アドレス日本巡礼[209]
投稿日:2014年12月25日
三輪の明神さん
「西国33番」第8番札所の長谷寺から桜井駅前に戻ると、今度は国道169号を北へ、奈良へと向かっていく。アドレスで4、5キロ走った三輪の交差点を右折し、大和国の一宮、大神神社(おおみわじんじゃ)を参拝する。ここは日本最古の神社。祭神は大物主神と大己貴神。大己貴神は大国主神のことだ。
大神神社に本殿はなく、拝殿があるのみ。背後の三輪山(467m)が御神体になっているからだ。つまり本殿は三輪山という神山で、自然を崇拝する日本古来の信仰の形がここには濃く残っている。神域は350ヘクタールにも及び、全山が杉や桧、赤松、椎などの原生林に覆われている。日本の山はどんな奥山でもすみずみにまで人の手が入っているが、大神神社をはじめとする多くの一宮の森には人の手が及ばない。その意味では、一宮というのは日本で一番の自然の宝庫といっていい。
大神神社の拝殿は立派な造りで、寛文4年(1664年)、徳川4代将軍家綱によって再建された。「三輪の明神さん」で知られる大神神社には関西圏のみならず、日本中から大勢の人たちが参詣する。
大神神社の参拝を終えると、鳥居前の「森正」で名物の「三輪そうめん」を食べる。メニューは「釜あげ」、「にうめん」、「冷やし」の3品。そのうち「冷やし」(900円)を食べた。
大神神社の鳥居前町の三輪は日本の「そうめん発祥の地」。宝亀年間(770〜781年)に大神神社の神主が小麦の栽培を奨励したとのことで、それがそうめんづくりにつながっていく。この三輪そうめんが河内そうめん、播州そうめん、小豆島そうめんなど日本の主なそうめんの源流になっている。三輪そうめんは小麦粉をこねた団子を切って油でのばし、油がえし、ほそめ、こよりの3工程を経て、次第に細くし、それを乾燥させたもの。三輪山から流れ出る清流と奈良盆地の冬の風が良質のそうめんをつくり出している。大神神社前で食べる「三輪そうめん」は、日本の食文化の神髄といってもいい。