カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

温泉めぐり日本一周[33日目]

投稿日:2017年7月29日

あまりの寒さでレンタカーを借りる

甲信編 9日目(2006年12月9日)

「駒ヶ根温泉ホテル」の朝湯&朝食のあと、9時、出発。ザーザー、音をたてて雨が降っている。冬の雨ほど辛いものはない…。気温は2度。雪にならないだけ、まだましだ。あまりの寒さ、冷たい雨に思考能力もなくなってくる。国道153号で飯田へ。スズキST250にしがみつくようにして走った。

 50キロほど走って飯田に到着したときは、もうヘロヘロメロメロ状態。雨と寒さのダブルパンチでダウン寸前。
「もう、ダメだ…」

 なんとも屈辱的だったが、レンタカーで飯田周辺の温泉をめぐることにした。目に入った「マツダレンタカー飯田店」に飛び込み、マツダ車を借りた。車での移動の何と楽なこと。ST250はレンタカー会社であずかってもらう。

 飯田から国道153号を戻り、松川町に入る。第1湯目は信州まつかわ温泉の日帰り湯「清流苑」。中央道の松川ICの近くにある。大浴場と露天風呂。大浴場には「絹の湯」。白濁した湯で、サラサラ感がある。露天風呂には桶風呂もある。湯から上がると昼食。「田舎セット」を食べたが、「ざるそば」に「五平餅」がついている。

 信州まつかわ温泉から天竜川を渡り、県道59号で山中に入っていく。小渋ダムの近くの小渋湖温泉に行ったが、まだ湯を沸かしていないということで入れなかった。

 小渋湖温泉を後にすると、大鹿村に入る。小渋峡を通り、国道152号に出たところで第2湯目の鹿塩温泉へ。ここには3軒の温泉宿があるが、一番手前の「山景館」に行くと、玄関が閉まっていて入れなかった。次の「山塩館」では入浴できた。木枠の湯船。無色透明の湯で、じつに塩辛い。昔はこの湯を煮詰めて塩をとったというのがよくわかる湯。伊那山地と南アルプスにはさまれた大鹿村は山また山。信州でもこのあたりが一番、山深い。鹿塩温泉からは南アルプスの三伏峠を越えて大井川の上流へ、そこからさらに伝付峠を越えて山梨県の早川に通じていた。今は登山道のみですっかり忘れ去られたような峠だが、かつては信州と甲州を結ぶ南アルプス越えの重要な峠だった。

 大鹿温泉「山景館」の湯から上がると、国道152号を北に走り、中央構造線の「北川露頭」を見に行く。中央構造線は日本最大の構造線(断層帯)。諏訪湖から九州の八代湾までつづいている。この構造線の北側は内帯、南側は外帯といわれ、地質の構造が異なっている。北川露頭の駐車場に立つ案内板には次のように、わかりやすく書かれている。

 中央構造線は、関東から九州へ日本列島を東西に縦断する大断層です。日本列島が大陸の一部だったころから現在まで、1億年以上の活動の歴史があります。
 中央構造線を境に、でき方のちがう岩石が接しています。遠くはなれ深さもちがう場所にあった岩石が、ずれ動いて並びました。
 断層で弱くなった岩盤を川が掘り下げて、まっすぐな谷が九州までつづいています。

 北川露頭では駐車場のすぐ下、歩いて2、3分のところで、内帯と外帯が接している露頭を見られる。大鹿村にはもう1ヵ所、国道152号を南下し、地蔵峠に向かったところに安康露頭がある。「中央構造線の里」、大鹿村には「中央構造線博物館」もある。

 大鹿村からは来た道を引き返し、松川町の国道153号に戻った。

 第3湯目は、松川町の南の高森町にある信州たかもり温泉「御大の湯」。ここはちょっとわかりにくくて探しまわった。長野県内でも有数のラドン含有量を誇る放射能泉で、大浴場と露天風呂の湯につかった。2階の浴室の入口には元明治大学野球部の名監督、島岡吉郎氏の遺品が展示されている。島岡氏の愛称は「御大」。それで「御大の湯」になったのだという。

