カソリング

生涯旅人、賀曽利隆の旅日記 60代編

内浦湾沿岸の縄文遺跡群

投稿日:2009年11月18日

北海道初の国宝に指定

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展示されている縄文土器


 いよいよ函館を出発。スズキDR-Z400Sを走らせ、国道5号で森へ。
 森を過ぎると内浦湾を右手に見ながら走る。内浦湾は漁業資源の豊富な海。気候も北海道の中では一番、温暖で、伊達などは「北海道の湘南」といわれている。
 縄文人にとっても住みやすかったところで、内浦湾の沿岸には何ヵ所もの縄文遺跡があり、それら「内浦湾沿岸の縄文遺跡群」は北海道遺産になっている。そのなかでも代表的なのが伊達の北黄金貝塚だ。
 内浦湾の落部漁港でDRを停める。渡島半島のシンボル、駒ヶ岳がよく見える。
 落部では開通したばっかりの道央道の落部ICを見に行く。これで八雲IC→落部IC間が開通し、残るはあとわずか。函館までの全線が1日も早く開通することを願ってやまない。それが北海道のためだ。
 国道5号で長万部へ。北海道らしい直線区間がつづく。やがて夕日が渡島半島のゆるやかな山並みに落ちていく。
 長万部で国道5号と別れ、室蘭に通じる国道37号を行く。内浦湾の海岸線に沿った道だ。日が落ちると急速に寒くなる。寒さに震えながら走り、今晩の宿、豊浦温泉の「しおさい」に到着。さっそく大浴場と露天風呂の湯につかったが、う~ん、たまらん。温泉天国の気分を味わった。無味無臭のうす茶色の湯は体があたたまる。
 湯から上がると、レストランでおつまみセットをつまみに生ビールをキューッと飲み干す。まさに至福の時。そのあと豊浦漁港に上がったブリの「刺身定食」を食べた。

 翌朝は朝湯に入り、焼き魚つきの朝食を食べ、豊浦温泉「しおさい」を出発。国道37号で北黄金貝塚に行った。国道からほんのわずか、入ったところにある。
 ここはいままで、何度、通ったか知れない。それなのに、こんなに国道37号に近いところに、これだけ重要な縄文遺跡があったとは。あらためて「北海道遺産めぐり」をしてよかった!と思うのだった。
 昭和23年(1948年)に発見された北黄金貝塚。この遺跡は縄文中期(今から6000~4000年)のもので、5ヵ所の貝塚のほか、住居跡や墓地、鹿を落とす落とし穴、祭祀のための盛土、水場の祭祀場跡、水汲み用の足場跡、木の実を貯蔵するための穴などが見つかっている。
 今は史跡公園として竪穴式住居や貝塚、水場の祭祀場などが復元され、資料館の「北黄金貝塚情報センター」がある。資料館にはこの地で発掘された底の平な「上板式土器」などの縄文土器が展示されている。

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北黄金貝塚に到着
北黄金貝塚情報センター


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復元された竪穴式住居
復元された竪穴式住居


 ところで内浦湾の海岸線というのは渡島半島・砂原近くの砂崎から室蘭港口の絵鞆岬までの約30キロ間だが、砂崎から南の海岸線にも点々と縄文遺跡がある。その中でも代表的なのは南茅部の大船遺跡。近くには大船温泉の「大船上湯」や「大船下湯」がある。
 ここから出土した「中空土偶」が北海道初の国宝に指定された。そのあたりは「カブタン・ノンタンの北海道遺産」に詳しいが、「北海道初」というのにはビックリ。つい最近まで、北海道には国宝がひとつもなかったということではないか。そんなバカな。国の北海道文化に向けるゾッとするほどの、目の冷たさを感じさせる話だ。
 今回の「北海道一周」では函館から国道5号で森まで行ったので、南茅部はパスしてしまったが、次の機会には必ずや大船遺跡を見ていこう!

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内浦湾の落部漁港
道央道の落部IC


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国道5号で長万部へ
夕日が落ちていく


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夜明けの内浦湾
内浦湾の豊浦漁港


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