カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[264日目]

投稿日:2020年2月15日

カブタンがやって来た

北海道編 40日目(2007年9月29日)

 江別温泉「富士屋旅館」の朝湯に入る。塩分を含んだ湯。湯から上がると、待望の朝食。何しろ昨夜は夕食にありつけなかったのでもう腹ペコ。ご飯、味噌汁、ニシンの焼魚、タラコ、生卵、納豆、煮物、揚物、漬物の朝食を夢中で食べた。いつもは「三杯飯」だが、今朝は「四杯飯」だ。

 部屋に戻るとパソコンを開く。もう毎日の日課になっている「カブタン指令」を見るためだ。

「カブタン指令第18号」はなんと緊急指令で、「朝食を食べ終わったら、すぐに外に出なさい!」というもの。あわてて宿への支払いをすませ、外に出ると、カブタンがにこやかな笑顔でもって立っていた。「カブタン旦那」の運転で旭川から来てくれた。

 さっそく江別駅前でのカブタンとの出会いの儀式。
「カブタ〜ン!」
「カソリさ〜ん!」

 旭川駅前での「みわ姉」との熱い抱擁にひきつづいて、江別駅前での熱い抱擁か…。と思われたが、ご通行中のみなさんはさておいて、「カブタン旦那」の目の前ではちょっとはばかれるのでやめにした。残念…。

 そんなカブタン夫妻の見送りを受け、国道12号で札幌の中心街に入っていく。

 ビルの谷間の時計台近くで国道5号に入ると、札幌駅前を通り、小樽方向へ。

 第1湯目は札幌手稲温泉の「極楽湯」。大浴場と露天風呂。ここは日本各地で入っている温泉チェーンの「極楽湯」。札幌が日本最北の「極楽湯」になる。

「極楽湯」から国道5号に向かっていく途中では、後ろの車からクラクションを鳴らされた。何と「仕事人さん」ではないか。今回はバイクではなく車。まだ小さい娘さんを乗せている。

「仕事人さん」と一緒に第2湯目の朝里川温泉へ。

 朝里川温泉「花の湯朝里殿」の大浴場と露天風呂に、「仕事人さん」と一緒に入った。ここのマスコット、ラッコ?の「ゆうゆ君」はかわいらしい。

 朝里川温泉「花の湯朝里殿」の湯から上がると「仕事人さん」と別れた。

 国道5号で小樽へ。さらに余市へ。余市からは国道229号で積丹半島に入っていく。「積丹半島一周の温泉めぐり」の開始だ。

 第3湯目は余市川温泉「宇宙の湯」。屋根のスペースシャトルが目印だ。大浴場と露天風呂。露天風呂は木の湯船。湯から上がると、「仕事人さん」からの差し入れの「チーズブッセ」を食べた。

 第4湯目は古平のふるびら温泉「一望館」の湯。ここは大浴場の内風呂のみ。2つの湯船はともにきれいな赤湯。湯温はほとんど変わらない。

 積丹半島の東海岸から北海岸へ。

 第5湯目は積丹温泉「岬の湯しゃこたん」。大浴場と露天風呂。露天風呂からは日本海を一望。左手には神威岬が見える。ほぼ無色透明の湯で塩分が濃い。湯から上がると、体にはべとつき感が残った。

 第6湯目はシララ温泉。温泉旅館&食堂「北都」の「シララ姫の湯」に入る。ほぼ無色透明の湯で、かすかな甘味。浴室からは日本海を一望する。

 積丹半島の西海岸へ。夕日を浴びて海がキラキラ光っている。

 第7湯目は珊内温泉「珊内ぬくもり温泉」の湯。ここは大浴場の内風呂のみ。無色透明の湯につかる。浴室からは夕日に染まってきらめく海を見る。

 第8湯目は神恵内温泉「竜神荘」の湯。ここも大浴場の内風呂のみ。浴室からは珊内温泉「珊内ぬくもり温泉」と同じように、夕日に染まる日本海を見る。海の見える温泉というのはいいものだ。

 第9湯目は積丹半島横断の道道998号沿いにある998温泉「リフレッシュプラザ」の湯。大浴場と露天風呂。ともに濁り湯で塩分の濃い湯。ここは日本でも有数の強食塩泉の温泉だ。

 第10湯目は国道229号沿いの盃温泉「国民宿舎もいわ荘」の湯。驚いたことに、ここでは「カブタン夫妻」がぼくを待ち構えていた。夫妻は今日のカソリの動きを見ながら、「きっとここにやって来るに違いない」と推測して、待ち構えていたのだ。