 国道153号で飯田に戻ったところでレンタカーを返却し、ST250に乗って飯田周辺の温泉をめぐる。今日は一日降りつづき、夕方になっても、朝と同じようにザーザー音をたてて降っている。レンタカーで極楽気分を味わったあとなので、ST250に乗って同じ雨に降られながらも、気分的にはずいぶんと楽だ。

 第4湯目は砂払温泉。ここは温泉宿も兼ねていて、マイクロバスで泊り客がどっとやってきた。内風呂と露天風呂に入り、次の第5湯目の久米川温泉へ。内風呂と露天風呂。湯にはぬめりがあり、ツルツルする。湯上りに飲んだ果汁100パーセントのグレープフルーツジュースは美味だった。

 第6湯目は水簾洞温泉。大浴場と露天風呂。露天風呂の湯につかっていると、雨が一段と激しくなり、あわてて大浴場に逃げ込んだ。湯から上がると夕食。「カレーライス」と「五平餅」を食べた。

 第7湯目は飯田の町中にある飯田城温泉「天空の城」の湯。ここもツルツル湯。湯につかりながら飯田の夜景を眺めた。湯から上がると、土砂降りの雨の中、国道153号を北上し、昨夜泊まった早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」へ。連泊だ。宿湯から上がると、レンタカーを使った屈辱感を振り払うかのように、カンビールをキューッと飲み干した。それにしても冬の雨は辛い…。

本日のデータ 料金等は当時のものです
朝湯 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」
朝食 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」 目玉焼き、納豆、ソーセージ、カマボコ、さつま揚げ、肉団子、サラダ、漬物
9時30分 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」を出発
278湯目 信州まつかわ温泉「清流荘」(400円)
昼食 信州まつかわ温泉「清流荘」 「田舎セット」(650円)ざるそばに五平餅がついている
小渋湖温泉(入れず)
279湯目 鹿塩温泉「山景館」(600円)
280湯目 信州たかもり温泉「御大の館」(500円)
281湯目 砂払温泉「砂払温泉」(650円)土日祝日料金
282湯目 久米川温泉「久米川温泉」(800円)
283湯目 水簾洞温泉「水簾洞温泉」(500円)
夕食 水簾洞温泉「水簾洞温泉」 「カレーライス」(600円)、「五平餅」(250円)
284湯目 飯田城温泉「天空の城」(800円)
21時40分 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」(1泊朝食5300円)
本日の走行距離数 198キロ
本日の温泉入浴数 7湯

早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」の朝食早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」を出発「雨なんかに負けるものか」と走り出したのだが…

早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」の朝食 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」を出発 「雨なんかに負けるものか」と走り出したのだが…

信州まつかわ温泉「清流荘」信州まつかわ温泉「清流荘」の「田舎セット」信州まつかわ温泉「清流荘」の「田舎セット」の「五平餅」

信州まつかわ温泉「清流荘」 信州まつかわ温泉「清流荘」の「田舎セット」 信州まつかわ温泉「清流荘」の「田舎セット」の「五平餅」

小渋湖温泉雨の大鹿村を行く鹿塩温泉「山景館」

小渋湖温泉 雨の大鹿村を行く 鹿塩温泉「山景館」

鹿塩温泉「山景館」の湯中央構造線・北川露頭の案内板信州たかもり温泉「御大の館」

鹿塩温泉「山景館」の湯 中央構造線・北川露頭の案内板 信州たかもり温泉「御大の館」

砂払温泉久米川温泉水簾洞温泉で夕食にする

砂払温泉 久米川温泉 水簾洞温泉で夕食にする

水簾洞温泉の「五平餅」

水簾洞温泉の「五平餅」    

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