カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[203日目]

投稿日:2019年6月8日

「胸キュン」3連発

本州東部編 29日目(2007年7月18日)

 大鰐温泉「不二やホテル」の朝湯に入る。津軽藩主の湯治場という古い歴史を持つ大鰐温泉でも「不二やホテル」は一、二の上宿。大浴場にも露天風呂にもそんな高級感が漂っている。ご飯、味噌汁、焼魚、肉鍋、納豆、半熟卵、海苔、煮物、シラスおろし、漬物の朝食を食べ、9時、出発。玄関前では美人女将の見送りを受ける。夜中に飛び込み同然でやってきた客にも、心のこもった笑顔で見送ってくれるのがうれしい。笑顔のとっても素敵な人だ。相棒のDR−Z400Sのエンジンをかけ、走りだしたが、胸にキューンとくるものがあった。

 大鰐の温泉街を走り抜け、大鰐の街並みを抜け出たところでJR奥羽本線の線路を渡る。遮断機が下りて列車待ち。青森行きの寝台特急「あけぼの」がキーン、キーンと線路をきしませ、目の前を通り過ぎていった。またしても胸にキューンとくるシーン。「胸キュン」の2連発で大鰐温泉を離れていくのだった。

 まずは昨夜、入りそこねた平川市の温泉群へ。その中でもとくに旧平賀町内はすごいところで、何湯もの温泉がある。それらの温泉というのは2、3キロという短い間隔で点在している。「温泉めぐり」には最適のエリアで、「東北に平賀あり」といったところ。弘南鉄道の平賀駅前まで行き、そこから本日の温泉めぐりを開始する。

 第1湯目は大和温泉。ここは昔ながらの温泉銭湯。弘南鉄道の津軽尾上駅前にある。熱めの湯につかっていると、昨日の夢中になって「1日30湯」を目指した興奮がよみがえってくる。それにしても、昨夜、「ここに入れてたら…」。

 第2湯目は黒石の「100円温泉」。田んぼの中にプレハブの湯屋が建っている。料金箱に100円玉を入れて湯に入る。ツルツル湯の黒湯。この「100円湯」に入っていると、「温泉大国・津軽」のスゴサが伝わってくる。このようないい温泉が無造作にポツンと、田んぼの中にある。まるで「温泉はこれでいいんだ」といわんばかりだ。湯さえよければ、あとは何もいらない。湯につかっているみなさんの顔も満足度満点。さすが温泉通の津軽人だけあって、そんな「100円温泉」に高級車に乗ってやってくる人もいる。「100円温泉」の湯から上がったところで、若い女性に声をかけられた。

「カソリさんですよねえ! バイクを見ただけで、すぐわかりました」
 といってくれた。

 ひとしきり立ち話をして、握手して別れたが、彼女に見送られて走り出したときはまたしても胸キュンだ。

 黒石の「100円温泉の彼女はすぐさま、次のようなカキコミをサイトにしてくれた。

「賀曽利さんに昨日声をかけた、黒石の100円温泉で出会ったものです。あのほったて小屋みたいなとこ、とく分かりましたね! 地元でも知る人ぞ知る…という温泉です。でもツルツルしていてよかったですね。脱衣所でなにやら見慣れたDRとコーラのでっかいのを飲んでいる賀曽利さんを見た瞬間、興奮して、すごいスピードで着替えして。お話できて、握手してもらえて嬉しかったです。…」

 このあと平賀の温泉に入る。

 第3湯目は柏木温泉「柏木温泉」の湯。大浴場と露天風呂はともに無色透明の湯。ここには食堂もある。広々とした水田の向こうに岩木山を見る。

 第4湯目は唐竹温泉「唐竹温泉」の湯。大浴場の円形の湯船につかる。ここの営業時間は7時から22時までだが、家族風呂には23時まで入れる。

 第5湯目は芦毛沢温泉。大浴場には2つの湯船。熱めの湯と温めの湯。ともに無色透明の湯だ。打たせ湯もある。ここの源泉は60.4度の高温湯。泉質は単純温泉。湯から上がると昼食。「冷やし中華」を食べた。色鮮やかで具だくさん。ここを最後に昨日、今日の平賀の温泉めぐりを終えた。

 国道7号に出ると南へ。

 第6湯目は道の駅「いかりがせき」にある関の庄温泉「関の庄温泉」の湯。大浴場は木の湯船。湯につかったときの感触がすごくいい。

 第7湯目は碇ヶ関温泉の温泉旅館「関の湯」。この日は「女性デー」で大浴場は女性専用。男性用は2人も入ればいっぱいになるような小さな湯船。

 第8湯目は久吉温泉「たけのこの里」の湯。石の湯船の濁り湯につかる。温泉の成分が湯船にこびりつき、ちょうどいい滑らかさを作り出している。湯上りには「フルーツ牛乳」を飲んだが、湯から上がったあとの「フルーツ牛乳」はおいしい。

