奥の細道紀行[62]
投稿日:2016年11月23日
カソリ旅、福島を往復
新潟から芭蕉の足跡を追って南下する前に、国道49号で福島県に入り、福島県内をまわって新潟に戻ってくることにした。ここでも「会津編」のカソリ旅をする。
新潟駅前の「東横イン」のおにぎり&味噌汁の朝食を食べ、7時30分に出発。スズキST250を走らせ、国道49号で福島県境に向かっていく。大河、阿賀野川沿いに走り、対岸の花咲温泉を過ぎると一気に新潟平野から越後山脈へとつづく山中に入っていく。阿賀野川はその中を滔々と流れている。山中に入っても大河の風格十分の阿賀野川だ。
道の駅「みかわ」を過ぎたところで、樹齢1400年の将軍杉を見に行く。国道49号からわずかに北側に入ったところにある。「将軍杉」の名前通りのすごい杉だ。国の天然記念物に指定されている。日本各地に「日本一」の大杉があるが、樹高40メートル、幹のまわりが19メートルの将軍杉も「日本一の大杉」を称している。根元近くから6本の幹に分かれているが、中央の1本は昭和30年の第2室戸台風で折れた。木道を歩いて将軍杉のまわりをぐるりとひとまわりしたが、まるで神が宿っているかのようで、何か目に見えない力をもらったような気がした。これが名木・大木のすごさというものか。
さらに阿賀野川沿いに走り、津川を通り、福島県に入っていく。会津に入った!
旧道だと県境は鳥井峠だが、新道は福取トンネルで峠を抜け、峠道を下ったところが県境になっている。国道49号を下りながら目に入ってくる会津の風景が心にしみる。
峠を下ったところで国道49号を右折し、県道339号に入っていく。その道沿いにある鳥追観音を参拝。ここは「会津三十三観音」33番目の満願所になる。
鳥追観音を参拝しながら、「奥の細道」の前に終らせた「西国三十三番」、「坂東三十三番」、「秩父三十四番」の巡礼旅、「日本百観音霊場」を振り返ってみるのだった。
鳥追観音からさらに県道339号を行き、行止まり地点の山神をまつる大山祇神社の里宮を参拝。ここは6月の大祭には各地から大勢の人たちがやってくるという。本社はここからさらに徒歩1時間の山中にある。
国道49号に戻ると、磐越道の会津板下ICの交差点を右折し、国道252号に入っていく。国道沿いの「みのや」で黄色い「あわそば」(650円)を食べ、柳津へ。ここでは只見川を見下ろす福満虚空蔵を参拝した。
柳津は福満虚空蔵をまつる円蔵寺の門前町。円蔵寺は大同年間(806年〜810年)の創建といわれる会津の古刹。そのあと、町中にある名水の「大清水」(弘法清水)を飲んだ。このような豊富な水量の湧水が町の中心にあるのがすごい。
柳津の先で国道252号から県道32号に入り、西山温泉へ。山間の温泉情緒あふれる西山温泉では「中の湯」(入浴料800円)の桧風呂と露天風呂に入った。
湯から上がると、さらに山中に入った久保田まで行く。久保田の集落を通り抜けたところにある山道沿いには、聖観音や千手観音、十一面観音など三十三観音の石仏群がまつられている。毎年4月28日の観音祭りには遠方からも多くの人たちがやってくるという。
国道49号に戻ると、七折峠のトンネルを抜け、塔寺の立木観音を参拝。門前には移築された会津の古民家、旧五十嵐家住宅が保存されている。
国道49号で会津若松を通り過ぎ、国道294号との分岐点近くにある名水「強清水」に立ち寄る。清水を囲むようにして何軒かの手打ちそば屋が並ぶ。柄杓で強清水を飲み、ゆるやかな峠を越えて猪苗代湖の湖畔へ。そして中山峠を越えた。中山峠は奥羽山脈の峠で会津と阿武隈川流域の中通りを分けている。
中山峠を下った磐梯熱海温泉では、JR磐梯熱海駅近くの共同浴場「元湯」(入浴料250円)に入った。ここの源泉風呂は湯温30度。冷たさを感じるくらいの源泉風呂に入ったあと熱湯に入り、また源泉風呂に入った。この温湯の源泉風呂は皮膚病にすごく効くといわれている。
磐梯熱海温泉から郡山へ。郡山からは国道4号で福島へ。本宮、二本松と過ぎ、福島の市街地に近づいたところで、バックミラーに映る脇道から飛び出してきた2台の白バイを発見。すでに赤色灯を点滅させている。恥も外聞もなく、ST250のフロント、リアともに急ブレーキをかける。サイレンを鳴らして「そこのバイク、止まりなさい!」といわれたらアウトだったが、間一髪、急ブレーキのおかげで助かった。50キロまで速度を落として走る。2台の白バイはピタッと後ろについたが、しばらくすると速度を上げて走り去っていった。
「ふー、助かった!」
福島からは国道115号で土湯峠を越え、峠を下ったところからは国道459号を行く。この国道459号はカソリのおすすめコース。裏磐梯を走り抜け、桜峠を越えて喜多方へ。喜多方では喜多方ラーメンの店「大黒天」で「手打ちチャーシュメン大盛」(1000円)を食べた。喜多方ラーメンを食べるのは「会津旅」の定番だ。
喜多方からはさらに国道459号を走り、新潟県に入り、津川で国道49号に合流。新潟に戻ったのは21時。全行程498キロの「新潟→新潟」だった。