カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

奥の細道紀行[2]

投稿日:2016年7月11日

ST250とともに

2009年

 芭蕉は1689年(元禄2年)3月27日(現在の暦では5月16日)に「奥の細道」に旅立った。弟子の一人、曽良を伴って。

 深川の旅立ちの地から舟で日光街道の千住に渡り、日光街道を北へと進む。草加、越谷と通り、第1夜目は粕壁(春日部)で泊まっている。

 芭蕉はさらに日光街道を北へ。日光街道は宇都宮までは奥州街道と重複するが、その先は奥州街道になる。白河の関を越えて「みちのく」に入り、奥州(陸奥)、羽州(出羽)とまわり、象潟(秋田)から日本海側を南下。そして8月21日に「結びの地」美濃(岐阜)の大垣に到着する。

 9月6日、伊勢神宮参拝に向かうために大垣湊から船出するのだが、この間の156日、500里(2000キロ)を越える長旅の中で、とくに印象的なシーンをまとめたのが名作の『おくのほそ道』だ。その全行程をカソリはバイクで追う。

 さて今回の「奥の細道紀行」の足となってくれるのはスズキの250ccバイク、ST250だが、カラーは色鮮やかなワインレッド。排ガス規制対応のヒューエル・インジェクション。メーター回りはトラディショナル風。このST250では「300日3000湯」(2006年〜2007年)の「甲州・信州編」を走っているので、胸がジーンとするようななつかしさを感じる。真冬の寒風をついて走り、次々と温泉を目指していったあのときのシーンが思い出されてくるのだった。
 そんなST250のカソリ・インプレを紹介しておこう。

「ST250はきわめて足つき性の良いバイク。両足べた着きのおかげで、雪道、氷道ではずいぶんと助けられた。単気筒250ccのトコトコトコというエンジン音はたまらない。丸目のライト、丸型のアナログメーターは、今の時代だとかえってお洒落に見える。体に伝わる2本サスの適度な振動、衝撃もバイクをより強く感じさせてくれるものだ」
(昭文社刊の『300日3000湯めぐり日本一周・上巻』より)

 さあ、頼むぞ、ST250よ。「奥の細道」を追って、東北の山野をおおいに駆けめぐろう!

松尾芭蕉(1644年〜1694年)

▲松尾芭蕉(1644年〜1694年)

相棒のスズキST250

▲相棒のスズキST250

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