カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[9日目]

投稿日:2017年6月25日

温泉効果を実感!

関東編 9日目(2006年11月9日)

 嬬恋温泉「つまごい館」の朝湯に入りながら、ぼくはうれしくてならなかった。体調がすっかりよくなっているからだ。「温泉めぐり日本一周」に出発する前の10月13日、2ヵ月に及ぶ1万3000キロの「シルクロード横断」から帰ってきたが、そのときの体調は最悪だった。「中国風邪」にこっぴどくやられたのだ。それは猛烈なクシャミからはじまった。10連発もの信じられないようなクシャミの連続。そのあとは滝のように流れ出る鼻水、息もできないような鼻づまり。それが終わると激しいセキ。最後がタンだった。そのような症状の「中国風邪」が半月以上もつづいた。「シルクロード横断」は全部で15人の仲間と走ったが、同じような症状の人が何人も出た。「中国風邪」が原因で途中、帰国した人もいた。この後遺症でいつまでもセキがつづいた。夜中にセキ込むと、あまりの苦しさにパカーッと飛び起きてしまうほどだった。 

 帰国してからもそれがつづき、「300日3000湯」に出発するときも、セキ止めの薬を持ったほど。薬大嫌いのカソリなので、何とも悲しい旅立ちになった。それが温泉めぐりを始め、日を重ねるごとにみるみるよくなり、ほとんどセキが止まった。前夜はセキ止めを飲まなかったが、まったくセキは出なかった。「もう、大丈夫!」と、湯から上がると、残っていたセキ止めの薬を捨てた。これというのも温泉効果。「温泉の医者いらず」を改めて実感するのだった。

 嬬恋温泉から国道144号で信州との境の鳥居峠へ。「峠返し」で折り返すと、温泉めぐりの開始だ。

 第1湯目は新鹿沢温泉。ここでは「入浴できます」の看板を見て、「ホテルつちや」の湯に入った。大浴場の「山乃湯」はほぼ無色透明。源泉そのままの湯で、飲泉可。コップ1杯の湯を飲んだ。

 第2湯目は鹿沢温泉「紅葉館」の「雲井の湯」。木の湯船、木の洗い場。湯船からは湯があふれ出ている。ここでは温泉めぐりをしている人と一緒になったが、「湯の中談義」で盛り上がった。その人は、「私はこういう温泉が好きなんです」という。「今度は奥会津の只見川沿いの温泉をめぐろうと思っています」ともいった。

 鹿沢温泉「紅葉館」の湯から上がると、地蔵峠まで行く。ここも上州と信州の境の峠。峠上には道しるべ観音第80番の聖観音像がまつられている。「峠返し」で折り返し、来た道を戻る。

 第3湯目は嬬恋高原温泉「つつじの湯」。入浴料は1100円。1000円を超えるが、今日は入浴数にこだわりたいのでよしとした。大浴場と露天風呂は濁り湯。ここは1日コースで楽しむような温泉施設で、レストランで食事もできる。つづいて奥嬬恋温泉「千川旅館」に行ったが、本日休業で入れなかった。ここからは正面に噴煙を上げる浅間山が見えた。

 第4湯目は嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」。総木造りの湯船につかりながら、樹林の間からバラキ湖を見る。入浴客は自分一人。湯から上がると、レストランで昼食。「ラーメンライス」を注文すると、速攻で寝る。横になった瞬間、深い眠りに落ちた。3秒以内には眠りに落ちているので、カソリの得意技の「秒寝」だ。「ラーメンライスのお客さま」の声でパッと目覚めたが、10分ほどは眠った。この短時間の眠りがすごく気持ちいい。

 第5湯目は平治温泉「平治温泉共同浴場」の湯。入浴料の200円を料金箱に入れ、木の湯船にどっぷりとつかった。湯はザーザー、音をたてて湯船からあふれ出ていく。これら5湯に入り終えるとJR吾妻線の万座鹿沢駅前に出た。

 つづいてJR万座鹿沢駅を拠点にして、本日第2弾目の温泉めぐりを開始する。まずはつま恋温泉の「山田屋旅館」に行く。玄関には「入浴のみはお受けしておりません」の貼り紙があったが、それを承知で入浴を頼んでみたが、やはりだめだった。

 第6湯目は本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」の湯。ここは標高1126メートルの高所の温泉。この「1126m」が大事で、「いい風呂」になるという。日本100名山の四阿山(2354m)が目の前に聳えている。絶景の大露天風呂の湯につかる。湯につかりながら右手に四阿山、左手に浅間山を見る。

 第7湯目は奥軽井沢温泉「ホテルグリーンプラザ軽井沢」の「あさまの湯」。ここも入浴料は1000円超の1200円だったが、「もう今日は仕方ない」と1000円の上限を外して入った。大浴場と露天風呂はうす茶色の湯。体の芯からあたたまるような湯だ。

 第8湯目は鬼押温泉「ホテル軽井沢1130」の湯。軽井沢といっても、ここは群馬県側の北軽井沢になる。入浴料はやはり1000円超の1150円だったが、またしても「もう今日は仕方ないな」と腹をくくって大浴場と露天風呂の湯につかった。ここもうす茶色をした湯で体の芯からあたたまるような湯だった。これらの3湯ともリゾートホテルの温泉だ。

