温泉めぐり日本一周[138日目]
投稿日:2018年8月29日
「ここは女湯よ」
立久恵峡温泉「御所覧場」の朝湯に入る。まずは館内の洞窟風呂風の内風呂に入り、次に宿の前を通る国道184号を渡ったところにある露天風呂に入った。露天風呂は「絶景湯」。湯につかりながら立久恵峡の垂直にそそりたつ岸壁を眺める。目の前を神戸川が流れている。額縁に入った一幅の絵を見ているかのような気分になった。
湯から上がるとご飯、しじみの味噌汁、干物、フキの煮物、温泉卵、サラダ、海苔、漬物の朝食を食べた。
9時、立久恵峡温泉「御所覧場」を出発。国道184号で出雲市へ。JR山陰本線の出雲市駅前でスズキBandit250Sを止めた。カンコーヒーを飲み干したところで出雲の温泉めぐりを開始する。
第1湯目は山中の一軒宿のみとや深谷温泉「ふかたに荘」。ここは山中の一軒宿。庭先では水車が回っている。温泉は内風呂のみ。湯につかっていると、次々にやってくる地元のみなさんに声をかけられる。
「単車で旅しているのですか」
「気持ちいいでしょ」
「どこから来たのですか」
「これからどこへ行くのですか」
などなど。
湯から上がると、みなさんが持ち寄った漬物を一緒になっていただいた。お茶を飲みながら漬物を食べていると、みなさんとの会話はいつはてるともなくつづく。「ふかたに荘」にはあたたかな空気が流れていた。
第2湯目は頓原温泉の日帰り湯「リフレッシュセンター」。内風呂のみで、黄土色の湯はラムネの味がする。ここは全国でも有数の炭酸泉で、地元のみなさんは「ラムネ泉」と呼んでいる。湯の色は日によって濃くなったり、薄くなったりするという。
「このラムネ泉はほんとうに湯冷めしないのよ」
と、湯上りのおばちゃんはいっていた。
ここまでが出雲の温泉だ。
島根・広島県境の赤名峠の「峠返し」で折り返し、次に石見の三瓶山周辺の温泉をめぐる。
国道375号を行く。中国一の大河、江の川沿いのルートだ。
第4湯目は潮温泉「大和荘」の湯。内風呂のみ。草色がかった湯の色。湯の色は薄いが、かなり濃い味がする。父親が子供と一緒に入っていた。ここの湯はアトピーに効くと聞いてやってきたのだという。子供はアトピーだった。
「何とかしてあげたい」
という親心がひしひしと伝わってくる。
第5湯目は千原温泉。山中の一軒宿「千原温泉湯治場」の湯に入る。ここは究極の「湯治湯」といったところ。方形の石造りの湯船は小さめ。湯船のふちにはびっしりと温泉の成分がこびりつき、特有の紋様を描いている。温めの湯で、それでいて体の芯からホワ〜ンとしてくる。何といったらいいのだろうか、オンドルの暖かさに似ている。黄土色の湯で、湯の味も濃い。湯船の底からはボコボコッ、ボコボコッと湯が湧き出てくる。「自然湧出」の自噴の湯。長湯していると、思わず「効く〜!」と声が出てしまう。おそらく2時間でも3時間でも入っていられるだろうが、館内には「入浴時間は1時間以内でお願いします」の貼紙があった。
第6湯目はユートピアおおち温泉「ゴールデンユートピアおおち」の湯。ここは内風呂のみで、無色透明無味無臭の湯。
第7湯目は湯抱温泉。国道375号沿いにある温泉宿「湯抱荘」の湯に入った。「男湯」に入ろうとしたとき、脱衣所にいた下着姿の中年女性に、
「ここは女湯よ」
と、かなりきつい口調でいわれた。
あわてて飛び出し、もう一度確認すると、暖簾には「殿方」と書いてある。
もう一度、中に入り、すでに服を着終わっていた中年女性に、
「あのー、やっぱりここは男湯のようですが…」
と恐る恐るいった。
すると中年女性は間違えて男湯に入ったことに気づき、湯上りの上気した顔をさらに赤くし、「ごめんなさいね」といって逃げるようにして出ていった。その顔がかわいらしい!
