カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[199日目]

投稿日:2019年5月28日

ゴール、青森に向かう

本州東部編 25日目(2007年7月14日)

 斗南温泉「むつグランドホテル」の朝湯に入り、ご飯、味噌汁、ホタテの刺身、焼魚、筋子、ワサビ漬、半熟たまご、サラダ、漬物の朝食を食べ、10時10分に出発。この日は通信の状況が悪く、毎日の原稿は早々に書き終えていたのにもかかわらず、なかなか送信できなかった。4時間近くもむなしく時間だけが過ぎてしまった。結局、送信できないまま出発したのだ。

 気を取り直して、「東京→青森」のゴール、青森に向かう。

 第1湯目はむつ温泉「湯〜とぴあ」の湯。むつ市内の温泉施設でいままでに何度も入ったが、今月で休館だ。「これが最後」という気分で大浴場の湯につかった。

 第2湯目は横浜温泉。「ふれあいセンター」内の「老人福祉センター」の湯に入る。大浴場の内風呂のみ。ほぼ無色透明の湯。消毒の塩素系の臭いがかなりたちこめている。

 第3湯目は六ヶ所温泉「六ヶ所温泉」の湯。深さ2714メートルの大深度温泉。「日本一深い温泉」を売りにしている。大浴場と露天風呂。ともに塩分の濃い濁り湯だ。内風呂は熱めの湯で、屋根つきの露天風呂は温めの湯。

 第4湯目は鷹架温泉「ろっかぽっか」の湯。大浴場と露天風呂。大浴場には大風呂のほかにひば風呂や寝湯、座湯、打たせ湯がある。湯から上がると昼食。「若鶏カツレツボローニャ風」をいただく。ホタテのスープ、サラダ付き。食後のデザートとコーヒーもついている。

 野辺地に戻ってきた。冷たい霧雨に身も心も冷え切ってしまう。「これが夏?」と思わせるような寒さなのだ。

 第5湯目、タカラ温泉の温泉銭湯「タカラ温泉」の湯につかったときは寒さから一時解放され、「助かった!」の声が出た。ここはいつも下北半島をまわったあとなので、夜も遅い時間に入ることになる。今日はまだ15時。それだけに何か、すごく新鮮な気分になった。

 第6湯目はむつ湾温泉「むつ湾温泉」の湯。ここは食堂と旅館もやっている。大浴場のハート型をした大風呂。有色の無味無臭透明の湯につかった。

 第7湯目は馬門温泉「富士屋ホテル」の湯。大浴場の大風呂に入ったが、ここでは子供を2人連れたお父さんと一緒になった。子供たちは大喜び。大風呂に「スゲー!」を連発している。大浴場は木の湯船、露天風呂は岩風呂だ。

 第8湯目はよごしやま温泉「平内いきいき健康館」の湯。ここは日帰り湯で、大浴場には各種の湯船がある。無色透明無味無臭の湯。

 よごしやま温泉の湯から上がると、いよいよ国道4号で青森に向かう。ベターッとぶ厚い雨雲の張りついた梅雨空からは、霧雨が降りつづいている。青空はまったく見えない。DRに乗っていると、冷雨がことのほか身にこたえた。

 ここで信じられないようなことが起きた。

 夏泊半島つけ根のゆるやかな峠を越えた。峠名もついていないようなその峠を越えると、前方の灰色の雨雲が切れ、突然という感じで日が差してくるではないか。浅虫温泉に着くころには、抜けるような青空が広がっていた。信じられない…。こういうこともあるのだ。気温も14度から20度へと一気に上がった。まるで目の前で、奇跡を見ているかのようだった。

 第9湯目の浅虫温泉では道の駅「ゆ〜さ浅虫」の5階にある展望湯「はだか湯」に入った。「はだか湯」というのは、以前、温泉街にあった名物共同浴場の名前。浴室のガラス越しにまぶしいくらいに日の光がさし込んでくる。浴室から眺める陸奥湾もキラキラ光り輝いている。

 青森市内に入った。

 第10湯目は横内温泉「かっぱの湯」。大浴場の木の湯船にどっぷりつかる。露天風呂もある。これが390円で入れる湯にはとても見えない。東京周辺だったら1500円はする。こうして日本各地の温泉をめぐっていると、東京周辺の温泉の入浴料が異様に高いのがよくわかる。湯から上がると、ここで夕食の「かつ丼」を食べた。

