温泉めぐり日本一周[112日目]
投稿日:2018年6月11日
高知市周辺の温泉めぐり
馬路温泉「うまじ」の朝湯に入る。昨夜とは男湯と女湯が入れ替わっている。だが造りはほとんど同じ。無色透明の湯につかりながら目の前を流れる安田川を眺めた。
朝湯から上がると朝食。アユの開きがついている。安田川でとれたアユの干物だ。頭から尻尾まで、まるごと食べられる。アユにはシラス、ダイコンおろし、おかず味噌が添えられている。そのほか半熟卵、サラダ、のり、梅干、漬物でいつものように「3杯飯」。
馬路温泉「うまじ」の出発は8時30分。来た道を引き返し、安田で国道55号に出た。
土佐湾の海岸でスズキSKYWAVE400を停め、しばらくは朝日を浴びてキラキラ輝く海を眺めた。太平洋へとつづく大海原。同じ四国とはいっても、北と南ではまるで違う。北の瀬戸内海は世界でも有数の多島海。海に浮かぶいくつもの島影を見る。ところが南の土佐湾・太平洋には、ほとんど島はない。見えるのは海と空を分ける水平線だけだ。
国道55号を西へ、高知へと向かっていく。その途中では昨日、入れなかった温泉に立ち寄っていく。まずは畑山温泉。安芸から北に入っていく。ビニールハウスの並ぶ田園地帯の只中には三菱の創業者、岩崎弥太郎の生家がある。草葺屋根の母屋と小さな蔵がそのまま残っている。土佐の片田舎で生れた一人の男が大三菱を創りあげたと思うと、ちょっと感動的だ。弥太郎はよっぽど大きな世界観を持っていたのだろう。
安芸周辺の狭い平野から一気に山中に入っていく。道幅は狭まり、車1台がやっと通れるほど。そんな道で時間制限の通行止めにぶつかった…。1時間近くは待たなくてはならない。また帰り道のことを考えると、畑山温泉は諦めなくてはならなかった。
国道55号に戻ると、次に夜須から千舞温泉へ。だが、以前泊まったことのある一軒宿の温泉は休業中…。またしても入れず。午前中に1湯にも入れないというのはけっこう辛いものがある。ガックリとくる。
国道55号と国道32号の交差点まで来ると、右折し、国道32号で根曳峠に向かっていく。峠近くで右に入っていく小道がわかみや温泉に通じている。この道も思いっきり狭い。おまけに急勾配の下り坂。大きな車体のスカイウェイブ400だが、けっこう小回りもきくので助かった。すっかりスクーターに慣れたカソリ、もう10年も20年も乗ってますという顔をして山道を走り、山中にポツンとある一軒宿「ニューわかみや温泉」に到着。馬路温泉から100キロ以上走っての第1湯目になる。ここは内風呂のみ。入浴客はぼく一人で、若干、白濁した湯につかった。
わかみや温泉の湯から上がり国道32号に戻ると、根曳峠まで行ってみる。標高395メートル。この根曳峠を越えると、吉野川の水系になる。「四国三郎」の異名をとる四国第一の大河、吉野川はおもしろい流れ方をしている。四国の中央分水嶺、四国山脈の南側を源にしているので、本来ならば根曳峠下の大豊から南流し、このあたりをブチ破って土佐湾に流れ込むのが自然だ。それが北流し、四国山脈をブチ破っている。その地点が名所の大歩危、小歩危になる。このような中央分水嶺を破って流れる川というのはほとんど例がなく、ほかには中国地方の江川があるくらいだ。そんな根曳峠で「峠返し」。国道32号で高知市内に入っていった。
高知の県都、高知周辺の温泉めぐりを開始する。
