カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

東北四端紀行[29]

投稿日:2017年3月22日

北端編 9 龍飛は本州の袋小路だった

2009年9月10日~10月9日

三厩を出発

三厩を出発

三厩からは国道339号になる

三厩からは国道339号になる

龍飛崎への道沿いには漁村がつづく

龍飛崎への道沿いには漁村がつづく

龍飛漁港

龍飛漁港

太宰治の『津軽』の文学碑

太宰治の『津軽』の文学碑

 三厩を出発し、スズキDR−Z400Sを走らせ、国道339号で津軽半島最北端の龍飛崎に向かう。龍飛崎までの間には点々と漁村がつづく。龍飛に到着。龍飛漁港の行止り地点には、太宰治の『津軽』の文学碑が建っている。それには次のよな一節が彫り刻まれている。

ここは本州の袋小路だ。讀者も銘肌せよ。諸君が北に向かって歩いている時、その路をどこまでも、さかのぼり、さかのぼり行けば、必ずこの外ヶ濱街道に到り、路がいよいよ狭くなり、さらにさかのぼれば、すっぽりとこの鶏小屋に似た不思議な世界に落ち込み、そこに於いて諸君の路は全く尽きるのである

 ここからは高台上の龍飛崎へと、国道339号の日本で唯一の階段国道が通じている。ぼくが「30代編・日本一周」で龍飛崎にやってきたのは1978年のこと。そのときは太宰治の『津軽』どおりの世界で、ここが行止りだった。国道339号で日本海側の小泊に抜けられるようになったのは、まだ最近のことなのである。

 龍飛漁港から自動車道で龍飛崎の台地上に登っていく。龍飛崎は高さ100メートルほどの断崖となって落ちている。断崖の下に龍飛の集落があり、龍飛漁港がある。漁港の前の帯島が天然の防波堤の役目を果たしている。龍飛はまさに帯島のおかげといってもいい。もしこの小さな岩山がなかったら、きっと無人の荒野だったことだろう。

龍飛崎温泉の「ホテル竜飛」

龍飛崎温泉の「ホテル竜飛」

「津軽海峡冬景色」の歌謡碑

「津軽海峡冬景色」の歌謡碑

国道339号の「階段国道」

国道339号の「階段国道」

龍飛崎から見下ろす日本海の海岸線

龍飛崎から見下ろす日本海の海岸線

 龍飛崎では龍飛崎温泉「ホテル竜飛」(入浴料500円)の湯に入った。大浴場の湯につかりながら津軽海峡を眺め、対岸の北海道最南端の白神岬を眺めた。「絶景湯」だ。龍飛崎から白神岬までは19キロでしかない。

 龍飛崎温泉の湯から上がると、「津軽海峡冬景色」の歌謡碑前でDRを停めた。

 ごらんあれが 竜飛岬
 北のはずれと
 見知らぬ人が 指をさす…

 そんな歌詞の彫り刻まれれた歌謡碑の赤いボタンを押すと、石川さゆりの歌声が聞こえてくる。

 つづいて国道339号の「階段国道」を登り下りした。いや、正確にいうと岬上から下り、また登った。そして龍飛崎の突端へ。土産物店の並ぶ駐車場にDRを停め、白い灯台前から岬の要塞跡へ。龍飛崎は昔も今も北方警備の要衝の地。

 弘前藩は文化5年(1808年)、この地に台場を築き、狼煙台と砲台を設置した。明治以降は旧日本海軍の監視所になった。現在もここには海上自衛隊のレーダー基地がある。龍飛崎は「風の岬」で知られているが、周辺の丘陵地帯には何基もの風力発電の風車が見られた。

龍飛崎の灯台龍飛崎の要塞跡龍飛崎のレーダー基地

龍飛崎の灯台 龍飛崎の要塞跡 龍飛崎のレーダー基地

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