カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

石狩川

投稿日:2010年5月1日

石狩川の大函


 遠軽から国道242号で留辺蕊へ。そして国道39号で石北峠に向かう。「石北」の名前通り、北見国と石狩国を分ける国境の峠だ。標高1040メートル。この峠を越えると、北海道遺産にもなっている石狩川の世界に入っていく。
 スズキDR?Z400Sで一直線の国道39号を突っ走り、やがて峠道に入っていく。大陸的な北海道のこと、ゆるやかな勾配&カーブの峠道なので、一気に峠に到達。気温がガクンと下がる。
 峠上では女性が1人、大きく手を振ってくれていた。何とカブタンだ。峠の駐車場に停めた車にはカブタン旦那もいた。劇的な再会!
 前年(2008年)の「日本一周」では、苫小牧で泊った「東横イン苫小牧駅前」にカブタン夫妻は来てくれた。雪のちらつく寒い日で、カブタン夫妻の乗った車と一緒に鵡川まで走った。道の駅「むかわ」で2人と別れたが、それ以来の、1年ぶりの再会ということになる。
 カブタン夫妻とは峠上の店で「石北ラーメン」を食べた。おおいに話がはずみ、そのあとは旭川までずっとつきあってくれるという。
 さー、石狩川を目指して出発だ。
 石北峠を下ると、大雪湖が見えてくる。石狩川をせき止めた大雪ダムのダム湖。石狩川最上流のダムになる。
 国道273号との分岐点まで下ると左折。国道273号に入り、三国峠方向に向かっていく。その途中の右に折れる道が大雪高原温泉に通じる道(ダート)で、石狩川の本流に沿っている。その道を走り、石狩川最上流部の流れを見たかったのだが…。
 残念。大雪高原温泉は冬期閉鎖で、その道も入口にゲートがあって通行禁止。やむなく国道273号にかかる石狩川本流の橋上から上流方向を眺めた。
 大雪ダムに戻ると、国道39号で石狩川の流れに沿って旭川に向かっていく。
 その途中では石狩川の峡谷の大函を見る。さらに層雲峡のそそりたつ断崖を見上げながら走る。北海道屈指の景勝地、層雲峡の峡谷も石狩川の作り出した風景だ。
 上川、愛別と通り、石狩川上流の大盆地、上川盆地に入っていく。平野と見間違うほどの広さ。その中心が旭川。ここで牛朱別川、忠別川、美瑛川などが石狩川の本流に合流する。

石北峠の「石北ラーメン」
これが人気の「蜂屋」の「旭川ラーメン」


 旭川に到着すると、「蜂屋」で待望の「旭川ラーメン」を食べた。
 カブタンには「ラーメンは一番最後に食べるものなのよ」といわれてしまったが…。
 じつは、本番はそれからなのだ。
 旭川駅前の「東横イン」に宿をとると、旭川一番の繁華街、三六街の店「梁山泊」へ。 そこでは北海道ならではの、

鹿肉の燻
アイヌネギのおひたし


チャップ
熊肉のステーキ


若鶏の新子焼


 ?鹿肉の燻製
 ?アイヌネギのおひたし
 ?チャップ
 ?熊肉のステーキ
 ?若鶏の新子焼
 を食べながら、カブタン夫妻とおおいに飲んだ。
 さんざん飲んだあと、今度は旭川駅に近い店に場所を移し、名寄から来てくれた佐々木さんを交えてさらに飲んだ。
 佐々木さんは前年の「日本一周」では名寄から雪道を飛ばして宗谷岬まで来てくれ、雪の降る中、一緒に羽幌まで走ったことがある。
 カブタン夫妻と佐々木さんは旧知の間柄。いやはや旭川での大宴会が終るころにはもう足腰が立たないくらいに飲んでいた。
 カブタン夫妻、佐々木さんと旭川の駅前で別れ、宿に戻ると、さっそく『ツーリングマップル北海道』で、「北海道の母なる流れ」の石狩川を地図上で追ってみる。これが酔いも吹っ飛ぶくらいの至福の時だ。

北海道中心から流れる、北海道最長の石狩川

道273号の橋上から見る石狩川


 石狩川の源は石狩・十勝国境の石狩岳(1967m)。この山が大雪山系・石狩山地の最高峰になっている。
 大雪高原温泉の方向から流れてくるヤンペタップ川、国道273号の三国峠の方向から流れてくるユニイシカリ川、国道39号の石北峠の方向から流れてくるルベシナイ川を合わせ、大雪ダムの大雪湖に流れ込む。
『ツーリングマップル北海道』につづいて、『分県地図』(昭文社)の「北海道」を見る。この地図の良さは1枚の地図で、北海道の全体が見られることだ。
 分県地図を広げて見ていると、石狩川源流地帯の三国山(1541m)に目が吸い寄せられていく。
 北海道のまさに中心といった感のある石狩・北見・十勝3国境の山だ。国道273号の三国峠はこの三国山にちなんだ峠名だが、三国山は3国の国境でも、三国峠は石狩・十勝の両国の国境になる。
 ぼくはこの分県地図に北海道の中央分水嶺の赤線を入れている。
 最北の宗谷岬から最南の白神岬に至る1本の線で、この線を境に北海道は東側の太平洋・オホーツク世界と、西側の日本海世界にきれいに二分される。
 その中心に三国山がある。
 さらに三国山からは中央分水嶺の支線として、知床半島に至る赤線も入れてある。この線を境にして、北側のオホーツク世界と南側の太平洋世界に二分される。
「北海道の母なる流れ」の石狩川は北海道最長の流れであるのと同時に、北海道のここぞ、まさに中心という所から流れ出る川なのである。

中央分水嶺の赤線の入れた北海道の分県地図


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