第2湯目は高知城や高知県庁の近くの高知三翠園温泉。「三翠園」の湯に入る。「温泉館」2階の男湯は「一豊の湯」、3階の女湯は一豊の妻、千代にちなんでの「千代の湯」だ。大浴場からは鏡川の流れが見える。無色透明の湯の塩分はかなり濃い。ここの源泉は40度に近く、高温湯のない高知の温泉では、源泉の湯温の最も高い部類に入る。
第3湯目は湯川温泉。国道33号の「円行寺入口」の交差点を北へ、山側を登っていく。そこにある城を模した建物の日帰り湯「ファミリー温泉」に入る。浴室越しに滝が流れ落ち、錦鯉が泳ぐ庭園を眺める。湯から上がると昼食。高知に来たからにはと、「かつおのたたき定食」を食べる。厚切りのカツオのたたきを薄切りのニンニクを入れた醤油につけて食べる。たたきの表面の焼き加減もちょうどいい。湯川温泉からさらに登っていくと、高知の市街地のすぐ後ろまで山々が迫っているのがよくわかる。そのような山中にある円行寺温泉の一軒宿「精養軒」は休業中で入れなかった。
網川トンネルで峠を抜け、土佐山へ。高知の中心街からわずかな距離なのに山深い風景だ。
第4湯目は土佐山温泉の「オーベルジュ土佐山」。ふんだんに木を使った建物。木の香が漂っている。大浴場と露天風呂。湯につかりながら土佐の山々を眺めた。
第5湯目はかがみ温泉の日帰り湯「RIO温泉」。「RIO」は川の意味なのだろう、浴室からは鏡川の流れを真下に見下ろす。
かがみ温泉からは鏡川の流れに沿って下り、高知市内へ。山中を抜け出ると、突如という感じで高知の市街地に入っていく。
さきほどの国道33号の「円行寺入口」の交差点を今度は南へ。海側を行き、春野へ。
第6湯目のはるの温泉「はるのの湯」に入る。ここは大規模な温泉施設。宿泊も可。大浴場と露天風呂。露天風呂にはいくつかの湯船がある。無色透明の湯は顔がひりひりするほどの塩分の濃さ。海水よりも濃いのではないか。そのかわり保温力は抜群で、湯から上がっても、いつまでもホカホカ感が残った。
第7湯目は蘇鶴温泉。仁淀川を渡ったところにある。日帰り湯&温泉旅館の「蘇鶴温泉」は常連客のみなさんで混みあっていた。誰もが顔見知りのような感じ。
「今日はぬくかったね」
といったあいさつをかわしている。
ここは内風呂のみ。にごり湯につかりながら世間話の会話を聞いている。温泉の良さとともに、みなさん、それが楽しみで毎日、こうしてやって来るのだろう。
蘇鶴温泉を出ると、「カソリさ〜ん!」と声をかけられた。山地真一さんだ。山地さんとは1999年の「日本一周」、2001年の「島めぐり日本一周」につづいて3度目の出会いになる。「いやー、あのときは…」と、なつかしい思い出話にしばしひたった。
1999年の「日本一周」のときは、ぼくは国道195号の四ツ足峠を高知方向に下っていた。山地さんとは車ですれ違ったのだが、「あのバイクはきっとカソリさんだ」ということでUターンし、大栃のライダーズインに隣りあった食堂で夕食を食べているぼくを捕らえたのだ。
2001年の「島めぐり日本一周」のときは愛媛県の北条にあるユースホステルに一泊した。その情報をキャッチした山地さんは、高知県の南国市から夜の高速を突っ走り、四国を縦断して来てくれた。
今晩の宿を蘇鶴温泉に近い伊野温泉の「かんぽの宿 伊野」に決め、山地さんと別れた。山地さんは高知での仕事を終えたら「かんぽの宿」まで来てくれるという。
蘇鶴温泉のあとは仁淀川に沿って国道194号を北に行く。
夜の温泉めぐり。
まずは道の駅「土佐和紙工芸村」の「くらうどの湯」に入ったが、あまり温泉ぽくない…。思った通りで、湯から上がったあとでわかったことだが、ここは天然温泉ではなかった。ということでカウントはしない。
