カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

『地平線通信』(第12回目)(2015年10月号より)

投稿日:2021年1月18日

カソリは走った!

●みなさ〜ん、お元気ですか。報告会にも行けず、バイクで走りまわっています。4月18日、19日の「福島・浜通りを巡る移動報告会」を終えたあとのカソリをお伝えします。カソリの活動報告書といったところでしょうか。いわき駅前でみなさんを見送ると、渡辺哲さんと駅前の「ホルモン焼き」の店に入り、宴会開始。「渡辺君、いや〜、ご苦労さまでした!」。さんざん飲んだあとは中華料理店で2次会。2次会が終わると渡辺さんと別れ、いわき駅前の「東横イン」に泊まりました。●翌日からはスズキの650ccバイク、V−ストローム650XTを走らせ、東北の太平洋岸を北へ。東北太平洋岸最北端の尻屋崎と本州最北端の大間崎に立ち、大間港から津軽海峡フェリーで函館に渡り、反時計回りで北海道を一周しました。北海道は寒かった。釧路を出発した朝は氷点下4度。冬の装備もしていないのでガタガタ震えながらバイクを走らせました。「北海道一周」を終えると、函館港から青森港に渡り、今度は東北の日本海側を南下。4月28日に東京に戻りました。●5月から6月にかけては「鵜ノ子岬→尻屋崎」を走りました。鵜ノ子岬は東北太平洋岸最南端の岬、尻屋崎は東北太平洋岸最北端の岬です。これが13度目の「鵜ノ子岬→尻屋崎」になりますが、大津波に襲われた東北太平洋岸の全域を見てまわりました。女川も志津川(南三陸町)も気仙沼…も盛土の工事が進み、風景が一変していました。●下北半島を一周したあと、青森駅前の「東横イン」でひと晩泊り、翌日は青森港を4時15分に出発。青森港は冷たい濃霧のヤマセに覆われ、何も見えませんでしたが、この時間が青森港の日の出なのです。青森からは東北道→磐越道→日本海東北道→北陸道→能越道と高速道をひた走り、能登半島突端の禄剛崎に立ったあと、18時50分、青森港から1222キロを走って羽咋市の千里浜にゴールしました。●これは風間深志さんが主宰するSSTR(サンセット・サンライズ・ツーリング・ラリー)。日の出とともに太平洋岸をスタートし、日の入り前に日本海の千里浜にゴールするというツーリングラリーです。全国各地から1000台以上のバイクが参加しましたが、カソリの「1222キロ」は断トツの1位でした。●千里浜からは日本海の海岸線を西へ。下関まで走り、今度は下関からの「一人ぼっちのSSTR」。4時15分に下関港を出発。中国道→山陽道→舞鶴若狭道→北陸道と高速道を走りつづけ、最後は能登半島突端の禄剛崎に立ち、18時20分に千里浜に到着。走行距離は1108キロでした。そのあとは能登半島を一周し、神奈川県伊勢原市の我が家に戻るのでした。●6月14日(日)の南会津町南郷で開催された「ひめさゆりバイクミーティング」に合わせ、福島県を一周しましたが、まずは浜通りを北上。こうして繰り返し、繰り返し福島県の太平洋側の浜通りを見ています。四倉舞子温泉の「よこ川荘」に泊まりましたが、ここも地平線会議の面々と一緒に泊まった宿。女将さんは元気ですよ。宿の前の堤防の工事が始まり、大津波で流された隣の「なぎさ亭」は新たに建て直されて開業しました。●南会津町南郷での「ひめさゆりミーティング」には民宿「田吾作」の女将、というよりも地平線会議メンバーの酒井富美さんがご主人、息子さんと一緒に来てくれました。その夜は木賊温泉の民宿「若松屋」に泊ったのですが、渡辺哲さんも来てくれて、女将のえみ子さんをまじえての飲み会は深夜までつづくのでした。●6月24日からは1ヵ月をかけての『ツーリングマップル東北』(昭文社)の実走取材。東北全域を1万キロ以上にわたって縦横無尽に走りまわりました。「東北はおもしろい!」を実感する毎日。この間、東北各地の「道の駅」をめぐりました。東北には全部で146ヵ所の「道の駅」がありますが、その全部をスタンプラリーで制覇したのです。●残念ながら福島県楢葉町の道の駅「ならは」と岩手県陸前高田市の「高田松原」の2ヵ所は休業中のままです。楢葉町は全町域の避難指示が解除されたので、道の駅「ならは」の一日も早い復活を願うばかりです。●1993年に誕生した道の駅ですが、最近の日本での数少ない成功例。今や日本各地に増えています。車やバイクで旅する者にとって道の駅の存在は大助かり。それだけに大勢の人たちが集まります。地元のみなさんの熱意が伝わってくる道の駅なのです。きれいなトイレを利用できるだけでなく、地元産の食材が買えるし、郷土料理を食べられるレストランも多くあります。今年も東北には3ヵ所、新たな道の駅ができましたが、地方活性化の切り札になるような勢いです。●8月にはスズキの1000ccバイク、V−ストローム1000で台湾を走りました。標高3275メートルの峠、「武嶺」を越えられたのが何ともうれしいことでした。スズキの250ccバイク、グラストラッカーでは「東京→青森」の「林道走破行」の第1弾目。全部で14本の林道を走りつないで東京から青森まで走りました。9月から10月にかけては、V−ストローム1000での「123109874」を走りました。●この「123109874」って、何だかわかりますか。東京から国道1号→国道2号→国道3号と走りつないで鹿児島へ。日本本土最南端の佐多岬で開催された風間深志さん主宰の「最南端バイクミーティング」にゲスト参加したあと、鹿児島から国道10号→国道9号→国道8号→国道4号で青森へ。青森からは国道4号で東京に戻ったのです。日本の幹線道路を走って「日本が見えた!」といった気分です。●この暗号のような「123109874」を走り終えて昨夜(10月10日)、伊勢原市の自宅に帰ってきました。このあと石巻で開催される「東北復興バイクミーティング」に参加します。そして福島県の白河から会津若松を通って新潟まで会津街道を走ります。この会津街道は佐渡金山の金銀が江戸に運ばれた「佐渡三道」のひとつ。「白河〜新潟」間の全宿場に立ち寄っていくつもりです。最後に「東京→青森」の「林道走破行」の第2弾目を走ります。第2弾目では全部で16本の林道を走破する予定です。ここまでを10月中に走り終えたいのです。頑張れ、カソリ!(賀曽利隆)

一緒に走った台湾のみなさんと。全員がVストローム1000に乗っている。台湾の最高所峠、標高3275mの「武嶺」で

▲一緒に走った台湾のみなさんと。全員がVストローム1000に乗っている。台湾の最高所峠、標高3275mの「武嶺」で

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