「おしかったな」
もう2、3分、早ければ…。
ここの湯はいい。内風呂のみで色の濃い赤湯。「神湯」といわれているが、その名前どおりの体に効きそうな湯。湯の味はそれほどしない。
第8湯目は池田温泉の一軒宿、「池田ラジウム鉱泉」の湯。木のふたをとって、小さな湯船につかる。淡い草色をした湯。猛烈に濃い湯の味。温泉のミネラル分が口の中でからみつきそう。これほど濃い味の湯というのもそうはない。
残念だったのは、小屋原温泉「熊谷旅館」。すでに日帰り入浴の時間が過ぎていて入れなかった。
第9湯目は三瓶温泉「さんべ荘」。ここは三瓶山の裾野にある国民宿舎。三瓶山の周辺には東西南北に温泉があるが、ここは南麓になる。大浴場と露天風呂の湯につかった。三瓶山周辺の温泉はどこも個性派ぞろいだ。
そんな三瓶山を間近にする三瓶温泉の温泉ホテル「さひめ野」に泊まった。飛び込みで行った宿で、なおかつ到着が20時20分という時間にもかかわらず、夕食を用意してくれるという。
さっそく湯に入る。ここは「さんべ荘」と同じ三瓶温泉なので、カウントはしない。湯から上がり、21時過ぎになって、「夕食ができましたよ」と呼びにくる。
レストランでの夕食。もううれしくなって生ビールを何杯もおかわりしながら刺身や牛鍋、天ぷら、焼き魚、茶碗蒸し…の豪華版の夕食を食べた。
天ぷらは揚げたての熱々、焼き魚も焼きたてのを持ってきてくれた。最後に名物「三瓶そば」をすすって夕食を終えたが、なんとも満ちたりた気分。そのあとでもう一度、今度はゆったり、まったりと大浴場の湯につかるのだった。
朝湯 | 立久恵峡温泉「御所覧場」 |
---|---|
朝食 | 立久恵峡温泉「御所覧場」 ご飯、しじみの味噌汁、干物、フキの煮物、温泉卵、サラダ、海苔、漬物 |
9時 | 立久恵峡温泉「御所覧場」を出発 |
1291湯目 | みとや深谷温泉「ふかたに荘」(300円) |
1292湯目 | 頓原温泉「リフレッシュセンター」(300円) |
1293湯目 | 加田の湯温泉「加田の湯」(400円) |
昼食 | 加田の湯温泉「加田の湯」 ごんべい定食(1000円) |
1294湯目 | 潮温泉「大和荘」(315円) |
1295湯目 | 千原温泉「千原温泉浴場」(500円) |
1296湯目 | ユートピアおおち温泉「ゴールデンユートピアおおち」(400円) |
1297湯目 | 湯抱温泉「湯抱荘」(400円) |
1298湯目 | 池田温泉「池田ラジウム鉱泉」(500円) |
小屋原温泉(時間外) | |
1299湯目 | 三瓶温泉「さんべ荘」(500円) |
20時20分 | 三瓶温泉「さひめ野」(11700円) |
夕食 | 宿食 |
本日の走行距離数 185キロ | |
本日の温泉入浴数 9湯 |
立久恵峡温泉「御所覧場」の露天風呂 | 「御所覧場」の露天風呂から見る立久恵峡 | 「御所覧場」の朝食 |
「御所覧場」を出発 | みとや深谷温泉「ふかたに荘」 | 「ふかたに荘」の湯 |
加田の湯温泉「加田の湯」 | 「加田の湯」の湯 | 「加田の湯」の「ごんべい定食」 |
国道54号の赤名峠 | 潮温泉「大和荘」 | 江の川沿いに走る |
千原温泉「千原温泉浴場」 | ユートピアおおち温泉「ゴールデンユートピアおおち」 | 湯抱温泉「湯抱荘」 |
「湯抱荘」の湯 | 三瓶山の山麓を行く | 池田温泉「池田ラジウム鉱泉」 |
小屋原温泉「熊谷旅館」の湯には入れず | 三瓶温泉「さんべ荘」 | 三瓶温泉「さひめ野」の夕食 |
「さひめ野」の大浴場 |