 第9湯目は古遠部温泉「古遠部温泉」の湯。湯量豊富な温泉で濁り湯につかる。灰色がかった湯の色。飲泉可。湯にはかすかな甘味がある。温泉の成分がびっしりと石の湯船と洗い場にこびりつき、いかにも温泉といった風情を作り出している。

 第10湯目は秋田県境に近い湯ノ沢温泉。国道7号から山中に入ったところにある。ここには手前から「でわの湯」、「なりや温泉」、「秋元温泉」の3軒の温泉宿があるが、それぞれに源泉が違うし、泉質も違う。一番奥の「秋元温泉」の湯に入ったが、濁り湯で緑色がかった湯の色をしている。飲泉可。甘味と苦味が交錯したような湯の味だ。

 国道7号で青森・秋田県境の矢立峠へ。

 第11湯目は峠近くの相乗温泉。「羽州路の宿あいのり」の湯に入りる。大浴場と大露天風呂はともに無色透明の湯。小さな露天風呂は赤湯だ。

 国道7号の青森・秋田県境の矢立峠は「峠返し」。峠に立つと、来た道を戻り、大鰐温泉へと下った。ここからは夜の温泉めぐりだ。

 第12湯目は島田温泉「青森ロイヤルホテル」の湯。ここは山上のゴルフ場のホテル。

 大鰐温泉に戻ると、コンビニで夕食の「おにぎり」を食べ、さらに温泉をめぐる。

 国道7号から「アップルロード」に入る。

 第13湯目は白馬龍神温泉「白馬龍神温泉」の湯。大浴場と露天風呂の濁り湯につかる。かなり濃い味がある。洗い場には温泉の成分が固まった「温泉紋様」ができている。

 第14湯目は光世温泉「光世温泉」の湯。大浴場には2つの湯船。ひとつは濁り湯、もうひとつはほぼ無色透明な湯。

 21時20分、今晩の宿、岩木山麓の三本柳温泉「三本柳温泉」に到着。24時間入浴可の温泉は湯量豊富で、湯が音をたてて湯船からあふれ出ている。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 大鰐温泉「不二やホテル」
朝食 大鰐温泉「不二やホテル」 ご飯、味噌汁、焼魚、肉鍋、納豆、半熟卵、海苔、煮物、シラスおろし、漬物
9時 大鰐温泉「不二やホテル」を出発
2129湯目 大和温泉「大和温泉」(350円)
2130湯目 追子野木久米温泉「100円温泉」(100円)
さるか温泉(定休日)
2131湯目 柏木温泉「柏木温泉」(350円)
2132湯目 唐竹温泉「唐竹温泉」(350円)
2133湯目 芦毛沢温泉「芦毛沢温泉」(350円)
昼食 芦毛沢温泉「芦毛沢温泉」 冷やし中華(700円)
平賀みちのく温泉(廃業湯)
2134湯目 関の庄温泉「関の庄温泉」(300円)
2135湯目 碇ヶ関温泉「関の湯」(500円)
久吉たけのこ温泉(定休日)
2136湯目 久吉温泉「たけのこの里」(300円)
2137湯目 古遠部温泉「古遠部温泉」(260円)
2138湯目 湯ノ沢温泉「秋元温泉」(300円)
2139湯目 相乗温泉「羽州路の宿あいのり」(300円)
矢立峠(峠返し)
2140湯目 島田温泉「青森ロイヤルホテル」(500円)
夕食 国道7号沿いのコンビニ おにぎりとお〜いお茶
2141湯目 白馬龍神温泉「白馬龍神温泉」(350円)
2142湯目 光世温泉「光世温泉」(350円)
小沢龍神温泉(廃業湯)
21時20分 三本柳温泉「三本柳温泉」(1朝食6500円)
2143湯目 三本柳温泉「三本柳温泉」
本日の走行距離数 170キロ
本日の温泉入浴数 15湯

大鰐温泉「不二やホテル」の朝湯に入る「不二やホテル」の朝食大和温泉「大和温泉」

大鰐温泉「不二やホテル」の朝湯に入る 「不二やホテル」の朝食 大和温泉「大和温泉」

追子野木久米温泉「100円温泉」柏木温泉「柏木温泉」唐竹温泉「唐竹温泉」

追子野木久米温泉「100円温泉」 柏木温泉「柏木温泉」 唐竹温泉「唐竹温泉」

芦毛沢温泉「芦毛沢温泉」の湯「芦毛沢温泉」の「冷やし中華」碇ヶ関温泉「関の湯」

芦毛沢温泉「芦毛沢温泉」の湯 「芦毛沢温泉」の「冷やし中華」 碇ヶ関温泉「関の湯」

久吉温泉「たけのこの里」古遠部温泉「古遠部温泉」「古遠部温泉」の湯

久吉温泉「たけのこの里」 古遠部温泉「古遠部温泉」 「古遠部温泉」の湯

湯ノ沢温泉「秋元温泉」夕食のおにぎり光世温泉「光世温泉」

湯ノ沢温泉「秋元温泉」 夕食のおにぎり 光世温泉「光世温泉」

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