の泊まりは鉛温泉の「藤三旅館」。21時の到着。第16湯目の「宿湯」は、館内の湯めぐりだ。ここには全部で4湯あるが、「白糸の湯」→「白猿の湯」→「桂の湯」→「河鹿の湯」という順にめぐった。「白猿の湯」がここの目玉湯で混浴の岩風呂。日本一の深い浴槽で、「立湯」で入るのだ。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 夏油温泉「元湯夏油」
朝食 夏油温泉「元湯夏油」 バイキング
8時30分 夏油温泉「元湯夏油」を出発
夏油高原温泉(時間外)
1960湯目 入畑温泉「入畑温泉」(800円)
巣郷峠(峠返し)
1961湯目 巣郷温泉「峠の湯」(300円)
1962湯目 川尻温泉「ほっとゆだ」(250円)
1963湯目 湯川温泉「高繁旅館」(300円)
昼食 ほっとゆだ駅前の「湯夢プラザ」すっぽんラーメン(890円)
1964湯目 薬師温泉「中山荘」(300円)
1965湯目 大沓温泉「ホットハーブ錦秋」(250円)
1966湯目 湯本温泉「丑の湯」(250円)
1967湯目 槻沢温泉「砂ゆっこ」(250円・温泉のみ)
1968湯目 沢内温泉「沢内バーデン」(300円)
1969湯目 真昼温泉「真昼温泉」(250円)
1970湯目 錦秋湖温泉「穴ゆっこ」(250円)
1971湯目 松倉温泉「水松園」(420円)
夕食 松倉温泉「水松園」 カップヌードル(170円)
1972湯目 志戸平温泉「ホテル志戸平」(840円)
1973湯目 渡り温泉「さつき」(800円)
1974湯目 大沢温泉「山水閣」(500円)
20時20分 鉛温泉「藤三旅館」(1朝食8150円)
1975湯目 鉛温泉「藤三旅館」
本日の走行距離数 164キロ
本日の温泉入浴数 16湯

夏油温泉。ツバメがとびかっている夏油温泉「元湯夏油」の内湯に入る夏油温泉を流れる夏油川

夏油温泉。ツバメがとびかっている 夏油温泉「元湯夏油」の内湯に入る 夏油温泉を流れる夏油川

夏油温泉の露天風呂めぐりを開始。これは大湯これはせん気の湯女(目)の湯に入る

夏油温泉の露天風呂めぐりを開始。これは大湯 これはせん気の湯 女(目)の湯に入る

夏油温泉「元湯夏油」の朝食「元湯夏油」を出発夏油高原温泉には入れず

夏油温泉「元湯夏油」の朝食 「元湯夏油」を出発 夏油高原温泉には入れず

入畑温泉「入畑温泉」国道107号の巣郷峠巣郷温泉「峠の湯」

入畑温泉「入畑温泉」 国道107号の巣郷峠 巣郷温泉「峠の湯」

「峠の湯」の浴室川尻温泉「ほっとゆだ」湯川温泉「高繁旅館」の「黄金風呂」

「峠の湯」の浴室 川尻温泉「ほっとゆだ」 湯川温泉「高繁旅館」の「黄金風呂」

「高繁旅館」の大浴場「高繁旅館」の陰陽石「湯夢プラザ」の「すっぽんラーメン」

「高繁旅館」の大浴場 「高繁旅館」の陰陽石 「湯夢プラザ」の「すっぽんラーメン」

湯本温泉の共同浴場「丑の湯」「丑の湯」の浴室槻沢温泉「砂ゆっこ」

湯本温泉の共同浴場「丑の湯」 「丑の湯」の浴室 槻沢温泉「砂ゆっこ」

真昼温泉「真昼温泉」錦秋湖温泉「穴ゆっこ」松倉温泉「水松園」で食べた「カップヌードル」

真昼温泉「真昼温泉」 錦秋湖温泉「穴ゆっこ」 松倉温泉「水松園」で食べた「カップヌードル」

志戸平温泉「ホテル志戸平」鉛温泉「藤三旅館」に到着

志戸平温泉「ホテル志戸平」 鉛温泉「藤三旅館」に到着  

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