温泉めぐり日本一周[34日目]
投稿日:2017年7月30日
まさやんと伊那谷道中
連泊した早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」の朝湯に入り、目玉焼き、車麩の煮物、サラダ、ソーセージ、スパゲティー、ご飯、味噌汁の朝食を食べ、9時に出発。今日はうれしい晴天。駒ヶ根ICから飯田ICまでは中央道を走る。スズキST250での高速走行。左手に連なる南アルプスの連山がよく見える。青空を背にした高峰群の雪の白さがまぶしい。それにひきかえ、右手に迫る中央アルプスの山々は厚い雲に覆われ、まったく見えなかった。
飯田ICの料金所を出たところでST250を止め、『ツーリングマップル』を見ようとしたとき、同じく中央道から降りてきたバイクが1台、止まった。なんと「まさやん」こと、白川眞武さんではないか。「まさやん」とは2001年、世界でも最も過酷なダートルートといわれるオーストラリア西部の「キャニングストックルート」を走った。際限なくつづく砂丘を越え、気温50度の猛烈な暑さにフラフラになりながらも、一緒になってバイクを走らせつづけた。そんな「まさやん」との温泉めぐりがはじまった。
飯田からは国道153号を南下。分岐点で国道256号に入り、中央道の園原ICに近い第1湯目の月川温泉へ。ここには温泉旅館の「月川」があるが、日帰り入浴は10時から。我々の到着はドンピシャのタイミングで、まったく待つことなく「月川」の湯に入れた。天気はすっかり回復し、抜けるような青空が広がっている。
露天風呂の湯につかりながらの「湯の中談義」。「まさやん」は長年勤めた会社を辞め、「白川農園」の経営に本腰を入れる決心をしたという。「まさやん」は会社勤めのかたわら、化学肥料を一切、使わない米の栽培をしている。それをもっとネットを活用し、「まさやんブランド」の米を日本中の消費者に届けたいという。と同時にリンゴを主とした果樹栽培にも力を入れ、ほんとうの「食育」を実践していきたいのだと熱い口調で語った。
第2湯目は「南信」最大の温泉地に成長した昼神温泉。ここでは日帰り湯「湯ったり〜な昼神」の湯に入った。入浴料は500円。東京周辺だったら1000円から2000円くらいの温泉施設。それをいうと「まさやん」は「1000円も2000円も払って温泉に入る信州人は一人もいませんよ」といって笑う。「湯ったり〜な昼神」は湯量豊富。内風呂も露天風呂も気分よく入れる。ツルツル系の湯。肌もスベスベになる。
第3湯目は伊那谷温泉。国道153号で飯田方向に戻り、国道を右折したところにある。江戸から昭和までの伊那谷の文化と歴史を紹介するテーマパーク「伊那谷道中」に日帰り湯「満願成就の湯」がある。ここには洞窟風呂があるが、けっこう本格的な造りの洞窟風呂だ。まずはその洞窟風呂に入り、次に露天風呂に入り、最後に内風呂に入った。湯から上がると食堂で昼食。「ソースカツ丼」を食べた。「ソースカツ」といえば「まさやん」の地元の駒ヶ根が有名だが、駒ヶ根のみならず、伊那全体がカツといえば「ソースカツ」。東京あたりで食べる卵とじにした「カツ丼」は「煮カツ」といって別メニューになっている。「まさやん」の「ソースカツ」の話を聞きながら食べる「ソースカツ丼」は格別な味わい。その土地のことは、その土地の人に聞くのが一番だ。
午後の温泉めぐりの開始。
第4湯目は不動温泉「華菱」の湯。大浴場と露天風呂に入ったが、ここでは小さな子供を3人連れたお父さんを見た。がんばれお父さん!