 我々は今晩、ここで一緒に泊まることにした。夕食も用意してもらえることになった。「さー、宴会だ〜!」

 俄然、張り切ってしまう。

 まずは第10湯目の「宿湯」に入り、食堂での夕食開始。カブタン夫妻と一緒に食べる。その前にビールで乾杯。

「乾杯!」
「乾杯!」
 と、乾杯をくり返し、何本ものビールをあけた。

 カブタンは強い。まったくピッチを落とさずにグイグイ飲み干し、次々に空にしていく。ぼくだって負けてはいられない。あっというまにビールの空きビンがズラズラズラッと並ぶ。ビールを浴びるようにして飲んだところで、サケのチャンチャン焼き、宗八カレイの焼き魚、刺身、カニ、タコ、つぶ貝、茶碗蒸し…の夕食を食べた。

 食堂での夕食を終えると、今度はカブタン夫妻の部屋に舞台を移しての飲み会だ。

 2次会では、カブタン夫妻が車に積んで持ってきた北海道各地の地酒を飲む。

 一升びんとか五合びんとか…、何種もの地酒を次々に飲む。

 カブタン旦那は早々とダウン。そんな旦那を尻目に平然と飲み続けるカブタン。

 カブタン、恐るべし!

 カブタンは強い!

 ほんとうに強い!!!

「しまった…」
 と思ったときはもう遅かった。

 ぼくはだんだんと意識が朦朧としてくる。呂律もまわらなくなってくる。しかし、それでもカブタンに負けずに飲みつづけた。

 ほとんどの酒ビンを飲みつくし、空にしたところで我々の宴会はお開きになった。日付は変わり、午前1時か2時頃か。まっすぐ立って歩くこともできず、自分の部屋に這うようにして戻った。

 驚いたのはカブタン。それだけ飲んでも平然とした顔つきで、
「おやすみなさい、カソリさん!」
 という。

 いやはやいやはや、カブタン、参りましたよ!

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 江別温泉「富士屋旅館」
朝食 江別温泉「富士屋旅館」 ご飯、味噌汁、ニシンの焼魚、タラコ、生卵、納豆、煮物、揚物、漬物
9時 江別温泉「富士屋旅館」を出発
出会い カブタン夫妻
2751湯目 札幌手稲温泉「極楽湯」(390円)
出会い 仕事人さん
2752湯目 朝里川温泉「花の湯朝里殿」(600円)
2753湯目 余市川温泉「宇宙の湯」(390円)
昼食 仕事人さん差し入れの「チーズブッセ」
2754湯目 ふるびら温泉「一望館」(500円)
2755湯目 積丹温泉「岬の湯しゃこたん」(600円)
2756湯目 シララ温泉「温泉旅館北都」(500円)
2757湯目 珊内温泉「珊内ぬくもり温泉」(500円)
2758湯目 神恵内温泉「竜神荘」(500円)
2759湯目 998温泉「998温泉」(500円)
18時20分 盃温泉の国民宿舎「もいわ荘」(1泊2食9700円)
2760湯目 盃温泉の国民宿舎「もいわ荘」
出会い カブタン夫妻
夕食 ご飯、味噌汁、刺身、カニ、タコ、つぶ貝、茶碗蒸し、サケのチャンチャ焼き、宗八カレイの焼魚
本日の走行距離数 179キロ
本日の温泉入浴数 10湯

江別温泉「富士屋旅館」の朝湯に入る「富士屋旅館」の朝食を食べる江別駅前でのカブタンとの出会い

江別温泉「富士屋旅館」の朝湯に入る 「富士屋旅館」の朝食を食べる 江別駅前でのカブタンとの出会い

札幌手稲温泉「極楽湯」「仕事人さん」からの差し入れの「チーズブッセ」ふるびら温泉「一望館」

札幌手稲温泉「極楽湯」 「仕事人さん」からの差し入れの「チーズブッセ」 ふるびら温泉「一望館」

積丹温泉「岬の湯しゃこたん」積丹半島北海岸の海。神威岬が見えるシララ温泉「温泉旅館北都」

積丹温泉「岬の湯しゃこたん」 積丹半島北海岸の海。神威岬が見える シララ温泉「温泉旅館北都」

積丹半島北海岸の海。積丹岬が見える神恵内温泉「竜神荘」盃温泉の国民宿舎「もいわ荘」の夕食

積丹半島北海岸の海。積丹岬が見える 神恵内温泉「竜神荘」 盃温泉の国民宿舎「もいわ荘」の夕食

国民宿舎「もいわ荘」の夕食の「サケのチャンチャン焼き」「サケのチャンチャン焼き」を開くとこうなる国民宿舎「もいわ荘」の夕食の「宗八カレイの焼き魚」

国民宿舎「もいわ荘」の夕食の「サケのチャンチャン焼き」 「サケのチャンチャン焼き」を開くとこうなる 国民宿舎「もいわ荘」の夕食の「宗八カレイの焼き魚」

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