次の中追渓谷観光温泉は18時までで入れなかった…。
ということで「吾北むささび温泉」が第8湯目。国道194号と「与作国道」の439号との分岐点にある。内風呂のみ。無味無臭の湯だが、緑がかった湯の色をしている。
伊野温泉の「かんぽの宿 伊野」に到着したのは20時45分。速攻で第9湯目の「宿湯」に入り、湯から上がると、喫茶室で山地さんと落ち合った。夕食の「ピラフ」を食べ、食後の「ゆずジュース」を飲みながら話した。四国の温泉にはすこぶる詳しい人で、いろいろと温泉情報を聞かせてもらった。
山地さんと別れると、もう一度温泉に入り、湯から上がると山地さんからの差し入れの「宇宙酵母」を使った土佐の酒、「司牡丹」の土佐宇宙酒を飲んだ。やわらかな、まろやかな味わい。なにしろ「宇宙酒」なので、飲みながら気宇壮大な気分になった。
これも山地さんからの差し入れなのだが、土佐の生節がうまかった。ゆず風味と醤油味の2種。生節を肴に「司牡丹」を飲み干すのだった。
朝湯 | 馬路温泉「うまじ」 |
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朝食 | 馬路温泉「うまじ」 ご飯、味噌汁、アユの開き、シラス、おかず味噌、半熟卵、サラダ、のり、漬物 |
8時30分 | 馬路温泉「うまじ」を出発 |
畑山温泉 行けず… | |
千舞温泉 休業中で入れず | |
1028湯目 | 若宮温泉「ニューわかみや温泉」(700円) |
1029湯目 | 高知三翠園温泉「三翠園」(900円) |
1030湯目 | 湯川温泉「ファミリー温泉」(500円) |
昼食 | 湯川温泉「ファミリー温泉」 「かつおのたたき定食」(1600円) |
円行寺温泉 休業中で入れず | |
1031湯目 | 土佐山温泉「オーベルジュ土佐山」(800円) |
1032湯目 | かがみ温泉「RIO温泉」(300円) |
1033湯目 | 春野温泉「はるのの湯」(900円) |
1034湯目 | 蘇鶴温泉「蘇鶴温泉」(420円) |
「山地さん」との出会い | |
「くらうどの湯」(600円)※天然温泉ではないのでカウントせず | |
1035湯目 | 吾北むささび温泉「吾北むささび温泉」(600円) |
20時45分 | 伊野温泉「かんぽの宿 伊野」(1泊朝食6550円) |
1036湯目 | 伊野温泉「かんぽの宿 伊野」 |
夕食 | 伊野温泉「かんぽの宿 伊野」 「ピラフ」(500円) |
「山地さん」が来てくれる | |
本日の走行距離数 243キロ | |
本日の温泉入浴数 9湯 |
馬路温泉「うまじ」の朝食 | 朝食の「アユの開き」 | 馬路温泉「うまじ」を出発 |
馬路村の森林鉄道 | 安田川の流れ | 土佐湾の眺め |
三菱の創業者、岩崎弥太郎の生家 | 畑山温泉への道 | 若宮温泉「ニューわかみや温泉」 |
若宮温泉「ニューわかみや温泉」の湯 | 国道32号の根曳峠 | 高知三翠園温泉「三翠園」の湯 |
湯川温泉「ファミリー温泉」 | 「ファミリー温泉」の「かつおのたたき定食」 | これが「かつおのたたき」 |
土佐山温泉「オーベルジュ土佐山」 | かがみ温泉「RIO温泉」 | 「RIO温泉」の湯 |
春野温泉「はるのの湯」 | 蘇鶴温泉「蘇鶴温泉」 | 「くらうどの湯」。天然温泉ではないのでカウントせず |
吾北むささび温泉「吾北むささび温泉」 | 伊野温泉「かんぽの宿 伊野」に山地真一さんが来てくれた | 夕食のピラフ |
山地真一さんからの差し入れ |