アドレス日本巡礼[344]
投稿日:2016年4月27日
鎌倉の札所巡り
「さー、坂東三十三ヵ所めぐり」の開始。江ノ島入口の交差点から国道134号を走り、若宮大路でJR鎌倉駅前から鶴岡八幡宮へ。大鳥居前の交差点を右折し、県道204号の金沢街道を1キロほど行ったところに第1番札所の杉本観音(杉本寺)がある。杉本寺は鎌倉最古の名刹として知られているが、創建は天平6年(734年)。門前でアドレスを止めると、苔むした石段を登っていく。石段の両側には「奉納 十一面杉本観音」の白い幟がはためいている。源頼朝が再興したといわれている本堂を参拝。本尊は十一面観音。現在の建物は延宝6年(1678年)に再建された。
JR鎌倉駅前に戻ると、若宮大路を左折し、県道311号を行く。「鎌倉七坂」のひとつ、名越坂の道。三方を山々に囲まれた鎌倉はどこを行くのにも、山を越えなくてはならない。山を越える切り通しの代表的なものが「七切通し」。京都の「京の七口」にならって「七口」ともいわれている。「七切通し」の「七坂」はすべてが峠なのだが、「峠」とはいわずに「坂」といっている。それほど険しくはないからだろうか。だが日本の「峠」は古来、「坂」といわれた。古代東山道の神坂峠や武州と甲州国境の雁坂峠、甲州の御坂峠などの「坂」は「峠」を意味している。つまり神坂峠とはいわずに神坂であり、雁坂峠は雁坂、御坂峠は御坂だった。それに似た発想を鎌倉にも感じる。
県道311号で名越坂のトンネルを抜け、逗子市に入ったところに第2番札所の岩殿寺がある。岩殿寺の参堂には「奉納 南無観世音菩薩」の赤い幟がはためいている。広い境内は緑濃い樹林で覆われている。本尊の十一面観音をまつる観音堂の前からは逗子の市街地を見下ろせた。
岩殿寺からは来た道を戻る。名越坂のトンネルを抜けて鎌倉市に入り、若宮大路に出る手前に第3番札所の田代観音(安養院田代寺)がある。寺の名前からもわかるように、もともとは別の寺だった安養院と田代寺が一緒になって安養院田代寺が誕生した。ここは鎌倉では随一のツツジの名所として知られているが、残念ながら花の季節はほとんど終わっていた。境内には樹齢700年の槇の大木がある。本尊の千手観音をまつる本堂を参拝し、JR鎌倉駅前に戻った。鎌倉駅は札所めぐりの絶好の拠点になっている。
最後は第4番札所の長谷観音(長谷寺)。鎌倉の長谷観音と大和の長谷観音(西国三十三ヵ所第8番札所)の観音像は、同じ楠の大木から作られたものだという。養老5年(721年)に大和の初瀬で作られた2体の十一面観音のうち、1体は伊勢の海から流され、16年後の天平8年(736年)、三浦半島に流れついたという。鎌倉の長谷観音は高さ9・18m。日本最大の木彫の仏像だ。本堂では巨大な観音像を間近で見られる。長谷寺はおおにぎわい。外国人観光客も多かった。ぐるりと境内をまわり、見事な庭園も見た。ここを最後に鎌倉を離れ、国道134号で江ノ島入口まで戻った。