 第11湯目は松枝温泉「あすなろ温泉」。ここの入浴時間は朝の5時から夜の12時まで。青森市内の温泉の入浴時間はどこも長い。温泉めぐりには絶好だ。ここは大浴場の内風呂のみ。

 第12湯目は鶴亀温泉「鶴亀温泉」の湯。大浴場と露天風呂。ここの入浴時間は5時30分から23時30分まで。「かっぱの湯」、「あすなろ温泉」、「鶴亀温泉」の3湯は温泉銭湯だ。

 第13湯目の出町温泉「出町温泉」も温泉銭湯だが、ここは昔風の銭湯がまるでタイムスリップしたかのように残っている。入浴料の390円は番台の女性に手渡す。脱衣所には竹篭。大浴場のタイル画は富士山。湯につかっているみなさんにも、心なしか時間が止まってしまったかのようなゆったり気分が漂っている。

 21時、青森駅前に到着。日本橋から4995キロを走りきってくれたDR−Z400Sに「ご苦労さん!」とねぎらいの声をかけ、駅前のビジネスホテル「東横イン」に泊まった。この日はまだ、終わらない。朝、送れなかった原稿&写真の送信を試みる。送信を完了したのは24時。朝4時間、夜3時間、原稿の送信に費やしたのは全部で7時間。あまりにも大きな犠牲となった。「まあ、仕方ないか」の諦めの境地で眠りにつくのだった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 斗南温泉「むつグランドホテル」
朝食 斗南温泉「むつグランドホテル」 ご飯、味噌汁、ホタテの刺身、焼魚、筋子、ワサビ漬、半熟たまご、サラダ、漬物
10時10分 斗南温泉「むつグランドホテル」を出発
2051湯目 むつ温泉「湯〜とぴあ」(400円)
2052湯目 横浜温泉「ふれあいセンター」(350円)
2053湯目 六ヶ所温泉「六ヶ所温泉」(350円)
2054湯目 鷹架温泉「ろっかぽっか」(700円)
昼食 鷹架温泉「ろっかぽっか」 若鶏カツレツボローニャ風(1000円)
2055湯目 タカラ温泉「タカラ温泉」(350円)
2056湯目 むつ湾温泉「むつ湾温泉」(300円)
2057湯目 馬門温泉「富士屋ホテル」(800円)
2058湯目 よごしやま温泉「平内いきいき健康館」(490円)
2059湯目 浅虫温泉「ゆ〜さ浅虫」(350円)
戸山温泉(廃業湯)
2060湯目 横内温泉「かっぱの湯」(390円)
夕食 横内温泉「かっぱの湯」 かつ丼(600円)
2061湯目 松枝温泉「あすなろ温泉」(390円)
2062湯目 鶴亀温泉「鶴亀温泉」(390円)
大湯温泉(廃業湯)
2063湯目 出町温泉「出町温泉」(390円)
21時00分 青森「東横イン 青森駅正面口」(1泊朝食6090円)
本日の走行距離数 177キロ
本日の温泉入浴数 13湯

斗南温泉「むつグランドホテル」の朝食「むつグランドホテル」からの眺め「むつグランドホテル」を出発

斗南温泉「むつグランドホテル」の朝食 「むつグランドホテル」からの眺め 「むつグランドホテル」を出発

横浜温泉「ふれあいセンター」の湯六ヶ所温泉「六ヶ所温泉」「六ヶ所温泉」の露天風呂に入る

横浜温泉「ふれあいセンター」の湯 六ヶ所温泉「六ヶ所温泉」 「六ヶ所温泉」の露天風呂に入る

鷹架温泉「ろっかぽっか」「ろっかぽっか」の昼食野辺地のタカラ温泉

鷹架温泉「ろっかぽっか」 「ろっかぽっか」の昼食 野辺地のタカラ温泉

むつ湾温泉「むつ湾温泉」馬門温泉「富士屋ホテル」の露天風呂横内温泉「かっぱの湯」

むつ湾温泉「むつ湾温泉」 馬門温泉「富士屋ホテル」の露天風呂 横内温泉「かっぱの湯」

「かっぱの湯」の「かつ丼」出町温泉「出町温泉」青森駅前に到着!

「かっぱの湯」の「かつ丼」 出町温泉「出町温泉」 青森駅前に到着!

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