カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[250日目]

投稿日:2019年12月19日

タイヤはボロボロ

北海道編 26日目(2007年9月15日)

 帯広温泉「北海道ホテル」の朝湯に入る。大浴場と露天風呂。ともにモール泉で茶色っぽい湯の色をしている。湯から上がるとご飯、味噌汁、塩ジャケ、玉子焼、胡麻豆腐、厚揚げ、納豆、青菜のおひたし、海苔、漬物の朝食。ご飯はキビ飯。フノリとミツバの味噌汁がおいしかった。塩ジャケは甘塩だ。

 9時15分、帯広温泉「北海道ホテル」を出発。朝から雨…。これから「北海道一周」のメインイベントの「大雪山一周」が始まるというのに。雨具を着て走り出すのは辛い。それも冬を思わせるような冷たい雨。帯広を出るころには一気に本降りになる。たたきつけるような雨の中を走った。

 士幌、上士幌と通り、大雪山系の山地に入っていく。

 第1湯目は糠平温泉。何軒かの温泉宿があるが、「湯元館」の湯に入った。大浴場と露天風呂。湯は熱めで湯量は豊富。

 糠平温泉を過ぎると、一段と山深い風景になる。国道273号を右折し、「カブタン指令第4号」のタウシュベツ橋へ。ダートに突入。路面はけっこう滑らかで走りやすい。4キロほど行くと、林道の通行止め地点に出る。そこから右手を見ると、タウシュベツ川にかかる旧国鉄士幌線のコンクリート製の橋が見えてくる。それがタウシュベツ橋。ローマの水道橋を思わせるような造り。その向こうには糠平湖が広がり、石狩川の源の石狩岳につづく山並みが見られる。

 第2湯目は幌加温泉の温泉旅館「鹿の谷」の湯。大浴場と露天風呂。なんとも贅沢な話だが、ここではいっぺんに4湯の温泉を楽しめる。内風呂にはナトリウム泉、鉄鉱泉、カルシウム泉の湯船がある。露天風呂は硫黄泉だ。

 第3湯目は音更川林道で行く岩間温泉。渓流のわきに無料湯の混浴露天風呂がある。「岩間の湯」の名前通り、岩の間から湯が湧き出ている。きれいな乳白色の湯にどっぷりつかっていると、北海道の大自然をも存分に味わえる。

「岩間の湯」は「大雪山一周」の中でも一、二の名湯といっていい。

「岩間の湯」からは来た道を引き返し、10キロ以上のダートを走って国道273号に出た。

 DRを停めてひと息、入れた。そのとき、何気なくDRのリアタイヤを見て愕然とする。激しくダートを走ったことも影響して、タイヤはボロボロ状態でスチールがむき出しになっていた。

「ヤバイ!」

 いや、もうすでにヤバイという状態を超えている。

 旧国鉄士幌線の終点だった三股まで行くと、電話ボックスがあった。すぐさま昭文社の桑原さんに電話する。

「旭川で」

 そのひと言で桑原さんはすべてを飲み込んでくれた。今の時代、バイクショップはどこも在庫を置いていないので、タイヤ交換はすぐにはやってもらえない。取り寄せだと日数がかかってしまうが、ここは桑原さんの豪腕、敏腕に期待するしかない。

 三股から三国峠へ。峠道を登るにつれて雄大な風景が開ける。峠の茶屋で昼食の「チキンカレー」を食べた。そして三国峠のトンネルを抜け、十勝から石狩に入った。

 三国峠を下ったところで国道273号を左折し、第4湯目の大雪高原温泉へ。そこまでは10キロほどのダート。カソリ、ここで勝負に出た。タイヤのバースト覚悟で、速度を落とすことなく突っ走った。以前、ここに来たとき日帰り入浴の受付は15時までだったような記憶があるからだ。

 カソリ、勝負に勝った。リアタイヤはバーストすることもなく、15時ジャストに、「大雪高原山荘」に到着。だが、急ぐことはなかった。日帰り入浴は17時までだった。大浴場と露天風呂の白濁湯にどっぷりつかった。

