第67回 蘇武妙見林道
投稿日:2011年3月16日
2010年 林道日本一周・西日本編
山陰の名湯で次なる英気をやしなう
村岡からは国道9号で山陰の名湯、湯村温泉に向かう。
その前に小代温泉「おじろん」(入浴料500円)の湯に入る。国道9号から国道482号に入り、鳥取県境に向かったところにある。大浴場の内風呂のみ。やわらかな湯で気持ちいい。浴室からは渓流を見下ろす。
小代温泉から国道9号に戻ると、春来峠を長い春来トンネルで抜け、峠を下ったところが湯村温泉。城崎温泉と並ぶ兵庫県の山陰側を代表する温泉だ。その歴史は古く、慈覚大師が848年に発見したといい伝えられている。
温泉街の中央には「荒湯」と呼ばれる源泉がある。100度近い熱湯が湧き出る湯壷では、温泉卵をつくったり、野菜をゆがいたりしている。
荒湯のすぐ近くにある共同浴場「薬師の湯」(入浴料300円)に入る。大浴場はタイル張りの湯船。中央の青タイルの部分が深くなっている。さきほどの小代温泉「おじろん」の湯以上にやわらかな湯で、体にふわっとまとわりつく湯の感触がたまらない。さすが山陰の名湯だ。
「薬師の湯」から上がると、国道9号で村岡に戻った。
村岡からは今度は国道482号を北へ。蘇武岳の下を貫く長い蘇武トンネルを抜けたところで国道を左折し、県道258号で蘇武岳の方向に登っていく。じきにダートに突入。渓流沿いの道幅の狭いダートを行く。3・8キロのダートを走り切ると、峠に到達。そこから蘇武妙見林道が始まる。道幅の広い林道だ。稜線近くを行くので見晴らしがいい。
蘇武岳の山頂近くの展望台でスズキDR-Z400Sを停める。残念ながら山々には雲がかかっていたが、案内図を見ると、そこからは扇ノ山から氷ノ山へとつづく山並みが一望できる。
ところで1999年の「林道日本一周」では、ダートが20キロ超の20・7キロあったロングダートの蘇武妙見林道だが、行けども行けども山上の舗装路がつづく。金山峠を越えてやっとダートに突入したと喜んだのもつかのま、0・2キロ、0・3キロ、0・1キロというごくごく短いダートが3区間あっただけで、合計してもダート距離は1キロにもならない。
「さー、ロングダートだ!」
と意気込んで蘇武妙見林道に入っていっただけに、完全に肩透かしをくらった。
全線舗装路といってもいい蘇武妙見林道を走り、妙見の集落に下ったときはガックリときた。これで西日本からまた1本、ロングダートが消えた。
八鹿(ようか)で国道9号に出ると、村岡方向に走り、とがやま温泉「天女の湯」(入浴料600円)と関宮温泉「万灯の湯」(入浴料600円)の2湯に入った。ともに国道9号からわずかに入ったところにあるのだが、2湯とも「貸切湯」状態。大浴場を独り占めにして湯につかった。
このあたりが山陰のよさ。
これが山陽だったら、ワサワサ混みあっていたに違いない。
いやー、いい湯だった。この2湯のおかげで、舗装林道に変わっていた蘇武妙見林道のいやな思いも吹っ飛んだ。