カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

『地平線通信』(第15回目)(2017年3月号より)

投稿日:2021年1月21日

35年前の新聞記事

●2月24日(金)の地平線会議の報告会、大西夏奈子さんの「むきだしモンゴル!」は、おもしろく聞かせてもらいましたよ。大西さんの前向きな姿勢、モンゴルへの熱い気持ちには胸を打たれました。人間、やっぱり「熱」ですよね。また、花田磨公さんにお会いできてよかったです。花田さんの母校が福島県いわき市の「大野第1小学校」だということがわかって嬉しかったです。●以前、花田さんが地平線通信に書いてくださった故郷のお話の中で「大野」が強く心に残り、いわき市に行くたびに四倉から県道41号で大野を走り抜けていました。大野には大野第1小学校と大野第2小学校があるのです。これで胸のつかえがとれました。●翌2月25日(土)はモンベル品川店の2Fサロンで「風間親子で挑んだダカール・ラリー2017」と題して、風間さん親子の報告会がありました。会場を埋めつくした参加者のみなさんの熱気がすごかったです。1月2日にスタートし、1月14日にゴールした南米大陸を舞台にした「ダカール・ラリー」で、風間深志さんの3男の晋之介さんが見事、8800キロを走りきって完走しました。風間さんは監督という立場での参戦でしたが、親子での「ダカール・ラリー」の走破を成し遂げ、風間さんの顔には安堵の色が浮かんでいました。●報告会の最中に風間さんは1枚のコピーを取り出し、みなさんに見せました。それは今から35年前の第4回「パリ・ダカールラリー」の新聞記事です。1982年2月5日の「読売新聞」の夕刊で、一面、ブチ抜きの大きな記事です。「道なきサハラ越え1万キロ」、「疾走!日本のオート男」、「世界一過酷なレース」、「サッチャー首相子息不明騒ぎで脚光」、「ルートはどっちだ!」、「恐怖の闇、砂のアリ地獄」といった大見出し、小見出しが新面に踊っているのです。●「巻き込まれた少年や婦人記者を含め、4人が死に、40人が重傷を負って空路ヨーロッパに運ばれたという。サッチャー英首相の子息遭難騒ぎで、一躍名をはせたパリ・ダカール1万キロラリー。世界でもっとも過酷なレースといわれるサハラ越えのこのラリーに日本から参加した2人のオートバイ男が帰国した」という書き出しで始まるこの記事には、「江本嘉伸記者」の署名があるのです。そうなのです。この記事を書いてくれた読売の記者は、地平線会議の江本嘉伸さん。2人のオートバイ男というのは風間深志さんと賀曽利隆なのです。●この読売の記事をあらためて読んでみると、過ぎ去った35年の歳月が走馬灯のように頭をよぎり、胸がジーンとしてきます。賀曽利&風間の「パリ・ダカールラリー」のすぐあとのことですが、1982年2月26日に「地平線会議」の報告会で我々は「パリ・ダカールラリー」の話をしました。そのときの地平線通信が残っています。当時はハガキ通信で、『地平線通信』の第28号になります。「こんにちは。梅がポッカリ咲いていますがまだ寒いですね。ことし1月1日、パリのコンコルド広場を約400台の自動車、オートバイ、トラック、サイドカーなどが次々にスタートしました。セネガルの首都ダカールまで、1万キロに及ぶ大ラリーのはじまりです。オートバイ131台の中に2人の日本人がいました。地平線会議世話人の賀曽利隆さん(34)と友人の風間深志さん(31)。私たちの地平線会議の名をとって『チーム・ホライゾン』がエントリー名です」とハガキいっぱいに書かれています。●青山のアジア会館でおこなわれた2月26日の報告会は大盛況で、部屋に入れなかった人が大勢、出たほどで、地平線会議内ではしばらくは語り草になっていました。●南米大陸を舞台にする「ダカール・ラリー」の前身は、このサハラ砂漠越えの「パリ・ダカールラリー」なのです。風間晋之介さん、完走おめでとう。お父さんの風間深志さんは報告会の最後を締めくくるかのように、「来年は監督としてではなく、一選手として走りたい!」といってました。(賀曽利隆)

賀曽利隆と風間深志は「チーム・ホライゾン(地平線)を結成し、1982年の「第4回パリ・ダカールラリー」に参戦。日本人ライダー、初の参戦だ。バイクは40リッタータンクを搭載したスズキのDR500。ゼッケン81番が風間号、ゼッケン82番が賀曽利号。サハラ砂漠のグラン・エルグ・オリエンタル(東方大砂丘群)の砂丘前で

▲賀曽利隆と風間深志は「チーム・ホライゾン(地平線)を結成し、1982年の「第4回パリ・ダカールラリー」に参戦。日本人ライダー、初の参戦だ。バイクは40リッタータンクを搭載したスズキのDR500。ゼッケン81番が風間号、ゼッケン82番が賀曽利号。サハラ砂漠のグラン・エルグ・オリエンタル(東方大砂丘群)の砂丘前で

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