第5湯目は治部坂温泉「宿り木の湯」。ここは国道153号の治部坂峠の真上の温泉施設。内風呂のみ。露天風呂がないと、なんとはなしに物足りなさを感じてしまう。きっとそう思う人が多いので、露天風呂があちこちにどんどんできているのだと思う。
第6湯目の信州平谷温泉「ひまわりの湯」は、道の駅「信州平谷」にある温泉施設。ここは人気の湯で混みあっていた。大浴場と露天風呂に入ったが、この近辺では一番のツルツル湯だ。
国道153号から国道418号を東へ。絶景の平谷峠を越える。平谷峠を下ったところが第7湯目の茶臼山温泉。「塩吹館」の大浴場と大露天風呂に入った。無色透明の湯。湯にはヌルヌル感はない。
第8湯目は茶臼山温泉に近いうるぎ温泉「こまどりの湯」。内風呂と露天風呂。露天風呂からは売木の町並みを見下ろす。
うるぎ温泉からはさらに国道418号を行き、売木峠を越え、国道151号を横切り、第9湯目の天竜温泉へ。日帰り湯「おきよめの湯」に入ったが、ここは信州最南の温泉。キャッチフレーズは「信州最南端の秘湯」だ。大浴場には中央の円形の湯船のほかに3つの湯船がある。大浴場のあとで露天風呂に入った。外は厳しい冷え込み。それでも湯につかってしまえばシンシンと冷え込む寒さも関係ない。湯から上がると夕食。ぼくは「馬刺定食」を食べ、「まさやん」は「煮カツ定食」を食べた。馬刺のうまさも際立っていたが、ここの水のうまさといったらない。食前、食中、食後と何杯もの水を飲んだ。
天竜温泉からは国道151号まで戻り、北へ、第10湯目の阿南温泉の日帰り湯「かじかの湯」に入る。大浴場と露天風呂。「まさやん」はここでもって、初の「ジュットラー」になった。「ジュットラー」というのは「十湯ラー」のことで、カソリと一緒に1日10湯以上を入った人のことをいう。1日に10湯入るというのは、そう簡単なことではない。
さらに第11湯目の和知野温泉へ。ここはわかりにくかった。さんざん探し、やっと発見。一見すると民家風で、入口には「和知野生活改善センター」の看板がかかっていた。この地区の集会場のようで、家庭用バスタブを少し大きくしたような湯船につかる。湯はいい。「まさやん」は「今日、入った温泉の中では一番!」と激賞した。
ここでは何ともうれしい出会いがあった。先客が一人、いた。まだ若い人で、20代か30代前半の人。大のバイクファンで、モトクロスのレースもずいぶんやったという。ぼくのこともよく知っていて、「こんなところでカソリさんに会うなんて」といって喜んでくれた。名前も聞かなかったが、その人は地元の人。名古屋に出て、仕事をしたが、大都会の水が合わず、「故郷が一番いい!」といって戻ってきた。それには「まさやん」も大きくうなずいた。
和知野温泉を最後に「まさやん」と別れた。それにしても強い。普通、1日10湯ぐらいの温泉に入ると、足腰にきてフラフラ状態になるものだが、「まさやん」は平気な顔をしている。さすがいくつものマラソン大会で完走し、トライアイスロンをやっているだけのことはある。その夜は天竜川河畔の南宮温泉「南宮温泉旅館」に泊まった。
さっそく第12湯目の宿湯に入る。柔らかな湯の感触。湯上がりのビールを頼むと、女将さんは「サービスですよ」といって一緒につまみを持ってきてくれた。そのほかに甘いミカンと干し柿も。女将さん、ありがとう!
朝湯 | 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」 |
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朝食 | 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」 目玉焼き、車麩の煮物、サラダ、ソーセージ、スパゲティー、ご飯、味噌汁 |
9時 | 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」を出発 |
「まさやん」との出会い | |
285湯目 | 月川温泉「旅館月川」(600円) |
286湯目 | 昼神温泉「湯ったり〜な昼神」(500円) |
287湯目 | 伊那谷温泉「満願成就の湯」(600円) |
昼食 | 「満願成就の湯」 「ソースカツ丼」(860円) |
寒原峠(峠越え) | |
288湯目 | 不動温泉「華菱」(800円) |
289湯目 | 治部坂温泉「宿り木の湯」(500円) |
治部坂峠(峠越え) | |
290湯目 | 平谷温泉「ひまわりの湯」(500円) |
平谷峠(峠越え) | |
291湯目 | 茶臼山温泉「塩吹館」(800円) |
292湯目 | うるぎ温泉「こまどりの湯」(500円) |
売木峠(峠越え) | |
293湯目 | 天竜温泉「おきよめの湯」(500円) |
夕食 | 「おきよめの湯」 「馬刺定食」(1300円) |
294湯目 | 阿南温泉「かじかの湯」(500円) |
295湯目 | 和知野温泉「和知野生活改善センター」(400円) |
「まさやん」との別れ | |
21時40分 | 南宮温泉「南宮温泉旅館」(1泊朝食6500円) |
296湯目 | 南宮温泉「南宮温泉旅館」 |
本日の走行距離数 166キロ | |
本日の温泉入浴数 12湯 |
早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」の朝食 | 早太郎温泉「駒ヶ根温泉ホテル」近くの風景 | 駒ケ根ICから中央道に入る |
飯田ICでの「まさやん」との出会い | 月川温泉「旅館月川」 | 月川温泉「旅館月川」の湯 |
昼神温泉「湯ったり〜な昼神」の前に立つ「まさやん」 | 伊那谷温泉「満願成就の湯」 | 伊那谷温泉「満願成就の湯」の露天風呂 |
伊那谷温泉「満願成就の湯」の「ソースカツ丼」 | 不動温泉「花びし」 | 治部坂温泉「宿り木の湯」 |
平谷温泉「ひまわりの湯」 | 平谷峠から眺める信州の山々 | 茶臼山温泉「塩吹館」 |
うるぎ温泉「こまどりの湯」 | 天竜温泉「おきよめの湯」の「馬刺定食」 | 阿南温泉「かじかの湯」 |
和知野温泉「和知野生活改善センター」 | 和知野温泉「和知野生活改善センター」の湯 | 南宮温泉「南宮温泉旅館」に到着 |
南宮温泉旅館の女将さんがビールを持ってきてくれた |