 大雪湖で国道39号に合流し、石狩川に沿って走る。石狩川がギュッと川幅を狭める小函、大函を通り、第5湯目の層雲峡温泉に到着。ここで昭文社の桑原さんに電話をする。

 桑原さんはエライ人だ。ほんとうにエライ人だ。

 おそらく旭川中のバイクショップに電話してくれたのだろう、その結果、タイヤをみつけてくれた。旭川の花咲町にあるバイクショップ「ワークス」に在庫があるとのことで、住所と電話番号を教えてくれた。

「桑原さん、ありがとう!」と心の中で感謝し、東京の空に向かって手を合わせた。

 層雲峡温泉の日帰り湯「黒岳の湯」に入ろうとしたときのことだ。

 何と「ホリゴメさん」がやってきた。

「カソリさ〜ん、やっとみつけましたよ!」

 ホリゴメさんは「もしココでダメだったら、宗谷岬まで行って、仙台に帰ろうと思ってました」といって喜んでくれた。さっそくホリゴメさんと一緒に「黒岳の湯」に入る。大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯。湯から上がると「ビタミンウォーター」で乾杯。ホリゴメさんはこのあと、ぼくに付き合ってくれるという。

 旭川到着は18時30分。国道40号沿いのバイクショップ「ワークス」に着くと、すぐさまタイヤ交換をしてくれた。新品のタイヤをはいてDRはうれしそう。土砂降りの雨をついて走り、「北海道遺産」の旭橋を渡り、日本では珍しいロータリーの交差点から旭川駅前へ。そのまま一直線に大雪山に向かっていく。

 今晩の宿は天人峡温泉の「天人閣」。途中、「ありこま」というラーメン店で夕食。具だくさんの「ありこまラーメン」を食べた。

 天人峡温泉の「天人閣」に到着したのは20時50分。部屋に入るなり、ホリゴメさんとビショ濡れになったモロモロのものを部屋中、満艦飾りにして干した。そのあとで第6湯目の「宿湯」に入った。湯から上がると、ホリゴメさんとのうれしい乾杯。ものすごく飲みたい気分で、カンビールの空きカンが次々に満艦飾りの下に並んでいった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 帯広温泉「北海道ホテル」
朝食 帯広温泉「北海道ホテル」 ご飯、味噌汁、塩ジャケ、玉子焼、胡麻豆腐、厚揚げ、納豆、青菜のおひたし、海苔、漬物
9時15分 帯広温泉「北海道ホテル」を出発
2616湯目 糠平温泉「湯元館」(500円)
タウシュベツ橋
2617湯目 幌加温泉「鹿の谷」(500円)
2618湯目 岩間温泉「岩間の湯」(無料)
三国峠(峠越え)
昼食 「三国峠の茶屋」チキンカレー(700円)
2619湯目 大雪高原温泉「大雪高原山荘」(700円)
大函
2620湯目 層雲峡温泉「黒岳の湯」(600円)
出会い ホリゴメさん
夕食 旭川郊外のラーメン店「ありこま」ありこまラーメン(780円)
20時50分 天人峡温泉「天人閣」(1泊朝食8150円)
2621湯目 天人峡温泉「天人閣」
本日の走行距離数 305キロ
本日の温泉入浴数 6湯

帯広温泉「北海道ホテル」の朝湯に入る「北海道ホテル」の露天風呂「北海道ホテル」の朝食

帯広温泉「北海道ホテル」の朝湯に入る 「北海道ホテル」の露天風呂 「北海道ホテル」の朝食

「北海道ホテル」を出発国道273号で糠平温泉へ糠平温泉「湯元館」の露天風呂

「北海道ホテル」を出発 国道273号で糠平温泉へ 糠平温泉「湯元館」の露天風呂

旧国鉄士幌線のタウシュベツ橋幌加温泉「鹿の谷」「鹿の谷」の内風呂

旧国鉄士幌線のタウシュベツ橋 幌加温泉「鹿の谷」 「鹿の谷」の内風呂

「鹿の谷」の露天風呂音更川林道で岩間温泉へ岩間温泉の露天風呂

「鹿の谷」の露天風呂 音更川林道で岩間温泉へ 岩間温泉の露天風呂

三国峠に到達三国峠の「峠の茶屋」の「チキンカレー」大雪高原温泉「大雪高原山荘」の湯

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層雲峡温泉「黒岳の湯」ホリゴメさんとの出会い!旭川のバイクショップ「ワークス」でDRのリアタイヤを交換

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「ありこま」の「ありこまラーメン」道道213号で天人峡温泉へ

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