 国道144号→国道145号で長野原から中之条に向かっていく。

 第9湯目は中之条の手前、JR吾妻線の群馬原町駅に近い吾妻峡温泉。幅の狭い山道を登ったところに、突然、といった感じでリゾートホテルの「コニファーいわびつ」が出現する。ふんだんに木を使った建物。温泉は内風呂、露天風呂ともに石の湯船。とくに内風呂の石の肌ざわりがよかった。寒さにやられ、体の芯まで冷え切っていたので、なんともありがたい「コニファーいわびつ」の湯だった。

 中之条からはさらに国道145号を行く。新中之条温泉はすでに営業を終えて閉まっていた。その近くの「きくや食堂」で夕食。「天ぷら定食」を食べた。

 今晩の宿、大塚温泉の一軒宿「金井旅館」に到着したのは20時30分。

 さっそく第10湯目の「宿湯」に入る。温めの湯なので、いくらでも長湯できる。大きな音をたて、まるで滝のように湯船に湯が流れ込んでいる。湯量豊富な温泉。おまけにここは混浴の湯。なんと中年の婦人と2人だけで1時間近くも長湯した。湯から上がると、ブルブルッと震えがくるほど。それほどの温い湯だが、不思議なことに、部屋に戻るころには体の芯からぽかぽかしている。この温泉効果で快眠をむさぼった。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 嬬恋温泉「つまごい館」
朝食 嬬恋温泉「つまごい館」 ご飯、納豆、目玉焼き、焼き魚、のり、漬物、味噌汁
8時45分 嬬恋温泉「つまごい館」を出発
鳥居峠(峠返し)
66湯目 新鹿沢温泉「ホテルつちや」(500円)
67湯目 鹿沢温泉「紅葉館」(500円)
地蔵峠(峠返し)
68湯目 嬬恋高原温泉「つつじの湯」(1100円)
奥嬬恋温泉「千川旅館」(本日休業で入れず)
69湯目 嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」(500円)
昼食 嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」 「ラーメンライス」(800円)
70湯目 平治温泉「平治温泉共同浴場」(200円)
つま恋温泉「山田屋旅館」(入浴のみは不可)
71湯目 本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」(1000円)
72湯目 奥軽井沢温泉「ホテルグリーンプラザ軽井沢」(1200円)
73湯目 鬼押温泉「ホテル軽井沢1130」(1150円)
74湯目 吾妻峡温泉「コニファーいわびつ」(500円)
新中之条温泉 営業時間終了で入れず
夕食 新中之条温泉近くの「きくや食堂」 「てんぷら定食」(1100円)
20時30分 大塚温泉「金井旅館」(1泊朝食5100円)に到着
75湯目 大塚温泉「金井旅館」
本日の走行距離数 169キロ
本日の温泉入浴数 10湯

嬬恋温泉「つまごい館」の朝湯に入る嬬恋温泉「つまごい館」の朝食嬬恋温泉「つまごい館」を出発

嬬恋温泉「つまごい館」の朝湯に入る 嬬恋温泉「つまごい館」の朝食 嬬恋温泉「つまごい館」を出発

群馬・長野県境の鳥居峠鳥居峠の「峠返し」で群馬県側に戻る新鹿沢温泉「ホテルつちや」の湯

群馬・長野県境の鳥居峠 鳥居峠の「峠返し」で群馬県側に戻る 新鹿沢温泉「ホテルつちや」の湯

鹿沢温泉「紅葉館」鹿沢温泉「紅葉館」の湯群馬・長野県境の地蔵峠の聖観音像

鹿沢温泉「紅葉館」 鹿沢温泉「紅葉館」の湯 群馬・長野県境の地蔵峠の聖観音像

嬬恋高原温泉「つつじの湯」奥嬬恋温泉「千川旅館」相棒のスズキGSR400。背後には噴煙を上げる浅間山

嬬恋高原温泉「つつじの湯」 奥嬬恋温泉「千川旅館」 相棒のスズキGSR400。背後には噴煙を上げる浅間山

嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」の湯船嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」の「ラーメンライス」

嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」 嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」の湯船 嬬恋バラキ温泉「湖畔の湯」の「ラーメンライス」

平治温泉「平治温泉共同浴場」平治温泉「平治温泉共同浴場」の湯つま恋温泉「山田屋旅館」

平治温泉「平治温泉共同浴場」 平治温泉「平治温泉共同浴場」の湯 つま恋温泉「山田屋旅館」

本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」から見る四阿山本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」の露天風呂

本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」 本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」から見る四阿山 本白根温泉「嬬恋プリンスホテル」の露天風呂

奥軽井沢温泉「ホテルグリーンプラザ軽井沢」鬼押温泉「ホテル軽井沢1130」吾妻峡温泉「コニファーいわびつ」

奥軽井沢温泉「ホテルグリーンプラザ軽井沢」 鬼押温泉「ホテル軽井沢1130」 吾妻峡温泉「コニファーいわびつ」

吾妻峡温泉「コニファーいわびつ」の湯「きくや食堂」の「てんぷら定食」

吾妻峡温泉「コニファーいわびつ」の湯 「きくや食堂」の「てんぷら定食」  

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