カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

奥州街道を行く! [10]

投稿日:2017年5月8日

奥州街道唯一の本陣

2009年10月11日

 奥州街道の仙台宿を出発。七北田宿、新町宿、吉岡宿の3宿を過ぎると次は古川宿だ。広大な水田地帯を貫く国道4号を走る。吉岡宿から古川宿までは20キロもある。奥州街道の全コースの中でも、この間の宿場間の距離は断トツで一番、長い。

 なぜこの間だけ、これほどまでに宿場間の距離が長いのか。その理由は吉岡から色麻、中新田を経由して古川に至る街道が本道だったからではないか。江戸時代の中新田はこの地方の中心地。瑞雲寺という豪壮な造りの寺もある。それに対して「吉岡−古川」間の奥州街道はノンストップのバイパスのようなもの。歩いて旅した時代、吉岡宿から古川宿の間だけで半日はかかった。

 古川宿からは荒谷宿、高清水宿、築館宿、下宮野宿、城生野宿、沢辺宿、金成宿の7宿を通り、岩手県境に近い有壁宿へ。JR東北本線の有壁駅前が奥州街道の宿場町だ。ここには奥州街道で唯一、本陣が残されている。以前は味噌・醤油の醸造元で、建物は改造されることなく、当時のままの姿を今にとどめている。じつに貴重な存在だ。

 残念ながら内部の見学はできないが、外から見ることはできる。2階建ての長屋門の奥の母屋が見える。一関藩、盛岡・南部藩、八戸・南部藩、津軽藩、松前藩などの参勤交代の大名行列はこの地を通り、藩主らがこの有壁本陣に泊まった。

 大名は門をくぐると松や石の配置された子庭を通り、玄関の式台に下ろされた駕籠から玄関の間、中座敷、次の間を通って上がり框で一段高い上段の間に入った。有壁本陣を目の前で見ていると、そんな江戸時代の大名旅行が目に浮かんでくるようだった。

仙台を出発奥州街道の吉岡宿奥州街道の古川宿

仙台を出発 奥州街道の吉岡宿 奥州街道の古川宿

奥州街道の築館宿奥州街道の有壁宿の本陣有壁駅を通過する貨物列車

奥州街道の築館宿 奥州街道の有壁宿の本陣 有壁駅を通過する貨物列車

 有壁本陣前から旧奥州街道で一関宿に向かう。舗装路から林道に突入し、林道から登山道に入ったところで引き返した。有壁宿から一関宿までの旧奥州街道は、歩いていくしかない。

 JR有壁駅前に戻ると、現奥州街道の国道4号で県境を越えて岩手県に入り、田村氏3万石の城下町、一関をまわった。まずは日本武尊をまつる配志和神社へ。うっそうとした杉木立の参道を歩く。拝殿前には樹齢千年の夫婦杉。境内には芭蕉の句碑が建っている。次に一関城跡の釣山公園へ。ここは桜の名所で山頂は千畳敷の広場になっている。釣山公園から暮れなずむ一関の町並みを見下ろした。

 一関ではJR一関駅前の「東横イン」に泊まった。夕食は駅前ラーメン店の「藤原家」。餃子で生ビールを飲み干したあと、カソリ定番の「ラーメン・ライス」を食べた。

国道4号で岩手県に入る一関の配志和神社配志和神社の芭蕉句碑

国道4号で岩手県に入る 一関の配志和神社 配志和神社の芭蕉句碑

一関城跡の釣山公園一関城跡から見下ろす一関の市街地一関駅前の「東横イン」に泊まる

一関城跡の釣山公園 一関城跡から見下ろす一関の市街地 一関駅前の「東横イン」に泊まる

一関駅前の「藤原家」の「ラーメン・ライス」

一関駅前の「藤原家」の「ラーメン・ライス」    

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