螺湾ブキ
投稿日:2009年12月9日
残念、冬枯れの風景に
帯広駅前を出発し、スズキDR-Z400Sを走らせ、国道241号を北上する。
士幌を通り、上士幌へ。
ここまでは北海道遺産、旧国鉄士幌線の「コンクリートアーチ橋梁群」への道と同じだ。
「コンクリートアーチ橋梁群」は上士幌から三国峠に通じる国道273号に入っていくが、今回は2本の国道の交差点を直進し、そのまま国道241号を行く。
目指すは足寄町の螺湾。
そこに自生している日本一の大ブキ、高さが2~3メートルにもなる「螺湾ブキ」が北海道遺産に指定されている。
帯広から上士幌までも寒かったが、上士幌から足寄まではもう地獄。もっと寒い…。
その日は10月16日。東京は汗ばむほどの陽気だったというが、ここでは10月中旬だというのに朝の気温は0度。東京の真冬並み。
真冬の0度ならまだ我慢できるが、体が夏バージョンのままで迎える0度はあまりにもキツイ。DRで切る風の冷たさは氷点下10度以下の体感温度。かろうじてDRにしがみつき、ゆるやかな峠を越え、足寄の町に入っていった。
あまりの寒さにまったく動けず…。
「セイコーマート」でHOTのカンコーヒーを買い、しばらくは両手で握り、やっと息を吹き返した。
さー、螺湾だ。
足寄からさらに国道241号を走り、螺湾に入っていく。
国道沿いに大ブキが見られるが、予想したこととはいえ、すでに冬枯れの風景。茶色く枯れた大ブキはクターンとして倒れている。
国道241号からオンネトーに通じる道道664号に入ったが、螺湾川沿いのこの一帯も、同じような冬枯れの風景だ。
国道に戻る。
螺湾の国道241号から見る阿寒富士と雌阿寒岳の阿寒の山々はすばらしく綺麗だ。抜けるような青空を背にして新雪が光り輝いている。
「この季節ではどうしようもないな…」
と、諦めの境地で足寄峠を越え、阿寒湖畔から弟子屈に向かっていった。
ぼくは雌阿寒温泉が好きで、また神秘の湖、オンネトーやその先の湯滝にも足を延ばしたことがあるので、足寄から国道241号で螺湾を通り、足寄峠の手前で右折して行ったことが何度かある。それなのに…、螺湾も螺湾ブキもまったく記憶にないのだ。
ところがこうして「北海道遺産めぐり」で螺湾に来てみると、2メートルも3メートルも伸びた「螺湾ブキ」は見られなかったが、「螺湾」は頭にこびりつき、おそらく2度と忘れられないところになることだろう。
今度の夏の北海道ツーリングでは、必ずや、この地に立ち寄ろうという気になった。これが「北海道遺産効果」というものだ。
螺湾ではないが、十勝では国道273号の三国峠下と、太平洋に近い国道336号沿いの大ブキはいまだに目に残っている。
バイク誌の取材で三国峠を越えたときは、路肩に自生する大ブキの葉の下に入り込んで茎をつかみ、それを傘がわりにした写真が誌面を飾った。国道336号の大ブキの自生地で初めてそれを見たときは、「何だ何だこれは!」と思わず声が出た。お化けのような大ブキに度肝を抜かれたのだ。
「カブタンとノンタンの北海道遺産」では、螺湾ブキがどのようなものなのか、じつにわかりやすく描かれている。それを紹介しよう。
3年前に行ってきました。
本当にでっかいフキがたくさん生えていて、見上げるとでっかい葉っぱがうっそうと茂っています。刈り取りも体験させてくれます。刈ると水がジャァ~っと茎から流れ出て、ビックリです。すごい水が通っていることを実感~!
ところでこのラワンブキ、特別な種類のフキではないんです。なぜ、この地区だけ、大きくなるのかは謎!!
水や土壌のせいだと言われていて、ここを流れる螺湾川にはマグネシウムやカルシウムなどミネラル豊富なので、こんなに大きく栄養価満点のフキが生まれているらしいです。だから同じフキが札幌で育つというわけではないんですね。
螺湾川の上流には、エメラルド色に輝く神秘の湖「オンネトゥ」もあります。このエメラルド色もミネラル豊富な証拠なんですって。もう阿寒湖のすぐそばです。ここは北海道の三大秘湖ですよ!
この螺湾ブキ、すごくおいしいんです。こんなに大きいのに、筋が残るわけでもかたいわけでもなし、切るとフキの香りがぷ~んとして、とっても癒されます。普通に煮ても、おみそ汁にしてもおいしい。お料理上手の方はフキの中にお肉などを詰めて煮るとか焼くとか、素敵に料理するようです☆
地元の郵便局では『一本送り』のゆうパックもやっています。…といっても一本まんまだと巨大なゆうパックになってしまうので、一本を切って、葉っぱまでつけてくれるんですって。一本で十分に食べられます。
私、かなり螺湾ブキ好きです。」
カブタンの感性豊かな文章とともに、巨大な螺湾ブキの写真が添えられている。この螺湾ブキの刈り入れは6月~7月。「ラワン蕗羊羹」もあるという。