奥の細道紀行[51]
投稿日:2016年11月1日
秋田に通う道遙か
「奥の細道」の奥州編では、最北の地、平泉から下北半島まで行った。芭蕉はきっと津軽海峡を見たかったはずだ、蝦夷を見たかったはずだと思ったからだ。芭蕉にかわって大間崎まで行き、津軽海峡を見た。そして海峡の向こうの北海道を見た。
それと同じように羽州編でも、最北の地、象潟から津軽半島まで行くことにした。
前回の『おくのほそ道』の「象潟」で芭蕉は、「東に堤を築きて、秋田に通う道遥かに…」と書いている。
その一文に、芭蕉の「もっと、もっとその先へ!」という強い気持ちがうかがわれる。
だが、体調のことや日程のことや経済的なこと…など、諸々の理由で象潟を最後に南下しなくてはならなかった。
『おくのほそ道』の全編を読むとすぐにわかることだが、象潟を過ぎると芭蕉の旅は急速に精彩を欠き、一気にゴールの大垣に向かっていくような印象を受ける。
そんな芭蕉のやるせない気持ちが伝わってくるので、
「よーし!」
という気分で、カソリはスズキST250を走らせる。
象潟からさらに北上し、津軽半島最北端の龍飛崎を目指す。
象潟から国道7号で秋田へ。その途中では「にしめ湯っ娘ランド」の湯に入り、湯から上がると「比内地鶏の親子丼」(1000円)を食べた。
秋田からは男鹿半島に入っていく。男鹿半島の西岸を行き、最北端の入道崎に立った。北緯40度線上の岬の突端には白黒2色の灯台。岬の周辺は広々とした草地になっている。8月下旬の晴れた日で、すでに夏が終り、秋を思わせるような澄み切った青空が広がっていた。
男鹿半島を一周し、大潟村の道の駅「おおがた」に寄ったあと、国道101号を北上。能代からは日本海の海岸線を見ながら走る。JR五能線が国道に沿っている。赤錆の浮いた線路を1両編成のジーゼルカーが通り過ぎていく。道の駅「みねはま」、道の駅「はちもり」と道の駅でST250を停めたが、道の駅「はちもり」では名水の「お殿水」を飲んだ。参勤交代の大名行列で、津軽の殿様が「甘露、甘露!」と絶賛したという湧き水だ。
道の駅「はちもり」を過ぎると、秋田・青森県境の須郷岬に到着。ここはまさに白神山地、海に落ちるといった地点で、展望台からは北へと延びる海岸線を一望した。